日本教育心理学会第58回総会

講演情報

ポスター発表 PH(01-64)

ポスター発表 PH(01-64)

2016年10月10日(月) 13:00 〜 15:00 展示場 (1階展示場)

[PH26] ペアでの平面図形の証明過程におけるつまずきの分析

分野特性と学習形態からの影響に注目して

大越健斗 (東京大学大学院)

キーワード:つまずき, ペア, 平面図形

問題と目的
 平面図形分野における生徒の証明過程のつまずきを明らかにすることは,証明構築の支援を検討する上で役に立つ。
 これまで生徒の平面図形の証明過程のつまずきを検討した研究は少ない。また,証明には説明やコミュニケーションなどの機能が指摘されおり(de Villiers, 1990),協同で学ぶことに適した分野であることが予想される。しかし,協同で学ぶ際には個人での学習時にはみられなかったつまずきが生じる可能性もある(e.g., 権・藤村,2004)。よって,平面図形分野の生徒の協同での証明過程のつまずきを,分野特性と協同であることを考慮して明らかにする必要がある。
 したがって,本研究は平面図形分野における生徒のつまずきとその原因を,分野特性と協同での解決であることからの影響に注目して分析する。
方   法
(1)参加者:中高一貫校の私立中学2年生の4ペ アであり,ペアは同じクラスの同性にて構成された。(2)課題:鋭角三角形ABCにおいて,点Hを垂心,点Gを重心,点Oを外心,点Dを線分BCの中点としたときに,△AHGと△DOGが相似であることを示す問題を提示した。これは放課後に制限時間60分で解いてもらった。(3)分析:1)各ペアの問題解決過程を質的に分析し,つまずきを同定した。2)各つまずきの性質からボトムアップ的にカテゴリを生成した。3)各つまずきの原因を問題解決過程におけるやり取りから推察した。4)つまずきを克服する為の視座について検討した。
結   果
 つまずきの各カテゴリと原因,克服への視座はTable 1の通りである。また,つまずきの原因においてペア特有のものと平面図形の特徴を受けたものが考察された。また、生徒の証明過程のつまずきに影響しやすい平面図形の特徴について示唆を得た。