The 58th meeting of the Japanese association of educational psychology

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ポスター発表 PH(65-88)

ポスター発表 PH(65-88)

Mon. Oct 10, 2016 1:00 PM - 3:00 PM 市民ギャラリー (1階市民ギャラリー)

[PH75] 仲間関係位相尺度の作成と友人および親との関係の検討

中島浩子1, 関山徹2 (1.鹿児島大学大学院, 2.鹿児島大学)

Keywords:仲間関係の発達, 友人に対する感情, 同調性

問題と目的
 本研究では,学校不適応の一要因である「友人関係」のうち,仲間関係に着目した。保坂・岡村(1986)の仮説によれば,仲間関係は,「ギャング・グループ」「チャム・グループ」「ピア・グループ」の順に発達していく。この仮説をもとに作成された黒沢ら(2003)の尺度は,仮説とは異なり3つの位相から構成されていない。そこで,本研究では,新たに仲間関係の発達に関する尺度を作成し,その信頼性を検討した上で,仲間関係の発達の各位相が他者との関係でどのような特徴を有しているのかを明らかにすることを目的とする。
方   法
対象者 X県の公立中学校2校の1,2年生(男子176名,女子195名),公立高等学校2校の1,2年生(男子256名,女子212名)の計839名
調査時期 2016年2月下旬~3月下旬
質問紙
1.仲間関係位相尺度(2016,中島)改良版原案24項目(5件法)
2.「友人に対する感情の質問紙」(榎本,2003)  の下位尺度『信頼・安定』『不安・懸念』『独立』『葛藤』より21項目(6件法)
3.「交友関係に関する項目」(上野ら,1994)より『友人への同調に関する項目』の4項目(4件法)
4.「心理的自立尺度」(福島,1992)の下位尺度『親からの心理的分離』の5項目(5件法)
結果と考察
1.仲間関係位相尺度の作成
 仲間関係位相尺度(2016,中島)改良版原案24項目について因子分析(主因子法,プロマックス回転)を行った。その結果,解釈可能な3因子を抽出し,累積寄与率は36.3%であった。また,各因子のα係数の値から,一定の信頼性は保たれていると判断した(詳細はTable 1参照)。
2.仲間関係の発達と心理的側面との関連
 仲間関係位相尺度の各3因子を目的変数とし,友人に対する感情の4因子と,同調性,親からの心理的分離を説明変数として,重回帰分析を行った。結果は,Table 2のとおりである。いずれの位相も,基本的に信頼感が土台にあることがわかる。また,「ギャング」は「同調性」とともに「独立」を,「チャム」は「同調性」とともに「不安・懸念」を持ち合わせている。このことから,「ギャング」は同調をしながらも個人としての主張や行動をすることができているが,「チャム」は,信頼感と不安感のせめぎ合いが同調性に関連していると推察される。一方,「ピア」への発達は,「親からの心理的分離」が関連していると推測される。「ピア」は,信頼感を強く持ちつつ,友人に迎合せず,個人として主張や行動ができるとともに,友人との葛藤を感じずに過ごせることがうかがえる。つまり「ピア」は,親からも友人からも心理的に自立した段階であるといえる。また,以上の結果から,仲間関係位相尺度の妥当性の一部が検証されたと思われる。