10:00 AM - 12:00 PM
[PA24] 高校生の探究的学習スキルと批判的思考態度の育成(2)
スーパーグローバルハイスクールにおける生徒の2年間の成長
Keywords:批判的思考, 探究的学習, 汎用的スキル
目 的
本研究の目的は,スーパーグローバルハイスクール(SGH)における探究型学習による生徒の2年間の成長を4時点で測定することである。本調査の実施校では,1年次から3つのコースにおいて探究型学習活動を通して,批判的思考力や探究的学習スキル等を育成している。そこで,楠見(2016,教心大会)では,測定尺度を開発し2時点の調査を行った。本研究では,2年目の3,4時点目の調査を行い,生徒の態度とスキルの変化を測定し,コース間の差異と変容の規定因を検討する。
方 法
参加者 関西のSGHが3年目,SSHが5年目の府立進学校1学年311(男145, 女166)名。コースは普通科,学問研究につながる専門学科(文理共修と理系専修)の3つ(ns=117,122,72)に分かれる。1年次7月と2月,2年次7月と2月に,全員を対象とした質問紙調査を実施した。4時点で全て回答した者280名を分析対象とした。
質問項目 1.批判的思考態度尺度(10項目)は生徒用一般的批判的思考態度尺度,学習場面の批判的思考態度尺度(楠見・村瀬・武田,2016)に基づいて,論理・証拠重視,探究心,関連づけの3つの下位尺度(4,3,4項目)で構成され,どのくらい当てはまるかを5件法で評定を求めた。
2. 探究的学習スキル尺度(11項目)は,探究,読解,表現の3つの下位スキル尺度(4,3,4項目)で構成した。これらのスキルを今どのくらい身につけているかを5件法で評定を求めた。
以上の2尺度は,楠見(2016)と同一であった。
結果と考察
4時点の変化 各尺度について,コースごとに,対応のある1要因分散を行った。Table1に示すように,批判的思考態度については,どのコースも[探究心]は向上した。[論理・証拠重視]と[関連づけ]は1時点目から高かった2コースを除いて全て評定値が有意に向上した。探究的学習の各スキルは全コースで評定値が向上した。
コース間の差 2要因分散分析で検討したところ,批判的思考の[論理・証拠重視]の態度において,コースの主効果が有意で,理系が他の2コースより高く,他の態度はコース間で差はなかった。一方,探究的学習スキルについては,コース間の差異は見いだせなかった。
生徒の変容の規定因 Figure 1は交差遅れモデルに基づいて構造方程式モデリングを行った結果である。1年次7月と2月の[論理・証拠重視]態度,1年次2月と2年次7月の[探究心]と[探究スキル]は,次時点の批判的思考態度と探究的学習スキルを向上させていることがわかった。
本研究の目的は,スーパーグローバルハイスクール(SGH)における探究型学習による生徒の2年間の成長を4時点で測定することである。本調査の実施校では,1年次から3つのコースにおいて探究型学習活動を通して,批判的思考力や探究的学習スキル等を育成している。そこで,楠見(2016,教心大会)では,測定尺度を開発し2時点の調査を行った。本研究では,2年目の3,4時点目の調査を行い,生徒の態度とスキルの変化を測定し,コース間の差異と変容の規定因を検討する。
方 法
参加者 関西のSGHが3年目,SSHが5年目の府立進学校1学年311(男145, 女166)名。コースは普通科,学問研究につながる専門学科(文理共修と理系専修)の3つ(ns=117,122,72)に分かれる。1年次7月と2月,2年次7月と2月に,全員を対象とした質問紙調査を実施した。4時点で全て回答した者280名を分析対象とした。
質問項目 1.批判的思考態度尺度(10項目)は生徒用一般的批判的思考態度尺度,学習場面の批判的思考態度尺度(楠見・村瀬・武田,2016)に基づいて,論理・証拠重視,探究心,関連づけの3つの下位尺度(4,3,4項目)で構成され,どのくらい当てはまるかを5件法で評定を求めた。
2. 探究的学習スキル尺度(11項目)は,探究,読解,表現の3つの下位スキル尺度(4,3,4項目)で構成した。これらのスキルを今どのくらい身につけているかを5件法で評定を求めた。
以上の2尺度は,楠見(2016)と同一であった。
結果と考察
4時点の変化 各尺度について,コースごとに,対応のある1要因分散を行った。Table1に示すように,批判的思考態度については,どのコースも[探究心]は向上した。[論理・証拠重視]と[関連づけ]は1時点目から高かった2コースを除いて全て評定値が有意に向上した。探究的学習の各スキルは全コースで評定値が向上した。
コース間の差 2要因分散分析で検討したところ,批判的思考の[論理・証拠重視]の態度において,コースの主効果が有意で,理系が他の2コースより高く,他の態度はコース間で差はなかった。一方,探究的学習スキルについては,コース間の差異は見いだせなかった。
生徒の変容の規定因 Figure 1は交差遅れモデルに基づいて構造方程式モデリングを行った結果である。1年次7月と2月の[論理・証拠重視]態度,1年次2月と2年次7月の[探究心]と[探究スキル]は,次時点の批判的思考態度と探究的学習スキルを向上させていることがわかった。