[PG68] 視機能を活用した,視覚障害領域以外での有効な工夫について
視覚障害教育における視機能の把握を広く,特別支援教育の領域に活用するために
Keywords:特別支援教育, 視機能, 知能検査
はじめに
視覚障害教育について,児童生徒に対して加えられる多様な支援・介入の方向性は,詳細なアセスメントの結果得られたものである。視覚の機能は,知的障害や発達障害など他の領域の教育に関する支援・介入においても有効な部分が見出される。作業学習などの実践では,多様な指導の中で,有効な個に対する支援は困難な部分も多く,必要なニーズをかならずしも満たしていない部分が多く見出される。個別の児童生徒の自立に向けた真の支援は,必要な基礎的情報の上に形成されるものであり,個々の事例に応じた多様な状況に配慮した指導を広く行っていくためには,有効な支援の方向性を明確にしていく必要性がある。
視覚障害を持つ児童生徒への支援や取り組みは,視覚障害に関する支援学校・支援学級での実践の様子の検討を加えるとともに,それがどのように他領域の障害の教育で生かされていくべきか見ていく必要性がある。「見え方」が認知・理解に関する面の個々の情報を,有効に活用していくか,そうでないかといった面で,視覚機能を認識,理解の面で取り組み重点の置き方は異なる。知的領域の支援学校での支援,取り組みは有効な場合もあるが,個々の事例で軽重の置き方を考えなければ,有効性も十分には生かされない可能性がある。就労等の側面を中心とした実践に向けたシステムは個を中心とした価値観ではなく,経済的なある程度の自立に立脚した方向性を志向する傾向が強まっており,相対的な目に見える社会参加,関与への力を障害の軽重に関わらず示していくことに問題性を感じる。社会的自立に関して,視覚的認知との関連で,プラニング,同時処理,継時処理といった側面について検討は必要である。その面で「見ること」の機能が認知面等で与える個々の事例について,視覚障害教育においてなされるような視機能,見え方と認識,認知,判断の機能面で個々のアセスメントを十分に行う必要がある。視覚優位であるか,言語優位であるかを判断することは個々の児童生徒の状況を判断するうえで,一定の評価はできるが,それを行動パターンすべての傾向としてアプローチのための判断に持っていくことの是非について再度考え
る必要がある。
考察・検証
知的領域からの実践によって,確実な就労を企図した教育的な見方は一部の知的障害教育では顕著である。しかし,教育課程の中での突出した作業学習,一部での長期にわたる校外実習の実施のみで,個々の生徒の爾後の社会的な発達を見通せるものではない。
個の「習熟」が,どのような個の能力を高めているかについては,個別のケースでの必要な支援・介入について,児童生徒の結果としてのアウトプットの状況をそれ以前の児童生徒が置かれた条件のどこにあるのか詳細に検討する方法論を一般化していく必要がある。また,発達障害等も併せ持つ児童生徒に対して,個々の作業に取り組む際の発見,気づき,意欲などの側面が,内的発動から獲得されるものでなく,経験的に獲得されるよう仕向けるということを示しているだけである。個の学びと発見を重視する視覚障害教育における個の学習過程の詳細な検討によって,視機能の検査も有効な実態を知るものとして大きな応用の可能性があると思われる。
視覚障害教育においては,児童生徒の視覚的な情報の欠如,欠損の状況についてその実情をしっかり把握し,障害を補完するための「触れ」「感じ」「聞く」等の感覚のデバイスを高める取り組みがなされている。「見える」ことを前提として,個々の児童生徒がどのように「見て」いるのかあるいは,どのように「見え」にくいのかを個々の知ることで,視覚的援助が多用される発達障害等の児童生徒への指導で個の学びと能力の向上について有効な一助ともなるはずである。
おわりに
「見えること」=「わかること(判断する,理解する)」ことであり,視覚認知の方法について適切さの判断について有効なビジョンを得るために,明確で合理的な視覚面での支援の有効性を再認識することが,有効な認知につながる視覚支援等への指針へもつながると思われる。視覚の機能は視機能の検査や視認知の面での知能検査等の把握して,有効なアセスメントの結果を有効に利用することが必要であろう。
参考文献
「視覚障害等に関連する認知機能の障害に応じた行動支援のあり方」, 第56回日本教育心理学会発表論文集,p516
視覚障害教育について,児童生徒に対して加えられる多様な支援・介入の方向性は,詳細なアセスメントの結果得られたものである。視覚の機能は,知的障害や発達障害など他の領域の教育に関する支援・介入においても有効な部分が見出される。作業学習などの実践では,多様な指導の中で,有効な個に対する支援は困難な部分も多く,必要なニーズをかならずしも満たしていない部分が多く見出される。個別の児童生徒の自立に向けた真の支援は,必要な基礎的情報の上に形成されるものであり,個々の事例に応じた多様な状況に配慮した指導を広く行っていくためには,有効な支援の方向性を明確にしていく必要性がある。
視覚障害を持つ児童生徒への支援や取り組みは,視覚障害に関する支援学校・支援学級での実践の様子の検討を加えるとともに,それがどのように他領域の障害の教育で生かされていくべきか見ていく必要性がある。「見え方」が認知・理解に関する面の個々の情報を,有効に活用していくか,そうでないかといった面で,視覚機能を認識,理解の面で取り組み重点の置き方は異なる。知的領域の支援学校での支援,取り組みは有効な場合もあるが,個々の事例で軽重の置き方を考えなければ,有効性も十分には生かされない可能性がある。就労等の側面を中心とした実践に向けたシステムは個を中心とした価値観ではなく,経済的なある程度の自立に立脚した方向性を志向する傾向が強まっており,相対的な目に見える社会参加,関与への力を障害の軽重に関わらず示していくことに問題性を感じる。社会的自立に関して,視覚的認知との関連で,プラニング,同時処理,継時処理といった側面について検討は必要である。その面で「見ること」の機能が認知面等で与える個々の事例について,視覚障害教育においてなされるような視機能,見え方と認識,認知,判断の機能面で個々のアセスメントを十分に行う必要がある。視覚優位であるか,言語優位であるかを判断することは個々の児童生徒の状況を判断するうえで,一定の評価はできるが,それを行動パターンすべての傾向としてアプローチのための判断に持っていくことの是非について再度考え
る必要がある。
考察・検証
知的領域からの実践によって,確実な就労を企図した教育的な見方は一部の知的障害教育では顕著である。しかし,教育課程の中での突出した作業学習,一部での長期にわたる校外実習の実施のみで,個々の生徒の爾後の社会的な発達を見通せるものではない。
個の「習熟」が,どのような個の能力を高めているかについては,個別のケースでの必要な支援・介入について,児童生徒の結果としてのアウトプットの状況をそれ以前の児童生徒が置かれた条件のどこにあるのか詳細に検討する方法論を一般化していく必要がある。また,発達障害等も併せ持つ児童生徒に対して,個々の作業に取り組む際の発見,気づき,意欲などの側面が,内的発動から獲得されるものでなく,経験的に獲得されるよう仕向けるということを示しているだけである。個の学びと発見を重視する視覚障害教育における個の学習過程の詳細な検討によって,視機能の検査も有効な実態を知るものとして大きな応用の可能性があると思われる。
視覚障害教育においては,児童生徒の視覚的な情報の欠如,欠損の状況についてその実情をしっかり把握し,障害を補完するための「触れ」「感じ」「聞く」等の感覚のデバイスを高める取り組みがなされている。「見える」ことを前提として,個々の児童生徒がどのように「見て」いるのかあるいは,どのように「見え」にくいのかを個々の知ることで,視覚的援助が多用される発達障害等の児童生徒への指導で個の学びと能力の向上について有効な一助ともなるはずである。
おわりに
「見えること」=「わかること(判断する,理解する)」ことであり,視覚認知の方法について適切さの判断について有効なビジョンを得るために,明確で合理的な視覚面での支援の有効性を再認識することが,有効な認知につながる視覚支援等への指針へもつながると思われる。視覚の機能は視機能の検査や視認知の面での知能検査等の把握して,有効なアセスメントの結果を有効に利用することが必要であろう。
参考文献
「視覚障害等に関連する認知機能の障害に応じた行動支援のあり方」, 第56回日本教育心理学会発表論文集,p516