The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PG(01-64)

ポスター発表 PG(01-64)

Mon. Oct 10, 2016 10:00 AM - 12:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PG40] 幼児期の絵本の事前提示が関連する遊びに与える影響

3歳児の絵本とダンボール遊び

辰巳友唯1, 鈴木由美2 (1.聖徳大学, 2.聖徳大学)

Keywords:絵本, 遊び, ダンボール

問題と目的
 今日,絵本の読み聞かせは家庭においても保育の現場においても日常的に行われており,子どもの発達における絵本の読み聞かせの重要性はこれまでも多く報告されている(大元・青柳,2012)。髙橋・首藤(2007)は,絵本を通して,一人ひとりの幼児がさまざまなことを感じたり,考えたりし,想像力を広げたり,知識をもったりすると述べている。これらの先行研究から,子どもたちは遊びを通して,見たり,感じたり,考えたりしたことを自分の経験や知識として学んでいることが考えられる。遊びの中でも,北島(1993)は,ダンボールを遊び素材として「遊びの展開の仕方が個人の興味にそってどうにでも遊べるものであり,また,細工や発見次第で遊び道具としても,子ども同士の関わりの点でも,いろんな形態の遊びへと展開できるような遊び素材」であると説明している。
 絵本と行事を結びつけた先行研究はあるが,幼児が多くの時間を過ごしている日常の園生活の中での仲間同士の遊びについて,観察されている研究は見当たらない。本研究では,絵本の事前提示(読み聞かせ)を「遊びの前に絵本を読み聞かせること」と定義する。目的としては,3歳児を対象にダンボールを題材にした絵本の読み聞かせの有無が関連する遊びに与える影響について明らかにしてみたい。
方   法
調査対象 公立保育所の幼児,3歳児30名(男子18名,女子12名)
実施時期 20XX年6月
手続き 子どもたちを2群にわけ,1群は絵本の読み聞かせ群と命名し,保育者および筆者が読み聞かせを行った後,ダンボールを含み自由に遊ぶこととした。読み聞かせの方法は,一通り読んだ後,絵本内容の振り返りを1度だけ行った。2群は絵本の読み聞かせなし群と命名し,絵本の読み聞かせはせず,ダンボールを含み自由に遊ぶこととした。
絵本 『ダンボールくん』絵・文ジェローム・リュイエ,訳しまだ かんぞう・小峰書店
結果・考察
 読み聞かせ群と読み聞かせなし群の遊びの種類について,Figure 1に示した。
 読み聞かせ群では,ダンボールに触れる,中に入るなど,ダンボールで遊ぼうとする子どもが多かった。少数ではあるが,ダンボールを絵本に出てきた家やふとんに見立てて遊ぶ子どももいた。絵を描くこと,ダンボールを電車やバスに見立てて遊ぶなどの以前から経験のある遊びもみられた。読み聞かせなし群では,遊び始めはダンボールに興味を示していたが,ダンボールから粘土遊びに派生し,最終的には粘土遊びになっていた。子どもたちは過去の遊びの経験からダンボ-ルよりも粘土に興味がある事がうかがえた。
 読み聞かせ群は,読み聞かせなし群より遊びの種類が多く,絵本を読んだことにより,ダンボールに興味を示し,遊びが広がることが明らかになった。しかし,両群ともにおえかきや電車ごっこで遊ぶ子どもがいたことから言えるように,子どもの遊びは経験したことが重要であり,繰り返し見たり触ったり読んだり聞いたりすることにより,身についていくことが示唆された。今後,絵本を繰り返し読み聞かせることが幼児期の遊びに与える影響について明らかにしていきたい。