10:00 AM - 12:00 PM
[PA57] M.E.P.Seligman (2011) のwell-beingの理論的構造に関する実証的再考
PERMAモデルにおける幸福感項目のふるまいについて
Keywords:well-being, PERMA, 幸福感
目 的
Well-being(Seligman,2011)の構成要素であるPERMA(Positive emotions,Engagement,Relation-ships, Meaning, Achievement)において幸福感評定“how happy?”はPの一項目とされるが,「幸福(幸せ)」はポジティブな感情を表すだけでなく人間関係や健康を含めた総括的な好適感として,まさにwell-beingを含意するのではないだろうか。そこで本研究は,改めて幸福感とwell-beingの構造的関係を実証的に検討し直すことにした。
方 法
対象者 大学生92人(男34人,女58人)。
質問紙 PERMA質問紙22項目を採用し(Table 1),肯定‐否定の5段階評定尺度を作成した。
手続き 調査は集団に実施した。
結 果
SEMによるモデル選択の結果,単一因子モデル(CFI=.698)よりもPERMAを一次因子とする二次PERMAモデル(Figure 1, CFI=.830, RMSEA=.099)が適当であり,Coffey et al.(2016)の結果をほぼ追証した(“N感情”は逆転項目を表す)。
これに比して幸福感(x1)・満足感(x10)をwell-beingの直接の構成要素としたモデル(Figure 2)は適合度が低下した(CFI=.825, RMSEA=.102)。
しかしながら,幸福感・満足感から独立の因子として「幸せ」を構成し,well-beingとの相関を仮定した二次併存モデル(Figure 3)も十分適合的と判断される(CFI=.853, RMSEA=.093)。
考 察
Seligman(2011)自身が「幸せは明るい気持ちと表裏一体」と指摘しているように英語の“happy”は“joyful”に似た感情表現である。一方,日本語の「幸せ」は自分自身の状態や境遇の良し悪しについての評価結果を含むといえる。Well-being(好適感)の独立性は認められるが,評定は質問項目の語彙的意味の文化差を考慮すべきだろう。
同様に,逆転項目の因子(N感情)の係数を考慮すると逆転項目は使用しない方がよさそうである。日本人は欧米人ほど個の確立に徹しない。自己の人間関係を極めて良好と回答しても,自らに孤独感が無いと断言できる日本人は少ない。
引用文献
Coffey, J. K. et al.(2016). A multi-study examination of well-being theory in college and community samples. Journal of Happiness Studies, 17, 187-211.
Seligman, M. E. P.(2011). Flourish. New York, NY: Simon & Schuster.
Seligman, M. E. P.(2013). https://www.authentic
happiness.sas.upenn.edu/questionnaires/perma/
Well-being(Seligman,2011)の構成要素であるPERMA(Positive emotions,Engagement,Relation-ships, Meaning, Achievement)において幸福感評定“how happy?”はPの一項目とされるが,「幸福(幸せ)」はポジティブな感情を表すだけでなく人間関係や健康を含めた総括的な好適感として,まさにwell-beingを含意するのではないだろうか。そこで本研究は,改めて幸福感とwell-beingの構造的関係を実証的に検討し直すことにした。
方 法
対象者 大学生92人(男34人,女58人)。
質問紙 PERMA質問紙22項目を採用し(Table 1),肯定‐否定の5段階評定尺度を作成した。
手続き 調査は集団に実施した。
結 果
SEMによるモデル選択の結果,単一因子モデル(CFI=.698)よりもPERMAを一次因子とする二次PERMAモデル(Figure 1, CFI=.830, RMSEA=.099)が適当であり,Coffey et al.(2016)の結果をほぼ追証した(“N感情”は逆転項目を表す)。
これに比して幸福感(x1)・満足感(x10)をwell-beingの直接の構成要素としたモデル(Figure 2)は適合度が低下した(CFI=.825, RMSEA=.102)。
しかしながら,幸福感・満足感から独立の因子として「幸せ」を構成し,well-beingとの相関を仮定した二次併存モデル(Figure 3)も十分適合的と判断される(CFI=.853, RMSEA=.093)。
考 察
Seligman(2011)自身が「幸せは明るい気持ちと表裏一体」と指摘しているように英語の“happy”は“joyful”に似た感情表現である。一方,日本語の「幸せ」は自分自身の状態や境遇の良し悪しについての評価結果を含むといえる。Well-being(好適感)の独立性は認められるが,評定は質問項目の語彙的意味の文化差を考慮すべきだろう。
同様に,逆転項目の因子(N感情)の係数を考慮すると逆転項目は使用しない方がよさそうである。日本人は欧米人ほど個の確立に徹しない。自己の人間関係を極めて良好と回答しても,自らに孤独感が無いと断言できる日本人は少ない。
引用文献
Coffey, J. K. et al.(2016). A multi-study examination of well-being theory in college and community samples. Journal of Happiness Studies, 17, 187-211.
Seligman, M. E. P.(2011). Flourish. New York, NY: Simon & Schuster.
Seligman, M. E. P.(2013). https://www.authentic
happiness.sas.upenn.edu/questionnaires/perma/