The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PD(01-64)

ポスター発表 PD(01-64)

Sun. Oct 9, 2016 10:00 AM - 12:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PD58] 大学生の自己の性格に対する意識の構造

Big Five理論に基づく調査

河村壮一郎 (鳥取短期大学)

Keywords:性格の意識構造, 大学生, 5因子理論

問題と目的
 本研究では,大学生が自己の性格をどのように意識しているかを調査した。性格のBig Five理論では,個人の性格が主要な5つの要因から構成されるとされている。そこで,性格に対する意識はこの5要因と同様の構造となっていることが予想される。一方,意識される性格は5つに分類されない可能性がある。本調査では,Big Fiveの質問項目を用いて,性格に対する意識の程度を測定した。また,性格に対する意識と自己や自己肯定の意識との関連を吟味する。
方   法
1)調査対象者 大学(短期大学を含む)1,2年生188名(男性51名,女性137名)である。
2)調査内容 性格に対する意識を調査するため,Big Five尺度短縮版(並川他, 2012)の29項目の形容詞に対してふだん「意識することがありますか」と質問した。回答は「非常に意識する」~「まったく意識しない」までの7段階のリッカート尺度でなされた。
 また,自意識尺度(菅原, 1984)の21項目(7段階評定)と自己肯定意識尺度(平石,1990)の自己受容,自己実現的態度,充実感に関する19項目(5段階評定)を調査した。
結果と考察
 性格に対する意識を調査した29項目の結果について,因子分析(主因子法・プロマックス回転)を行った。その結果,表1に示されるように,5つの因子を抽出した。これらの因子はBig Fiveの分類と類似しているが,第1因子には,外向性以外の項目が含まれることから,「外向性・適応性」と命名した。
 因子ごとに性格の意識されやすさを推定するため,同一因子内の質問項目の回答値を集計した。各因子の平均値(標準偏差)は,「外向性・適応性」4.1(0.92),「情緒不安定性」5.0(0.97),「調和性」4.1(1.18),「誠実性」4.5(0.68),「開放性」4.0(1.16)であった。
 因子ごとに性格に対する意識の程度と自意識尺度および自己肯定意識尺度の得点との相関分析を行った。自意識尺度の「公的自意識」については5つの因子すべてと正の相関,「私的自意識」では「外向性・適応性」,「情緒不安定性」,「開放性」の3因子と正の相関が認められた。
 自己肯定意識尺度の「自己受容」および「自己実現」の得点は「外向性・適応性」,「開放性」の2因子と正の相関,「情緒不安定性」因子と負の相関が認められた。「充実感」では「外向性・適応性」因子と正の相関,「情緒不安定性」,「調和性」の2因子と負の相関があった。