[PE65] 小学校教員のネガティブ,ポジティブ職業生活出来事とうつとの関連に関する予備的分析
Keywords:小学校教員, 職業生活出来事, うつ
問題と目的
現在,小学校教員がメンタルヘルス不調に陥りやすい状況にあるのは様々な資料で明らかなところである。このような状況は今後も続く可能性があり,何らかの対策が不可欠である。本研究では小学校教員のネガティブ,ポジティブ感情と正の相関関係にあるネガティブ,ポジティブ職業生活出来事(森本・鈴江,2016)とうつ(depression)との関連を分析して,以上の対策に寄与する資料を得ることを目的とする。なお,以降ではネガティブ,ポジティブ職業生活出来事(Negative, Positive Work Life Events)をNWLEおよびPWLEと記す。
方 法
調査時期と手続き
今回の調査は2014年3月にWebを用いて行われた。具体的には,調査会社の全国モニター会員に対し調査内容を示したWeb画面が配信され,そのWeb画面から回答が得られた。
調査対象者
Web調査に回答したモニター会員のうち,不良回答者を除く小学校教員204人を今回の調査対象者とした。調査対象者の平均年齢(年齢幅)は48歳(25―64歳),性別人数は男性118人,女性86人であった。
調査内容とデータの整理
NWLEとPWLE 森本・鈴江(2016)が作成した項目で測定した。NWLEとPWLEは両者とも職員間の関係因子(NWLE1,PWLE1とする)と職場での役割因子(NWLE2,PWLE2とする)で構成され,計16項目からなる。各項目について最近半年間の体験頻度を4段階(1: まったくなかった,2: あまりなかった,3: ときどきあった,4: しょっちゅうあった)で評定させた。得られたデータはNWLE1,2,そしてPWLE1,2ごとに合計して得点化した。
うつ 日本語版CES-D(島・鹿野・北村・浅井,1985)で測定した。日本語版CES-Dは20項目で構成される。各項目を島ら(1985)に準じて評定させ,その後,得点化した。
結果と考察
NWLE,PWLEとうつの相関関係
NWLE1,2およびPWLE1,2と,うつとの相関関係を分析するため各得点を用いてピアソン積率相関係数を算出した。その結果,まずNWLE1,2とうつの相関係数はそれぞれ.388(p<.01)と.393(p<.01)となり正の相関関係にあった。またPWLE1,2とうつの相関係数は各々-.396(p<.01)と-.392(p<.01)となり負の相関関係にあった。したがってNWLE1,2の体験頻度が低く,PWLE1,2の体験が高いとうつの程度は低くなり,NWLE1,2の体験頻度が高く,PWLE1,2の体験頻度が低いとうつの程度は高くなることが考えられた。
NWLE,PWLEによるクラスター分析後の3群とうつの関係
クラスター分析(Ward法)によってNWLE1,2とPWLE1,2の体験頻度の類似度で分けられた3群をうつ得点平均値で並び替え(第1群から第3群へと昇順),各群のNWLE1,2得点とPWLE1,2得点の平均値を示したものがFigure 1である。なお,NWLE1,2得点とPWLE1,2得は事前に標準得点(z得点)化した。
うつ得点は16点がカットオフ値である(島ら,1985)ことと第1群から第3群までの各得点の推移から,今回の調査対象者となった小学校教員において,NWLE1,2の体験頻度が上昇し,PWLE1,2の体験頻度が低下すると,うつ状態と判定される傾向が高まると推察された。
現在,小学校教員がメンタルヘルス不調に陥りやすい状況にあるのは様々な資料で明らかなところである。このような状況は今後も続く可能性があり,何らかの対策が不可欠である。本研究では小学校教員のネガティブ,ポジティブ感情と正の相関関係にあるネガティブ,ポジティブ職業生活出来事(森本・鈴江,2016)とうつ(depression)との関連を分析して,以上の対策に寄与する資料を得ることを目的とする。なお,以降ではネガティブ,ポジティブ職業生活出来事(Negative, Positive Work Life Events)をNWLEおよびPWLEと記す。
方 法
調査時期と手続き
今回の調査は2014年3月にWebを用いて行われた。具体的には,調査会社の全国モニター会員に対し調査内容を示したWeb画面が配信され,そのWeb画面から回答が得られた。
調査対象者
Web調査に回答したモニター会員のうち,不良回答者を除く小学校教員204人を今回の調査対象者とした。調査対象者の平均年齢(年齢幅)は48歳(25―64歳),性別人数は男性118人,女性86人であった。
調査内容とデータの整理
NWLEとPWLE 森本・鈴江(2016)が作成した項目で測定した。NWLEとPWLEは両者とも職員間の関係因子(NWLE1,PWLE1とする)と職場での役割因子(NWLE2,PWLE2とする)で構成され,計16項目からなる。各項目について最近半年間の体験頻度を4段階(1: まったくなかった,2: あまりなかった,3: ときどきあった,4: しょっちゅうあった)で評定させた。得られたデータはNWLE1,2,そしてPWLE1,2ごとに合計して得点化した。
うつ 日本語版CES-D(島・鹿野・北村・浅井,1985)で測定した。日本語版CES-Dは20項目で構成される。各項目を島ら(1985)に準じて評定させ,その後,得点化した。
結果と考察
NWLE,PWLEとうつの相関関係
NWLE1,2およびPWLE1,2と,うつとの相関関係を分析するため各得点を用いてピアソン積率相関係数を算出した。その結果,まずNWLE1,2とうつの相関係数はそれぞれ.388(p<.01)と.393(p<.01)となり正の相関関係にあった。またPWLE1,2とうつの相関係数は各々-.396(p<.01)と-.392(p<.01)となり負の相関関係にあった。したがってNWLE1,2の体験頻度が低く,PWLE1,2の体験が高いとうつの程度は低くなり,NWLE1,2の体験頻度が高く,PWLE1,2の体験頻度が低いとうつの程度は高くなることが考えられた。
NWLE,PWLEによるクラスター分析後の3群とうつの関係
クラスター分析(Ward法)によってNWLE1,2とPWLE1,2の体験頻度の類似度で分けられた3群をうつ得点平均値で並び替え(第1群から第3群へと昇順),各群のNWLE1,2得点とPWLE1,2得点の平均値を示したものがFigure 1である。なお,NWLE1,2得点とPWLE1,2得は事前に標準得点(z得点)化した。
うつ得点は16点がカットオフ値である(島ら,1985)ことと第1群から第3群までの各得点の推移から,今回の調査対象者となった小学校教員において,NWLE1,2の体験頻度が上昇し,PWLE1,2の体験頻度が低下すると,うつ状態と判定される傾向が高まると推察された。