The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PB(01-83)

ポスター発表 PB(01-83)

Sat. Oct 7, 2017 1:00 PM - 3:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

1:00 PM - 3:00 PM

[PB62] 大学生のグループ活動におけるコンセンサスの影響

鈴木由美1, 大塚貴之2 (1.聖徳大学, 2.豊岡短期大学)

Keywords:対人関係ゲーム, グループ活動, コンセンサス

 青年期は親から心理的に離れる傾向があり,友人との関係が重要になる。しかし岡田(1995)は青年期の友だち関係は,相手と深く関わることを避け表面的な付き合い方をし,表面的な楽しさを求めて群れる傾向があることを指摘している。本来は友だちがよき相談相手になるはずなのだが,本音を打ち明けられる友だちに出合うことが難しくなっているという。表面的な関係はうまくこなせるものの,関係が深くならないのが青年の友人関係の特徴としている。大学生が触れ合うためには何が必要かと考えた時,授業におけるグループ活動で触れ合うことができないかと考えた。  
 田上(2010)は,対人関係ゲームは,人間関係づくりに効果があると述べ。目指しているのは,人々が支えたり,支えられたりする人間関係であって,意味のあることをしていると思えて,楽しいとか面白いという集団の実現である。イメージとしては「群れ」である。「群れ」とは,子ども同士に協力関係があり,学級への所属意識や愛着が自然にわいてきて,クラスメイトや学級の活動に自分は役立っているという実感がもてる集団であると述べている。対人関係ゲームには5種類のゲームがある。「交流するゲーム」「協力するゲーム」「役割分担し連携するゲーム」「心をかよわすゲーム」「折り合うゲーム」である。
 グループ活動を行うことで学生同士の会話が進むのであるが,授業後の感想用紙を読むと,自分の意見が言えなかったと書く学生がいる。正解のあるゲームは,間違った意見を言うことで,グループの得点を下げてしまう不安があり,話せないようである。ではどのようにすれば会話は進むのだろうか。
 コンセンサスゲームは,社会心理学のジェイ・ホールが考案したもので,チームで考えるトレーニングとしてNASAや企業研修でおこなわれている。課題に対してグループで目的をもって話し合い,折り合いをつけて結果をだすものである。ゲームでは発言が重要になり,相手のことを考えて活動すると言われている。
 本研究の目的はコンセンサスゲームの正解がある活動と,「こころを通わすゲーム」の正解のない活動を行うことで,「楽しみ」・「自己理解」「やる気」にどのような違いがあるのかを明らかにする。
方   法
対象者 A大学の大学1年生176名(男子87名,女子89名)であった。
グループ活動内容 期間は2016年10月より2017年1月の約3か月間で,友だちづくりの授業の一環として,グループ活動を毎週行った。1セッションは90分からなり,12セッション実施した。
コンセンサスゲームは「バンガロー殺人事件」「SOS砂漠でサバイバル」「間違い探し絵」「ストロータワー」「なぞなそ」「月で遭難」「クルーザー」
心を通わすゲームは「グループ分け自己紹介」「飼いたい動物」「タイムマシーンに乗って」「森のなんでも屋さん」「明日の羽」であった。
倫理的配慮
 インフォームド・コンセントを行い。本研究への協力を求めた者を調査対象とした。回答は拒否
中断は可能であり,このことによる不利益が生じないことを口頭で伝えた。 
結   果
12回のゲームについて,各ゲームの「楽しみ」「自己理解」「やる気」について5件法で回答を求め平均を算出した。
コンセンサスゲームは,楽しみの得点が高く,やる気もある。しかし心を通わせるゲームは,楽しみ,やる気より自己理解の得点が高くなっている。それぞれのゲームの特徴が明らかになったと考えられる。