The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

Presentation information

ポスター発表 PF(01-64)

ポスター発表 PF(01-64)

Sun. Oct 9, 2016 4:00 PM - 6:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PF05] 大学生の旧友に対する態度に関する研究

旧友への会いづらさとその理由に着目した検討

阿部廣二1, 古山宣洋#2 (1.早稲田大学, 2.早稲田大学)

Keywords:青年期, 旧友, 友人関係

問題と目的
 地元の旧友に対して「会いづらい」といった独特な態度を持つ大学生の存在が指摘されている(阿部,2013)。若者の地元志向の高まり(土井,2010)のなかで,こうした大学生の旧友に対する独特な態度を心理学的な観点から検討することは,地元と大学生の関係を考える上で有意義であろう。本研究では,質問紙調査を通して以上の会いづらさがどの程度大学生に共有されているものなのかの検討を行った。加えて,会いづらさの理由を回答してもらうことで,理由の全体像を検討した。
方   法
調査時期:平成27年7月。回答者:北関東に位置する大学の大学生188名に対し質問紙を配布した(有効回答数185)。質問紙:「大学入学以前の友人で会いづらいと感じる人はいますか」に対して「はい/いいえ」で回答を求めた。次に,以上の理由を自由記述で記入させた。
結果と考察
 「大学入学以前の友人で会いづらいと感じる人はいますか」に対して,Table 1で示したように,全体の31%が「はい」と回答していることがわかった。次に以上の回答者に対しその理由を求めた結果,44件の自由記述を得た。得られた自由記述をKJ法を用いて整理した結果,Figure 1に示したカテゴリーが得られた。以下得られたカテゴリーの解釈を行なう。カテゴリー①は,話題が見つからないため会いづらいなどといった理由がまとめられた。こうしたカテゴリーでは,例えば「夢をあきらめた」など,過去からの変化が記述されることがあり,変化を起因とした漠然とした会いづらさを反映している可能性がある。カテゴリー②は旧友と会うことへの漠然とした面倒くささや連絡しづらいといった理由をまとめた。こうした理由は,カテゴリー①に類似するものと考えられる。カテゴリー③は距離が離れているため会えないなど,物理的・制度的制約に関わる理由がまとめられた。これはカテゴリー②の漠然とした会いづらさの理由になっている可能性がある。カテゴリー④は,「合わない」や「嫌い」など,旧友のパーソナリティへの評価に関わる理由がまとめられた。こうした理由は,カテゴリー①,②の漠然としたものとは対照的に,積極的な会いづらさの理由と考えられる。カテゴリー⑤は過去・現在のネガティブな出来事を起因として会いづらさが生じているという理由がまとめられた。これはカテゴリー④と同様,「出来事」という積極的な会いづらさの理由であるといえる。以上の整理を通して,カテゴリー④,⑤のように積極的な理由を通して会いづらさが生じている場合と,カテゴリー①,②のように漠然とした理由から会いづらさが生じている場合に分類できる可能性が見出された。後者の理由は大学生の発達的変化を反映していると考えられ,大学生の発達的背景を理解する上でこうした会いづらさに着目することの意義が示唆されたといえる。