[PE52] 大学生の社会的スキルの現状及び心理的ストレス反応との関連
アルバイト,部活動,学年による検討
Keywords:社会的スキル, 心理的ストレス反応, 大学生
問題と目的
青年期はアイデンティティの確立する段階として,心身ともに大人に向かい,社会に出る準備をする重要な段階である。そして社会へ進出する準備の中で,様々なスキルを身につけることが大切であると考える。社会的スキルとは,対人場面において相手に,適切かつ効果的に反応するために用いられる言語的・非言語的な対人行動を指す(中島,1999)。しかし近年,大学生の対人関係能力の低下やストレスに対する態勢の低さ,ストレスの対処の不適切さが指摘されている(斎藤,2002)。また,大学生の学生相談室に寄せられる相談件数は全国的に増加の傾向にある,との指摘もある(斎藤,2002)。そのため,学びの場である学校から社会への進出を目指す大学生が,社会的スキルを身に付けることが非常に重要だと考える。
本研究は,社会にでる前の大学生の社会的スキルの現状及び心理的ストレスとの関連を明らかにすることを目的とする。
方 法
調査対象:大学生224名
調査時期:2015年12月
調査内容:(1)フェイスシート:学年,年齢,性別をしているか,の記入を求めた。(2)アルバイト(している・してない)について答えを求めた。(3)部活動・サークルに入っているか。(4)Kiss-18社会的スキル尺度(菊池,2007)。18項目,4件法。(5)鈴木(1997)心理的ストレス反応尺度。18項目,4件法。
結果と考察
(1)まず,学年の違いによる社会的スキルについて検討するため,1要因分散分析を行った。その結果,「問題解決」,「コミュニケーション」において学年に有意な差があった。「トラブル処理」において,有意な差がみられなかった(Figure 1)。
(2)次に,アルバイトをしている学生としていない学生の社会的スキルについて検討するため,T検定を行った。その結果,「問題解決」,「トラブル処理」,「コミュニケーション」の3つの側面においては有意な差が見られなかった。
(3)部活動やサークルに入っている学生と入っていない学生の社会的スキルについて検討するため,T検定を行った。その結果,「問題解決」,「トラブル処理」,「コミュニケーション」の3つの側面においては有意な差が見られなかった。
(4)大学生の社会的スキルを構成する3変数を説明変数,ストレス反応尺度を構成する3変数をそれぞれ目的変数とする重回帰分析(強制投入法)を行った。その結果,「問題解決」は「ストレス反応」の全ての下位尺度に負の影響を与えることが明らかになった。一方,「コミュニケーション」は「ストレス反応」の全ての下位尺度に正の影響を与えることが明らかになった。(Figure 2)。
以上より,大学生において,社会的スキルは学年が上がると共に高くなることが考えられる。さらに,大学生の心理的ストレスは,問題解決スキルを高めることにより低くなることより,大学生において,問題解決スキルを高めることが望ましいと考えられる。
青年期はアイデンティティの確立する段階として,心身ともに大人に向かい,社会に出る準備をする重要な段階である。そして社会へ進出する準備の中で,様々なスキルを身につけることが大切であると考える。社会的スキルとは,対人場面において相手に,適切かつ効果的に反応するために用いられる言語的・非言語的な対人行動を指す(中島,1999)。しかし近年,大学生の対人関係能力の低下やストレスに対する態勢の低さ,ストレスの対処の不適切さが指摘されている(斎藤,2002)。また,大学生の学生相談室に寄せられる相談件数は全国的に増加の傾向にある,との指摘もある(斎藤,2002)。そのため,学びの場である学校から社会への進出を目指す大学生が,社会的スキルを身に付けることが非常に重要だと考える。
本研究は,社会にでる前の大学生の社会的スキルの現状及び心理的ストレスとの関連を明らかにすることを目的とする。
方 法
調査対象:大学生224名
調査時期:2015年12月
調査内容:(1)フェイスシート:学年,年齢,性別をしているか,の記入を求めた。(2)アルバイト(している・してない)について答えを求めた。(3)部活動・サークルに入っているか。(4)Kiss-18社会的スキル尺度(菊池,2007)。18項目,4件法。(5)鈴木(1997)心理的ストレス反応尺度。18項目,4件法。
結果と考察
(1)まず,学年の違いによる社会的スキルについて検討するため,1要因分散分析を行った。その結果,「問題解決」,「コミュニケーション」において学年に有意な差があった。「トラブル処理」において,有意な差がみられなかった(Figure 1)。
(2)次に,アルバイトをしている学生としていない学生の社会的スキルについて検討するため,T検定を行った。その結果,「問題解決」,「トラブル処理」,「コミュニケーション」の3つの側面においては有意な差が見られなかった。
(3)部活動やサークルに入っている学生と入っていない学生の社会的スキルについて検討するため,T検定を行った。その結果,「問題解決」,「トラブル処理」,「コミュニケーション」の3つの側面においては有意な差が見られなかった。
(4)大学生の社会的スキルを構成する3変数を説明変数,ストレス反応尺度を構成する3変数をそれぞれ目的変数とする重回帰分析(強制投入法)を行った。その結果,「問題解決」は「ストレス反応」の全ての下位尺度に負の影響を与えることが明らかになった。一方,「コミュニケーション」は「ストレス反応」の全ての下位尺度に正の影響を与えることが明らかになった。(Figure 2)。
以上より,大学生において,社会的スキルは学年が上がると共に高くなることが考えられる。さらに,大学生の心理的ストレスは,問題解決スキルを高めることにより低くなることより,大学生において,問題解決スキルを高めることが望ましいと考えられる。