1:00 PM - 3:00 PM
[PB35] 講義型授業開始時における「問い」の提示および予習に対する評価について
Keywords:大学生, 講義型授業
問題と目的
近年,大学教育における問題点の一つに「自律的学習態度の低さ」が挙げられるが,授業前後の学習も活用しながら,学習内容を整理,構造化させる様な授業をデザインすることで,学習意欲が低い学生の授業関与を促し,学習方略遂行や授業理解の深化を促進出来ると考えられる。
授業前に授業の全体像を示すことは,学習に対する心構えや学習行動を促すと推測されるが,本研究では,講義中,情報相互の関連性を整理しながら授業内容理解を容易にする発問提示を講義型授業開始前に行う。また, 講義の内容を深く理解し,知識を習得するためには,関連する内容を事前に学習しておくことが有効であると考えられている(篠ヶ谷,2013)ことから,授業前の予習活動も併せて課す。
本研究の目的は,講義型授業開始時における問い提示および予習活動に焦点を当て,両者に対する受講生の評価を明らかにすることである。
方 法
調査対象:2016年度に教育心理学系の講義を受講していた75名の大学生のうち62名。
手続き:授業期間にベースライン期,介入期1(問い提示のみ),介入期2(予習活動+問い提示)を設け,介入期2の最終週に,「問いや予習課題が提示されない他の授業と比べて,授業中の学習行動や授業理解に何らかの違いはありましたか?」と尋ね,違いの程度を4件法で回答を求めた他,その理由を複数記載するよう求めた。
結果と考察
(1)問い提示の評価について:問い提示有無による差異について,「大きな違いがあった」が13名(21.0%),「やや違いがあった」が44名(71.0%),「あまり違いがなかった」が4名(6.5%),「全く違いがなかった」が1名(1.6 %)であった。
このうち,「違いがあった」と回答した57名より,肯定的な理由が102,否定的な理由が4得られた。肯定的な理由を松島・尾崎(2016)を参考に,筆者2名で9カテゴリーに分類した結果(Table1),「8.授業に集中/授業を積極的に聞くことが出来る」の回答が最も多く,次に,「4.理解促進/記憶に残る」「2.深く考える/自分の意見がまとまる/意見を述べる力が身につく」の回答が多くみられた。
(2)予習の評価について:予習課題有無による差異について,「大きな違いがあった」が13名(22.0%),「やや違いがあった」が37名(62.7%),「あまり違いがなかった」が8名(13.6%),「全く違いがなかった」が1名(1.7 %)であった。
このうち,違いがあったと回答した50名より,肯定的な理由が93得られた。これらを松島・尾崎(2015)を参考に,筆者2名で9カテゴリーに分類した結果(Table2),「1.授業内容理解促進」の回答が最も多く,次に,「4.授業に対する構え・集中」「7.学習意欲向上/興味・関心促進」に関する回答が多くみられた。
対象となった本授業では,ベースライン期,介入期1,介入期2において,授業時の学習方略,授業への興味,理解度,振り返りの内容等を尋ねており,今後,本研究と前述の実証データ結果を合わせて,更に検討・考察を進めていきたい。
*(注)Table1,2について,複数のカテゴリーに当てはめた記述もあるため,得られた記述数とカテゴリーの総度数は一致しない。
近年,大学教育における問題点の一つに「自律的学習態度の低さ」が挙げられるが,授業前後の学習も活用しながら,学習内容を整理,構造化させる様な授業をデザインすることで,学習意欲が低い学生の授業関与を促し,学習方略遂行や授業理解の深化を促進出来ると考えられる。
授業前に授業の全体像を示すことは,学習に対する心構えや学習行動を促すと推測されるが,本研究では,講義中,情報相互の関連性を整理しながら授業内容理解を容易にする発問提示を講義型授業開始前に行う。また, 講義の内容を深く理解し,知識を習得するためには,関連する内容を事前に学習しておくことが有効であると考えられている(篠ヶ谷,2013)ことから,授業前の予習活動も併せて課す。
本研究の目的は,講義型授業開始時における問い提示および予習活動に焦点を当て,両者に対する受講生の評価を明らかにすることである。
方 法
調査対象:2016年度に教育心理学系の講義を受講していた75名の大学生のうち62名。
手続き:授業期間にベースライン期,介入期1(問い提示のみ),介入期2(予習活動+問い提示)を設け,介入期2の最終週に,「問いや予習課題が提示されない他の授業と比べて,授業中の学習行動や授業理解に何らかの違いはありましたか?」と尋ね,違いの程度を4件法で回答を求めた他,その理由を複数記載するよう求めた。
結果と考察
(1)問い提示の評価について:問い提示有無による差異について,「大きな違いがあった」が13名(21.0%),「やや違いがあった」が44名(71.0%),「あまり違いがなかった」が4名(6.5%),「全く違いがなかった」が1名(1.6 %)であった。
このうち,「違いがあった」と回答した57名より,肯定的な理由が102,否定的な理由が4得られた。肯定的な理由を松島・尾崎(2016)を参考に,筆者2名で9カテゴリーに分類した結果(Table1),「8.授業に集中/授業を積極的に聞くことが出来る」の回答が最も多く,次に,「4.理解促進/記憶に残る」「2.深く考える/自分の意見がまとまる/意見を述べる力が身につく」の回答が多くみられた。
(2)予習の評価について:予習課題有無による差異について,「大きな違いがあった」が13名(22.0%),「やや違いがあった」が37名(62.7%),「あまり違いがなかった」が8名(13.6%),「全く違いがなかった」が1名(1.7 %)であった。
このうち,違いがあったと回答した50名より,肯定的な理由が93得られた。これらを松島・尾崎(2015)を参考に,筆者2名で9カテゴリーに分類した結果(Table2),「1.授業内容理解促進」の回答が最も多く,次に,「4.授業に対する構え・集中」「7.学習意欲向上/興味・関心促進」に関する回答が多くみられた。
対象となった本授業では,ベースライン期,介入期1,介入期2において,授業時の学習方略,授業への興味,理解度,振り返りの内容等を尋ねており,今後,本研究と前述の実証データ結果を合わせて,更に検討・考察を進めていきたい。
*(注)Table1,2について,複数のカテゴリーに当てはめた記述もあるため,得られた記述数とカテゴリーの総度数は一致しない。