[PG79] 教室で援助要請行動がどうしてできないのか
仲間はずれ傾向・不登校傾向・発達障がい傾向のある児童に着目して
Keywords:援助要請, 児童
目 的
援助要請行動が行えないのはなぜかについて「仲間はずれ傾向」「不登校傾向」「発達障がい傾向」のある児童に着目し明らかにする。
方 法
対象者 2016年1月に一都三県の公立小学校450名のクラス担任(特別支援学級を除く)を対象に質問紙調査を行った。回収した質問紙は121部(27%),クラスの児童の合計は3351名であった。
調査内容 援助要請行動に関する質問項目に対して,クラス担任に「仲間はずれ傾向」「不登校傾向」「発達障がい傾向」のある児童に着目して,回答するよう求めた。3タイプの児童が在籍している場合,各1名ずつ挙げてもらい,A.休み時間友人との関係で困った事があった際の援助要請,B.授業中のやりとりの場面で困った事があった際の援助要請,の2つの場面について回答を求めた。援助要請行動ができるか,できないかを尋ねた後,援助要請行動ができない要因として「1.自分は困っているとわからない(理解力不足)」「2.援助の求め方がわからない(技術不足)」「3.自分は困っていると言いたくない(こだわり)」「4.言える雰囲気ではない(環境面の制約)」「5.援助を求めるのが面倒になり諦めてしまう(無気力)」「6.その他」,の6つから選択するよう求めた(複数回答可)。
結果と考察
「仲間はずれ傾向」のある児童は83名(2.4%),「不登校傾向」のある児童は102名(3.0%),「発達障がい傾向」のある児童は262名(7.8%)であった。A.休み時間友人との関係で困った事があった際「仲間はずれ傾向」のある児童のうち11名(24%)が援助を求められず,32名(70%)が援助を求められ,「その他」は3名(7%)であった。「不登校傾向」のある児童のうち15名(34%)が援助を求められず,27名(61%)が援助を求められ,「その他」は2名(5%)であった。「発達障がい傾向」のある児童のうち21名(26%)が援助を求められず,54名(68%)が援助を求められ,「その他」は5名(6%)という結果が得られた。B.授業中のやりとりの場面で困った事があった際「仲間はずれ傾向」のある児童のうち15名(33%)が援助を求められず,27名(60%)が援助を求められ,「その他」は3名(7%)であった。「不登校傾向」のある児童のうち21名(50%)が援助を求められず,19名(45%)が援助を求められ,「その他」は2名(5%)であった。「発達障がい傾向」のある児童のうち32名(42%)が援助を求められず,37名(49%)が援助を求められ,「その他」は7名(9%)という結果が得られた。「仲間はずれ傾向」「不登校傾向」「発達障がい傾向」全てのタイプにおいて,Aの場面では約3割,Bの場面では約4割の児童が援助要請できていないことが明らかになった。A.休み時間友人との関係で困った事があった際には「仲間はずれ傾向」のある児童が援助を求められない理由として最も多くあげられたのは,「2.援助の求め方がわからない」で8名(36%)「3.自分は困っていると言いたくない(こだわり)」で8名(36%)であり,「不登校傾向」のある児童が援助を求められない理由として最も多くあげられたのは,「2.援助の求め方がわからない」で7名(26%)であり,「発達障がい傾向」のある児童が援助を求められない理由として最も多くあげられたのは,「①自分は困っているとわからない」で19名(40%)であった。B.授業中のやりとりの場面で困った事があった際には「仲間はずれ傾向」のある児童が援助を求められない理由として最も多くあげられたのは,「3.自分は困っていると言いたくない(こだわり)」で8名(31%)「4.言える雰囲気ではない」で8名(31%)であり,「不登校傾向」のある児童が援助を求められない理由として最も多くあげられたのは,「3.自分は困っていると言いたくない(こだわり)」で11名(39%)であり,「発達障がい傾向」のある児童が援助を求められない理由として最も多くあげられたのは,「3.自分は困っていると言いたくない(こだわり)」で17名(37%)あった。援助要請できない要因に関してはA.休み時間友人との関係で困った事があった際では3タイプにそれぞれに特徴があり,B.授業中のやりとりの場面で困った事があった際では,どのタイプでも「3.自分は困っていると言いたくない(こだわり)」が要因になっていることがわかる。
本調査から,援助要請行動ができない児童が休み時間の場面では約3割,授業中の場面では約4割いることが明らかとなった。そこで,教師から援助要請行動を促進するような働きかけと環境設定の必要があると言える。場面や子どもの性格・特性によって援助要請ができない要因が異なっているということを踏まえた上で,援助要請行動を促進する働きかけを行っていく必要があるだろう。
援助要請行動が行えないのはなぜかについて「仲間はずれ傾向」「不登校傾向」「発達障がい傾向」のある児童に着目し明らかにする。
方 法
対象者 2016年1月に一都三県の公立小学校450名のクラス担任(特別支援学級を除く)を対象に質問紙調査を行った。回収した質問紙は121部(27%),クラスの児童の合計は3351名であった。
調査内容 援助要請行動に関する質問項目に対して,クラス担任に「仲間はずれ傾向」「不登校傾向」「発達障がい傾向」のある児童に着目して,回答するよう求めた。3タイプの児童が在籍している場合,各1名ずつ挙げてもらい,A.休み時間友人との関係で困った事があった際の援助要請,B.授業中のやりとりの場面で困った事があった際の援助要請,の2つの場面について回答を求めた。援助要請行動ができるか,できないかを尋ねた後,援助要請行動ができない要因として「1.自分は困っているとわからない(理解力不足)」「2.援助の求め方がわからない(技術不足)」「3.自分は困っていると言いたくない(こだわり)」「4.言える雰囲気ではない(環境面の制約)」「5.援助を求めるのが面倒になり諦めてしまう(無気力)」「6.その他」,の6つから選択するよう求めた(複数回答可)。
結果と考察
「仲間はずれ傾向」のある児童は83名(2.4%),「不登校傾向」のある児童は102名(3.0%),「発達障がい傾向」のある児童は262名(7.8%)であった。A.休み時間友人との関係で困った事があった際「仲間はずれ傾向」のある児童のうち11名(24%)が援助を求められず,32名(70%)が援助を求められ,「その他」は3名(7%)であった。「不登校傾向」のある児童のうち15名(34%)が援助を求められず,27名(61%)が援助を求められ,「その他」は2名(5%)であった。「発達障がい傾向」のある児童のうち21名(26%)が援助を求められず,54名(68%)が援助を求められ,「その他」は5名(6%)という結果が得られた。B.授業中のやりとりの場面で困った事があった際「仲間はずれ傾向」のある児童のうち15名(33%)が援助を求められず,27名(60%)が援助を求められ,「その他」は3名(7%)であった。「不登校傾向」のある児童のうち21名(50%)が援助を求められず,19名(45%)が援助を求められ,「その他」は2名(5%)であった。「発達障がい傾向」のある児童のうち32名(42%)が援助を求められず,37名(49%)が援助を求められ,「その他」は7名(9%)という結果が得られた。「仲間はずれ傾向」「不登校傾向」「発達障がい傾向」全てのタイプにおいて,Aの場面では約3割,Bの場面では約4割の児童が援助要請できていないことが明らかになった。A.休み時間友人との関係で困った事があった際には「仲間はずれ傾向」のある児童が援助を求められない理由として最も多くあげられたのは,「2.援助の求め方がわからない」で8名(36%)「3.自分は困っていると言いたくない(こだわり)」で8名(36%)であり,「不登校傾向」のある児童が援助を求められない理由として最も多くあげられたのは,「2.援助の求め方がわからない」で7名(26%)であり,「発達障がい傾向」のある児童が援助を求められない理由として最も多くあげられたのは,「①自分は困っているとわからない」で19名(40%)であった。B.授業中のやりとりの場面で困った事があった際には「仲間はずれ傾向」のある児童が援助を求められない理由として最も多くあげられたのは,「3.自分は困っていると言いたくない(こだわり)」で8名(31%)「4.言える雰囲気ではない」で8名(31%)であり,「不登校傾向」のある児童が援助を求められない理由として最も多くあげられたのは,「3.自分は困っていると言いたくない(こだわり)」で11名(39%)であり,「発達障がい傾向」のある児童が援助を求められない理由として最も多くあげられたのは,「3.自分は困っていると言いたくない(こだわり)」で17名(37%)あった。援助要請できない要因に関してはA.休み時間友人との関係で困った事があった際では3タイプにそれぞれに特徴があり,B.授業中のやりとりの場面で困った事があった際では,どのタイプでも「3.自分は困っていると言いたくない(こだわり)」が要因になっていることがわかる。
本調査から,援助要請行動ができない児童が休み時間の場面では約3割,授業中の場面では約4割いることが明らかとなった。そこで,教師から援助要請行動を促進するような働きかけと環境設定の必要があると言える。場面や子どもの性格・特性によって援助要請ができない要因が異なっているということを踏まえた上で,援助要請行動を促進する働きかけを行っていく必要があるだろう。