The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PD(01-64)

ポスター発表 PD(01-64)

Sun. Oct 9, 2016 10:00 AM - 12:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PD14] 大学生の親準備性

アダルトチルドレン傾向との関連

杉山佳菜子1, 小原菜月#2 (1.鈴鹿大学短期大学部, 2.串本町立橋杭小学校)

Keywords:親準備性, 大学生, アダルトチルドレン傾向

問題および目的
 親準備性とは「子どもが将来,家庭を築き経営していくために必要な,子どもの養育,家族の結合,結合,家事労働,介護を含む親としての資質,およびそれが備わった状態」と定義されている(岡本・古賀,2004)。親準備性には親との接触経験やアダルトチルドレン傾向(諸井ら,2013),自分の性の受容や子どもとの接触経験(八幡,2013)が親準備性の形成に及ぼすという指摘などがある。し
1)親準備性傾向得点
 西田・諸井(2010)に従い,6因子の親準備性傾向得点を算出した。α係数は「子どもに対する関心」因子でα=.846,「将来の子育てに対する不安」因子でα=.708,「モデルとしての父親」因子でα=.866,「親役割に対する積極的期待」因子でα=.809,「子どもに対する積極的期待」因子でα=.603,「モデルとしての母親」因子でα=.511とおおむね高い値が得られたため,先行研究に従うこととした。平均値はTable 2の通りである。かし,いずれの研究も女子学生を対象に研究を行っており,男子学生の親準備性について言及している研究は少ない。本研究では,諸井ら(2013)の研究をもとに,男子学生も含めたアダルトチルドレン傾向と親準備性との関連を検討し,アダルトチルドレン傾向が親準備性に与える影響には男女差がないことを明らかにすることを目的とする。
方   法
1.調査協力者:関西地区の私立大学に通う大学生132名(男子 92名,女子 40名)。平均年齢は19.7歳(SD=1.43)であった。
2.調査時期:2015年7月。
3.質問紙の構成 ①フェイスシート:年齢,性別,について尋ねた。
②親準備性傾向尺度:西田・諸井(2010)による親準備性傾向尺度の39項目を使用した。回答は「かなりあてはまる」から「ほとんどあてはまらない」の4件法で質問した。それぞれ4点から1点の得点を与え,先行研究に従い6因子に分類し,尺度得点を算出した(Table 1参照)。
③アダルトチルドレン傾向尺度:諸井(2007)のた,14項目について,「かなりあてはまる」から「まったくあてはまらない」までの4件法で質問した。それぞれ4点から1点の得点を与え,先行研究に従い3因子に分類し,尺度得点を算出した。
結果および考察
1.親準備性傾向得点の男女差 親準備性傾向尺度について性別によるt検定を行った(Table 1)。その結果「モデルとしての母親」因子にのみ有意差がみられた。女子の方が母親と同じような子育てをしたいと考えていることが示された。
2.アダルトチルドレン傾向との関連 親準備性傾向とアダルトチルドレン傾向との関連を男女別に検討した(Table 2およびTable 3)。親準備性傾向は女子の方がアダルトチルドレン傾向の影響をうけているといえる。また,アダルトチルドレン傾向のうち,対人関係不調和が親準備性に負の影響をしており,周囲の人といい関係を築けているという感覚が子どもに対する興味や期待の親準備性を高めることにつながっている。この結果はアダルトチルドレン傾向のうち「対人的不調和」においてのみ親準備性の育みを阻害するという諸井ら(2013)の女子学生結果を支持するものと言える。以上のことから大学生の親準備性傾向は男女ともに同じような傾向であることが示唆される。