日本教育心理学会第58回総会

講演情報

ポスター発表 PD(65-89)

ポスター発表 PD(65-89)

2016年10月9日(日) 10:00 〜 12:00 市民ギャラリー (1階市民ギャラリー)

[PD67] 通常学級における教師‐児童間相互作用と連携との関連に関する検討

「気になる児童」とのかかわりに対する教師の評価を通して

竹村洋子 (田園調布学園大学)

キーワード:発達障害, 担任教師, 特別支援教育

問題と目的
 特別支援教育の充実には,担任教師と児童の接近的相互作用の成立が重要であり,担任教師と校内,保護者,他機関との良好な連携は支援効果を高める条件となる (竹村, 2011)。通常学級における教師‐児童間相互作用と連携との関連について,児童とのかかわりに対する教師の評価の分析をもとに検討する。
方   法
 参加者:小学校通常学級担任教師8名。
 手続き:神奈川県公立学校での教育相談活動で,気になる児童とのかかわりについて,アンケートへの回答を求めた。アンケートは,児童とのかかわり及び連携に関する自由記述と問題性評価尺度・対処行動評価尺度 (竹村, 2008) で構成された。自由記述は,児童とのかかわりに関する記述について,竹村 (2009) の項目をもとに気になる児童の行動,学級での対応,対応時の児童の様子を分類し,連携に関する記述について,内容を検討した。二尺度は,集計結果を竹村 (2008) のローデータと照合し,各因子の標準得点を算出した。
 倫理的配慮:匿名性と拒否権の確保について文書を用いて説明を行った。学校長の許可を得て,特別支援教育コーディネーターを通じて各教師に協力を依頼した。
結果と考察
 気になる児童の行動に「パニックを起こす」はなく,「その他」の3ケース中2ケースでコミュニケーション行動が挙がった (Fig.1)。また,学級での対応は「連携」がのべ7ケースで,対応時の児童の様子には「改善」もあった (Fig.2)。これらの結果は竹村 (2009) と異なった。連携に関する記述では,校内や保護者との連携の実施が10ケース,他機関連携は2ケースで言及された。
 問題性評価から,case 1, 9, 10は対応不全を感じている状態,case 4, 5, 8 はかかわりが持てていない状態であった (Fig.3)。自由記述では 1,10は「改善せず」,4,5 は「一貫せず」,8,9 は「改善」であった。連携に関する記述で,1,4 では他機関と保護者との連携, 4, 5 は校内連携,10は保護者連携の難しさが述べられ,8 は他機関連携の開始,9 は保護者との連携について学級運営への影響が述べられた。
文   献
竹村 (2008). 教心, 56, 44-56.; 竹村 (2009). 障科, 33, 211-224.; 竹村 (2011) 特教, 49, 415-424.