[PG82] 中学生の攻撃性とセルフ・コントロール及びコミュニケーション特性の関連(1)
中学生用コミュニケーション特性尺度の開発
キーワード:中学生, コミュニケーション, 攻撃性
問題と目的
近年,中学生における攻撃性とコミュニケーションの関連について,数多くの研究が行われている(安達・佐藤・東海林・三船,2012; 村上・西村・櫻井,2014)。中学生が攻撃性をコントロールできるか否かは,学校生活に適応し他者との円滑なコミュニケーションを築く上で,重要な問題である。また,セルフ・コントロールは自発的に自己の感情や行動を統制するものであり,中学校生活における対人関係を促進し,怒りを抑制する効果があることが指摘されている(崔・庄司,2013)。これまで攻撃性やセルフ・コントロール,コミュニケーションのいずれか2者の関連についての研究は多く行われてきたが,これら3者の関連についての検討は行われていない。また,コミュニケーションには意識・無意識に関わらず相手に表出するパターンとしての特性があると考えられるが,中学生のコミュニケーション・スキルや学校生活スキル等,スキルを測る尺度は開発されていても(安達・佐藤・東海林・三船・佐伯,2009; 飯田・石隈,2002),特性を測る尺度はない。
そこで本研究では,中学生の攻撃性やセルフ・コントロールとコミュニケーション特性の関連を明らかにするために必要な,中学生のコミュニケーション特性を測定する尺度を開発することを目的とした。
方 法
回答者:公立中学校の1年生から3年生303名に 調査を実施した(有効回答者249名:男子116名,女子133名,1年99名,2年84名,3年66名)。
調査内容:夫婦間コミュニケーション態度尺度 (平山・柏木,2001)を参考に作成した中学生用コミュニケーション特性尺度,既存のコミュニケーション・スキル尺度24項目(藤本・大坊,2007)。
結果と考察
中学生用コミュニケーション特性尺度40項目の因子分析を最尤法・プロマックス回転で行い,4因子構造23項目を抽出した結果をTable 1に示した。クロンバックのα係数を算出したところ,第1因子から第3因子に.700以上の内的一貫性が見られた。第4因子は.567と低かったが,中学生のコミュニケーション特性として重要であると考え,因子に加えた。第1因子は友人との共感や親和的な態度に相当する「共感・接近」,第2因子は「自分本位」,第3因子は「威圧」,第4因子は自分の思いを友人に明かさない「衝突回避」とした。
コミュニケーション特性の4つの因子の得点の平均値とコミュニケーション・スキル尺度の下位因子の得点の平均値の相関分析を行った結果をTable 2に示した。コミュニケーション特性のうち「共感・接近」は全てのコミュニケーション・スキルの下位因子の得点との間に弱めから比較的強めの正の相関がみられた。コミュニケーション特性のうち「共感・接近」の基準関連的妥当性が示されたと考えられる。その他「自分本位」「威圧」「衝突回避」は,コミュニケーション・スキルの下位因子の得点とそれぞれに正負の相関がみられ,各コミュニケーション特性の特徴が示された。
近年,中学生における攻撃性とコミュニケーションの関連について,数多くの研究が行われている(安達・佐藤・東海林・三船,2012; 村上・西村・櫻井,2014)。中学生が攻撃性をコントロールできるか否かは,学校生活に適応し他者との円滑なコミュニケーションを築く上で,重要な問題である。また,セルフ・コントロールは自発的に自己の感情や行動を統制するものであり,中学校生活における対人関係を促進し,怒りを抑制する効果があることが指摘されている(崔・庄司,2013)。これまで攻撃性やセルフ・コントロール,コミュニケーションのいずれか2者の関連についての研究は多く行われてきたが,これら3者の関連についての検討は行われていない。また,コミュニケーションには意識・無意識に関わらず相手に表出するパターンとしての特性があると考えられるが,中学生のコミュニケーション・スキルや学校生活スキル等,スキルを測る尺度は開発されていても(安達・佐藤・東海林・三船・佐伯,2009; 飯田・石隈,2002),特性を測る尺度はない。
そこで本研究では,中学生の攻撃性やセルフ・コントロールとコミュニケーション特性の関連を明らかにするために必要な,中学生のコミュニケーション特性を測定する尺度を開発することを目的とした。
方 法
回答者:公立中学校の1年生から3年生303名に 調査を実施した(有効回答者249名:男子116名,女子133名,1年99名,2年84名,3年66名)。
調査内容:夫婦間コミュニケーション態度尺度 (平山・柏木,2001)を参考に作成した中学生用コミュニケーション特性尺度,既存のコミュニケーション・スキル尺度24項目(藤本・大坊,2007)。
結果と考察
中学生用コミュニケーション特性尺度40項目の因子分析を最尤法・プロマックス回転で行い,4因子構造23項目を抽出した結果をTable 1に示した。クロンバックのα係数を算出したところ,第1因子から第3因子に.700以上の内的一貫性が見られた。第4因子は.567と低かったが,中学生のコミュニケーション特性として重要であると考え,因子に加えた。第1因子は友人との共感や親和的な態度に相当する「共感・接近」,第2因子は「自分本位」,第3因子は「威圧」,第4因子は自分の思いを友人に明かさない「衝突回避」とした。
コミュニケーション特性の4つの因子の得点の平均値とコミュニケーション・スキル尺度の下位因子の得点の平均値の相関分析を行った結果をTable 2に示した。コミュニケーション特性のうち「共感・接近」は全てのコミュニケーション・スキルの下位因子の得点との間に弱めから比較的強めの正の相関がみられた。コミュニケーション特性のうち「共感・接近」の基準関連的妥当性が示されたと考えられる。その他「自分本位」「威圧」「衝突回避」は,コミュニケーション・スキルの下位因子の得点とそれぞれに正負の相関がみられ,各コミュニケーション特性の特徴が示された。