The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PC(01-64)

ポスター発表 PC(01-64)

Sat. Oct 8, 2016 3:30 PM - 5:30 PM 展示場 (1階展示場)

[PC60] 山梨県における子育て支援の現況

地域別での子育て支援団体の活動に注目して

多田幸子 (山梨県立大学)

Keywords:子育て支援, 地域, 実態調査

目   的
 子ども・子育て支援新制度の施行とともに,地域における子育て支援の量の拡充や質の向上(内閣府・文部科学省・厚生労働省,2014)が求められている。山梨県は,県内の教育・保育施設の設置者,地域型保育事業の事業者の情報を市・町ごとにまとめて公表し各施設・事業の透明性を高め(平成27年8月),また,第2子以降にかかる保育料の無料化(平成28年4月)を図るなど,子育て家庭への支援に努めている(山梨県,2015)。
 そういった取り組みを行っている同県下において,各地域の子育て支援団体は具体的には,どのような活動を行っているのか。多田ら(2015)で,山梨県内に活動拠点がある子育て支援団体を対象に活動状況に関する調査を行ったところ,県全体としては,平均的な活動時間は7時間半,登録利用者は約190名,常勤の支援者は5名程度であった。本研究では,上述の調査における各市町村の結果に焦点を当て,山梨県内の地域ごとの子育て支援活動の現況について分析を行った。
方   法
【調査の対象と期間】 山梨県内に拠点のある子育て支援事業者551団体を対象とし,120団体(回収率22%)より回答を得た。調査の実施期間は平成26年11月中旬から12月下旬までであった。【調査の内容】一日の活動時間,登録利用者数,支援者の勤務形態と数,常勤支援者が保有する資格・免許,実施事業,支援者数の充足度と確保の手立て等を尋ねた。【回答の手続き】対象者には冊子または専用のウェブページで回答するようを求めた。【分析】事業者の活動拠点がある市町村ごとに回答を整理,集計を行うこととした。
結果と考察
 団体名以外は無回答であった1団体を除く119団体(回収分の99.2%)の回答を集計時の資料とし,各団体を活動拠点のある地域ごとに分けたところ,甲府市をはじめ19市町村(山梨県内の27市町村の70%)にまとめられた。市町村別の活動時間,利用者数,勤務形態ごとの支援者数の平均はTable 1のとおりである。なお,常勤支援者が有する資格・免許に関しては,Table 1に挙げた19市町村の9割で,保育士資格または幼稚園教諭免許状を有する常勤がいると回答した団体が半数以上を占めていた。
 また,市町村別の,実施事業数の平均はFigure 1,支援者数不足が懸念される事業数の平均についてはFigure 2のようにまとめられた。
 さらに,支援者確保の手立てについて,87団体の回答を市町村別に見てみたところ,市町村を明示していた82団体の回答が18の市町村にまとめることができ,そのうちの10の市町村(56%)で「ハローワーク」や「公募」を利用するという主旨の回答を示した団体が1団体以上認められた。子育て支援経験者に限らず,幅広く人材を募る場合,応募者が支援者となった後の,専門性の向上や担保に関する取り組みが重要と考えられる。今後,市町村内の子育て支援団体どうしが連携をとり,それぞれの支援力を高めるための試みを成していく必要性が推察された。
文   献
多田幸子・高野牧子・山田千明・池田充裕・村木洋子・古屋祥子・田中 謙・池田政子 (2015). 文部科学省「地(知)の拠点プロジェクト」平成26年度山梨県立大学地域志向教育研究プロジェクト:山梨県の地域子育て支援事業従事者が人材に求める能力・知識・技術についての一考察. 山梨県立大学人間福祉学部.