[PG60] 大学生の友人関係の特徴と自己受容感との関連
キーワード:友人関係, 自己受容感
目 的
従来より,自己開示をする親密な友人関係を形成することは,青年期の青年にとって重要な意味があると考えられてきた。しかし近年では,親密な友人関係を持つことを避け,互いに傷つけ合わないよう気をつかうといった友人関係を形成する傾向があると言われている(岡田,2007)。
本研究では,以下の2つを検討することを目的とした。1つ目は,岡田(2007)を参考に,親密で内面を開示する特徴を持った友人関係を「内面的友人関係」,また表面的で希薄な友人関係を「表面的友人関係」と称し,大学生の友人関係の類型とその特徴を検討することである。2つ目は,大学生の友人関係と自己受容感との関連を検討することである。
方 法
大学生140名(男子31名,平均年齢19.39歳,標準偏差.558歳)(女子109名,平均年齢19.61歳,標準偏差.769歳)を対象に質問紙調査を行った。配布部数は153部,回収部数は149部,有効部数は140部であり,有効回答率は94.0%であった。質問紙は1)友人関係尺度の42項目(岡田,1999)2)自己受容測定尺度の35項目(沢崎,1993)で構成されている。1)については6件法で,2)については5件法で回答を求めた。
結果と考察
1.友人関係の類型とその特徴の検討
大学生の友人関係のあり様を検討するため,友人関係尺度の各下位尺度の合成得点をもとに,Ward法によるクラスター分析(平方ユークリッド距離)を行った。その結果,デンドログラムより,3クラスターが妥当であると判断した。
次に,各クラスターの友人関係の特徴を検討するため,1要因分散分析を行った。その結果をTable 1に示す。
第1クラスターは友人関係尺度の「不侵入」と「傷つき回避」の得点が3群中最も低かった。この結果から,第1クラスターの大学生は,友人と親密な関係を形成するという特徴を持っていると考えられるため,「内面的友人関係」を形成していると考えられる。
第2クラスターは「やさしさ」と「楽しさ」の得点が3群中最も低かった。この結果から,第2クラスターの大学生は,友人関係の形成に対して比較的関心が低いという特徴を持っていると考えられる。この特徴から希薄な友人関係がうかがえるため,「表面的友人関係」を形成していると考えられる。
第3クラスターは友人関係尺度の下位尺度全てにおいて,その得点が3群中最も高かった。この結果から,第3クラスターの大学生は,自他ともに傷つくことを恐れ,相手に気をつかいながら関係を維持するという特徴を持っていると考えられるため,「表面的友人関係」を形成していると考えられる。
2.友人関係の類型と自己受容感との関連
大学生の友人関係の類型間における自己受容感の差異を検討するため,1要因分散分析を行った。その結果,3つのクラスター間における自己受容感の程度に有意差は見られなかった。また,有意ではないものの,表面的友人関係を形成する大学生の方が,内面的友人関係を形成する大学生よりも,自己受容測定尺度の各下位尺度の平均値が高い傾向がみられた。
従来より,自己開示をする親密な友人関係を形成することは,青年期の青年にとって重要な意味があると考えられてきた。しかし近年では,親密な友人関係を持つことを避け,互いに傷つけ合わないよう気をつかうといった友人関係を形成する傾向があると言われている(岡田,2007)。
本研究では,以下の2つを検討することを目的とした。1つ目は,岡田(2007)を参考に,親密で内面を開示する特徴を持った友人関係を「内面的友人関係」,また表面的で希薄な友人関係を「表面的友人関係」と称し,大学生の友人関係の類型とその特徴を検討することである。2つ目は,大学生の友人関係と自己受容感との関連を検討することである。
方 法
大学生140名(男子31名,平均年齢19.39歳,標準偏差.558歳)(女子109名,平均年齢19.61歳,標準偏差.769歳)を対象に質問紙調査を行った。配布部数は153部,回収部数は149部,有効部数は140部であり,有効回答率は94.0%であった。質問紙は1)友人関係尺度の42項目(岡田,1999)2)自己受容測定尺度の35項目(沢崎,1993)で構成されている。1)については6件法で,2)については5件法で回答を求めた。
結果と考察
1.友人関係の類型とその特徴の検討
大学生の友人関係のあり様を検討するため,友人関係尺度の各下位尺度の合成得点をもとに,Ward法によるクラスター分析(平方ユークリッド距離)を行った。その結果,デンドログラムより,3クラスターが妥当であると判断した。
次に,各クラスターの友人関係の特徴を検討するため,1要因分散分析を行った。その結果をTable 1に示す。
第1クラスターは友人関係尺度の「不侵入」と「傷つき回避」の得点が3群中最も低かった。この結果から,第1クラスターの大学生は,友人と親密な関係を形成するという特徴を持っていると考えられるため,「内面的友人関係」を形成していると考えられる。
第2クラスターは「やさしさ」と「楽しさ」の得点が3群中最も低かった。この結果から,第2クラスターの大学生は,友人関係の形成に対して比較的関心が低いという特徴を持っていると考えられる。この特徴から希薄な友人関係がうかがえるため,「表面的友人関係」を形成していると考えられる。
第3クラスターは友人関係尺度の下位尺度全てにおいて,その得点が3群中最も高かった。この結果から,第3クラスターの大学生は,自他ともに傷つくことを恐れ,相手に気をつかいながら関係を維持するという特徴を持っていると考えられるため,「表面的友人関係」を形成していると考えられる。
2.友人関係の類型と自己受容感との関連
大学生の友人関係の類型間における自己受容感の差異を検討するため,1要因分散分析を行った。その結果,3つのクラスター間における自己受容感の程度に有意差は見られなかった。また,有意ではないものの,表面的友人関係を形成する大学生の方が,内面的友人関係を形成する大学生よりも,自己受容測定尺度の各下位尺度の平均値が高い傾向がみられた。