The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PF(01-64)

ポスター発表 PF(01-64)

Sun. Oct 9, 2016 4:00 PM - 6:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PF30] 教えることについての態度尺度作成とBigFive性格特性との関連

早坂昌子1, 向後千春2 (1.早稲田大学, 2.早稲田大学)

Keywords:教えること, 尺度開発, BigFive性格特性

問題と目的
 教えるという行為は,日常生活において誰もが経験することである。教えることについての研究は,学習目標を達成するための技術や,学習方略に関する研究が多く,教える人自身の態度は注目されていない。しかし,人が人に教える以上,教える人の態度は,学習者に何かしらの影響を与えると考えられる。本研究では,教えることについての態度尺度を作成することと,Big Five性格特性,教える仕事に就いた経験との関係を明らかにすることを目的とした。
方   法
 調査対象者:成人178名(男性61名,女性113名,不明4名,平均年齢46.59歳(SD=9.93))であった。
 時期:2015年8月8日,8月10日,11月8日,2016年2月25日に成人を対象にした講座の参加者から任意で質問紙調査をおこなった。
 調査内容:(1) 教えることについての態度尺度は,大学教員と大学院生が項目を出し合い,6つに分類して質問項目38項目を作成した。
 (2) BigFive性格特性尺度として小塩・阿部・カトローニ(2012)が作成した,TIPI-J 10項目を使用した。
 以上の尺度について,(1) は「1.あてはまらない」〜「5.あてはまる」の5件法,(2) は,「1.全く違うと思う」〜「7.強くそう思う」の7件法で回答してもらった。
結   果
教えることについての態度尺度の因子分析
 教えることについての態度尺度38項目について,最尤法・Promax回転による因子分析の結果,3因子が抽出された(Table 1)。「教えることへの自信(α=.90)」,「教えることの価値(α=.79)」,「教える相手次第(α=.72)」と命名した。
TIPI-J,教える仕事に就いた経験との関連
 教えることについての態度尺度3因子とTIPI-Jの5つの特性について,相関係数を算出した。その結果,「教えることへの自信」は,外向 (r=.21(p<.01)),協調性(r=.15(p<.05)),勤勉性 (r=.28(p<.01)),開放性 (r=.28(p<.01)) と有意な正の相関が,神経症傾向 (r=.-.27(p<.01)) は有意な負の相関がみられた。「教えることの価値」は,外向性 (r=.17(p<.05)) に有意な正の相関がみられた。「教える相手次第」は,有意な相関はみられなかった。また,教える仕事に就いた経験のある人のほうが,「教えることへの自信」得点が有意に高かった(t(173)=4.89,p<.001)。
考   察
 教えることについての態度尺度の因子分析結果から,教えることの態度には,自身の態度(自信と価値)と教える相手側の問題の2側面であると示唆された。また,教えることについての態度尺度の各因子とTIPI-Jの各因子の相関から,教えることへの自信が高い人は,活発でしっかりしていて気分が安定している人と推察された。