The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PA(01-83)

ポスター発表 PA(01-83)

Sat. Oct 7, 2017 10:00 AM - 12:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

10:00 AM - 12:00 PM

[PA44] 比例を活用した教授方略が内包量概念の理解に及ぼす影響(1)

割合比較課題の分析を中心に

蛯名正司1, 宮田佳緒里2 (1.修紅短期大学, 2.兵庫教育大学)

Keywords:比例, 割合, 短大生

問題と目的
 内包量概念を獲得する上で,関連する外延量との性質の違いを把握することが肝要となる。内包量的性質に関する意味理解が不十分なことにより,公式の適用が機械的なものに陥る場合が少なくない。蛯名・宮田(2016)は,「速さ」と「時間」との分化が不十分な男児を対象に,速さが一定の状況下では時間と距離が比例関係になることを電車の模型を用いて教示した。しかし,速さを定量的に示さなかったこともあり,その教示においては,男児は依然として速さと時間とを混同している様子がうかがえた。そこで,時間が一定の状況下で距離と速さの比例関係を教示したところ,男児は距離に基づいて速さを比較することができるようになった。以上の結果は,内包量の教示場面で比例を用いる際に,固定値の種類によって効果に違いが出ることを示唆している。そこで本研究では,同じ内包量である割合(食塩水濃度)について,割合概念の理解が不十分な学習者に対して比例を用いて教示する際,どの値を固定値(比例定数)にすることが有効かを検討する。
方   法
 対象 短大生138名。割合固定群,部分固定群,全体固定群に46名ずつ割り当てた。
 調査課題 割合比較課題(1)「ビーカーA:食塩水500g,食塩50g,ビーカーB:食塩水1000g,食塩50g,どちらが濃いか」,割合比較課題(2)「ビーカーC:食塩水300g,食塩15g,ビーカーD:食塩水500g,食塩20g,どちらが濃いか」,割合合成課題(2量提示課題)(宮田・蛯名,2017参照)。事後調査は,事前調査の数値を変えて出題した。
 教示文 各群共通で「食塩水濃度=食塩の量÷食塩水全体の量」を提示した。次に割合固定群には,割合が変わらないとき,全体量(食塩水)が2倍,3倍になると,部分量(食塩)も2倍3倍になること,部分固定群には,部分量が変わらないとき,全体量が2倍,3倍になると割合が1/2倍,1/3倍になること,全体固定群には,全体量が変わらないとき,部分量が2倍,3倍になると割合も2倍,3倍になることを教示した。その後,2種類の食塩水を合成する問題(割合固定群の場合:食塩水全体100g,食塩1g,濃度1%の食塩水と,食塩水全体300g,食塩3g,濃度1%の食塩水を混ぜ合わせると濃度は?)を出題し,さらにその問題についての解説を教示した。
 手続き 教職関連の講義時間内に第一筆者が実施した。講義の冒頭に事前調査及び教示セッションを実施し,講義の終了直前に事後調査を行った。
結果と考察
 事前調査3問の一貫正答者を除外し,割合固定群42名,部分固定群40名,全体固定群39名を分析対象者とした。また,割合比較課題の解答理由について,公式による適切な演算,公倍数などの公式以外の適切な演算,適切な定性的記述を適切判断(正答)とし,不適切な演算(公式外:誤),一方の量のみで比較(一方で比較),その他の理由及び未記入(他・未記入)を誤答とした。事前調査(Table1)について群×理由の正誤でχ2検定を行った結果,(1)(2)とも有意な人数の偏りは見られなかった(χ2(2)= 3.09 ; χ2(2)=3.40)。また事後調査(Table2)についても,群×正誤のχ2検定を行った結果,(1)(2)とも有意な人数の偏りは見られなかった(χ2(2)= 0.93 ; χ2(2)=3.05)。以上から,割合比較課題に関しては,比例関係を提示する際の固定値の種類は影響しないことが示唆されたといえる。