The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PH(01-64)

ポスター発表 PH(01-64)

Mon. Oct 10, 2016 1:00 PM - 3:00 PM 展示場 (1階展示場)

[PH24] アーギュメントと情意面の評価の関連(1)

中学校理科の「音」を題材とした授業を通して

新村宏樹1, 高橋知己2 (1.上越教育大学大学院, 2.上越教育大学)

Keywords:中学校理科, アーギュメント, 関心・意欲・態度

問題と目的
 科学的な思考力・表現力を育成するために,理科の授業にアーギュメントを取り入れた取組が行われている。これまでワークシートを活用してアーギュメントを構成する授業実践がみられる。坂本ら(2014)によると,小学校5年生の授業では主張,証拠,理由づけの役割が理解され,各要素が記述できたことと,その後の課題においてもアーギュメント・スキルが転移したことを報告している。このような活動により,経験や知識,観察結果や実験データ等を活用し,理論的な推論を通して,体系的な知識へと整理することができ,科学的な思考力・表現力を高める効果があると考えられる。また,藤田ら(2015)はアーギュメントを取り入れた授業を行い,科学的な思考力が育成されたことと,話し合いによって相手に質問する機会が与えられ,納得がいくまで説明を求めることができたことを報告しており,学習への関心を高める効果が考えられる。さらに,グループでの活動の効果に関する先行研究より,生徒がアーギュメントの流れを示したワークシートを活用し,グループでの活動を行うことは,グループの生徒同士の親和性や学習への意欲を高め,個人だけでなくグループの生徒の科学的な思考力・表現力を高めることに効果があることが考えられる。
 そこで本研究では,中学校理科の授業においてアーギュメントの構造化を促し,そのスキルの獲得を狙うワークシートを使うことにより,生徒のアーギュメント・スキルの獲得や学習内容の定着と,理科の学習への関心・意欲・態度との関連について検討する。今回は関心・意欲・態度の評価について報告する。
方   法
 対象者 公立A中学校に通う第1学年4学級の生徒137名(男子67名,女子70名)。
 質問紙 平成27年度全国学力・学習状況調査の質問紙調査と中谷・遠山・出口(2002)の作成した理科の学習への興味・関心尺度を参考にして,20項目の理科の学習への関心・意欲・態度尺度を構成した。
 調査時期 平成27年12月上旬
結果と考察
 理科の学習への関心・意欲・態度尺度20項目に対して,因子分析を行ったところ,4因子が抽出された。第1因子は「日常生活との関連」,第2因子は「自然現象の探究」,第3因子は「観察・実験の論理的な思考」,第4因子は「観察・実験の体験」と命名した(Table 1)。田中(2015)は,興味の源泉によって浅い興味と深い興味に分類され,深い興味には価値の認知や豊富な知識量が必要であることを指摘して,理科に対する興味の分類を行っている。これらより,浅い関心・意欲・態度として「自然現象の探究」「観察・実験の体験」,深い関心・意欲・態度として「日常生活との関連」「観察・実験の論理的な思考」と大きく分類できると考えられ,理科の学習への関心・意欲・態度に関連する学習状況を判断する際の視点として捉えることができるといえる。今後,ワークシートに記述されたアーギュメントの得点や確認問題の得点と,関心・意欲・態度の得点との関連の分析を進めていく。