[PD01] 青年期用価値とコミットメント尺度の作成(1)
尺度の信頼性と妥当性の検討
キーワード:価値とコミットメント, 青年期, ACT
目 的
本研究の目的は,Acceptance and Commitment Therapyの文脈における「価値」の明確さの程度を測定する尺度を作成することである。すでに,PVQⅡ(土井ら,2014)やVCS(斎藤ら,2014)といった価値を選択した上でその機能面について測定する尺度がある。本研究で作成する尺度は,中学生から用いることを想定し,価値の明確さの程度を測定できる尺度の開発を試みる。
方 法
調査対象者 中学生559名,高校生176名,大学生159名,成人就業者72名。
調査内容 1)価値とコミットメント尺度(Value of Young Age scale(VOYAGE)):アクセプタンス&コミットメント・セラピーに関する書籍や先行研究(Blackledge et al., 2010)を参考に,筆者らが,価値の明確さと価値に向けたコミットメント行為への従事を測定するための15項目を作成した。更に,中学生,高校生,大学および社会人において妥当性検証のために以下の尺度を実施した。中学生:①過剰適応尺度(石津,2006)②EROS(国里ら,2011)③充実感(大野,1984)④AFQ(Ishizu et al., 2014)
高校生:①EROS(国里ら,2011)
大学生:①主観的幸福感尺度(伊藤ら,2003)②日本語版SWLS(角野,1994)
成人:①AAQ-II(嶋ら,2013)②BADS(高垣ら,2010)の行動活性化因子
手続き 中・高・大学生は協力の得られた学校にて授業終了後等に,成人はwebを通じて質問紙への回答を任意で求めた。また,中学生は再検査信頼性を検討するため,調査は2回に分けて行われた。また成人は39歳以下を分析の対象とした。
結果と考察
調査で得られた項目の中で天井効果が認められた1項目を除外し,HAD(清水,2016)を用いてMAP分析と並行分析を行ったところ,どちらも2因子解が適当であった。最尤法,プロマックス回転による因子分析行った結果,第1因子には「どんな生き方がしたいのか分かっている」や「こんな自分でいたいという思いをもって,努力する」といった項目から構成され,「価値の明確化とコミットメント(Clarification of Value and Commitment:CVC)」因子と命名した。第2因は「どうせダメとやる前からあきらめる」や「いやな気分になると大事なことが手につかない」等のの項目から構成され,「回避の持続(Continuation of Avoidace:CA)」因子と命名 した。回転前の寄与率は2因子で51.06%,CVCとCAとの因子間相関は-.26で,α係数は,それぞれ.87と.78だった。尺度の妥当性を検討するために,CVC,CAと妥当性検証のための尺度との相関係数を算出した。まず中学生においてCVCは充実感,Erosと正の相関が(それぞれr=.51,r=.55),CAは負の相関(それぞれr=-.40,r=-.41)が示された。過剰適応と,CVC,CAそれぞれの相関はr=-.13とr=.30であった。高校生ではErosとCVC,CAそれぞれにr=.42,r=-.41の相関がみられた。大学生で幸福感の「前向きな気持ち」「達成」「失望感」「自信」との間にCVCはr=.40~.56の正の相関が,CAとの間にr=-.21~-.41の負の相関が確認された。また,SWLSとCVC,CAの間にはそれぞれr=.52,r=-.29の相関があった。社会人においてもErosとCVC,CAでそれぞれr=.42とr=-.41となった。尺度の再検査信頼性は中学生サンプルのみで検討され,3週間の期間を空けての再検査信頼性はCVCとCAでr=.75と.64であった。VOYAGEには以上の結果からある程度の信頼性と妥当性が確認された。
引用文献
清水裕士(2016).フリーの統計分析ソフトHAD メディア・情報・コミュニケーション研究,1,59-73.
本研究の目的は,Acceptance and Commitment Therapyの文脈における「価値」の明確さの程度を測定する尺度を作成することである。すでに,PVQⅡ(土井ら,2014)やVCS(斎藤ら,2014)といった価値を選択した上でその機能面について測定する尺度がある。本研究で作成する尺度は,中学生から用いることを想定し,価値の明確さの程度を測定できる尺度の開発を試みる。
方 法
調査対象者 中学生559名,高校生176名,大学生159名,成人就業者72名。
調査内容 1)価値とコミットメント尺度(Value of Young Age scale(VOYAGE)):アクセプタンス&コミットメント・セラピーに関する書籍や先行研究(Blackledge et al., 2010)を参考に,筆者らが,価値の明確さと価値に向けたコミットメント行為への従事を測定するための15項目を作成した。更に,中学生,高校生,大学および社会人において妥当性検証のために以下の尺度を実施した。中学生:①過剰適応尺度(石津,2006)②EROS(国里ら,2011)③充実感(大野,1984)④AFQ(Ishizu et al., 2014)
高校生:①EROS(国里ら,2011)
大学生:①主観的幸福感尺度(伊藤ら,2003)②日本語版SWLS(角野,1994)
成人:①AAQ-II(嶋ら,2013)②BADS(高垣ら,2010)の行動活性化因子
手続き 中・高・大学生は協力の得られた学校にて授業終了後等に,成人はwebを通じて質問紙への回答を任意で求めた。また,中学生は再検査信頼性を検討するため,調査は2回に分けて行われた。また成人は39歳以下を分析の対象とした。
結果と考察
調査で得られた項目の中で天井効果が認められた1項目を除外し,HAD(清水,2016)を用いてMAP分析と並行分析を行ったところ,どちらも2因子解が適当であった。最尤法,プロマックス回転による因子分析行った結果,第1因子には「どんな生き方がしたいのか分かっている」や「こんな自分でいたいという思いをもって,努力する」といった項目から構成され,「価値の明確化とコミットメント(Clarification of Value and Commitment:CVC)」因子と命名した。第2因は「どうせダメとやる前からあきらめる」や「いやな気分になると大事なことが手につかない」等のの項目から構成され,「回避の持続(Continuation of Avoidace:CA)」因子と命名 した。回転前の寄与率は2因子で51.06%,CVCとCAとの因子間相関は-.26で,α係数は,それぞれ.87と.78だった。尺度の妥当性を検討するために,CVC,CAと妥当性検証のための尺度との相関係数を算出した。まず中学生においてCVCは充実感,Erosと正の相関が(それぞれr=.51,r=.55),CAは負の相関(それぞれr=-.40,r=-.41)が示された。過剰適応と,CVC,CAそれぞれの相関はr=-.13とr=.30であった。高校生ではErosとCVC,CAそれぞれにr=.42,r=-.41の相関がみられた。大学生で幸福感の「前向きな気持ち」「達成」「失望感」「自信」との間にCVCはr=.40~.56の正の相関が,CAとの間にr=-.21~-.41の負の相関が確認された。また,SWLSとCVC,CAの間にはそれぞれr=.52,r=-.29の相関があった。社会人においてもErosとCVC,CAでそれぞれr=.42とr=-.41となった。尺度の再検査信頼性は中学生サンプルのみで検討され,3週間の期間を空けての再検査信頼性はCVCとCAでr=.75と.64であった。VOYAGEには以上の結果からある程度の信頼性と妥当性が確認された。
引用文献
清水裕士(2016).フリーの統計分析ソフトHAD メディア・情報・コミュニケーション研究,1,59-73.