1:00 PM - 3:00 PM
[PB63] 保育現場における3・4・5歳児の「気になる子」を含む保育の課題と保育者のニーズ
3・4・5歳児クラス担任インタビュー調査より
Keywords:気になる子, クラス運営, 保育
目 的
3・4・5歳児クラスの中で「気になる子」を含むクラス運営を行っていく際に,保育者はどのようなことに困難を抱え,その困難を解決するためにはどのような方法があるのか,現場のニーズを明らかにする手掛かりを得る
方 法
X市のA保育園とB子ども園の3・4・5歳児クラス担任を対象にインタビュー調査を行った。質問項目をまとめた用紙に事前に記入してもらった上で,質問項目に準じながら半構造化面接を実施した。質問項目は,1「気になる子」の人数,2「気になる子」の特徴,加配の有無,障害の診断の有無,3「気になる子」の養育環境について,4「気になる子」の保育を行う上での困難, 5集団保育の中で「気になる子」の保育を行う上での工夫や配慮,6保育上の悩みを解決するために必要なことの6項目。今回は1,4,5,6について報告する
結果と考察
(1)調査協力者数と属性;6名(男性1女性5)
(2)「気になる子」の在籍率・在籍数,保育者数
「気になる子」の在籍していないクラスはなかった。
(3)「気になる子」の保育で困難を感じること
1)本人へのかかわり;
3歳児クラスでは両園ともにその子ども自身をどのように理解し,働きかけていけばいいのか,子ども理解の面での困難と周囲の子どもとの関係をどう作っていけばよいのかという悩みが語られた。
4歳児クラス・5歳児クラスでは子どもの行動や状態を理解しており,対応の方法についてはある程度確立されているが,人手や時間が足りないことによる困難がある,または現在は複数担任なので対応できるが,それがないと適切な対応は難しいことが語られた。さらに人員については,クラス運営のことも理解した固定の保育者の配置が必要であるとのことであった。
2)「気になる子」を含めたクラス運営
3歳児クラスでは個別の配慮と「みんなで一緒」をどう両立させていくか,「気になる子」と周囲の子どもとの関係が一方的にならないようにすることの困難がある。
4歳児クラスでは,「気になる子」に丁寧にかかわったり保育内容を工夫することで一定クラスの活動に参加できるが,活動内容によっては参加できないこともあり,その際はトラブルが起きがちである。
5歳児クラスでは,個別のかかわりを丁寧にしながらクラスの活動につなげていくことが課題であり,クラスの保育を引っ張るクラス担任だけでは対応ができないこともあり,事務所や他クラスとの連携が欠かせない。
3)保育者どうしのコミュニケーション
年齢による違いはあまり見られず,どのクラスどの園でも連携のための時間の確保が図られている。会議に加えて日常のコミュニケーションが大切である。
(4)集団保育の中で「気になる子」を含めた保育をするうえで大切にしたいことや工夫していること
・「気になる子」だけでなく,どの子どもに対してもわかりやすい,簡潔で肯定的な言葉かけをする。(3歳児)
・「気になる子」だけでなく,どの子もいいところを持っていると受け止め合える関係づくり(4歳児)
・「間違うこと」を「いいこと」,「次こうしよう」としていくことが大事とクラス全体に伝え,お互いが認めあえるようにしている(5歳)
(5)保育上の悩みを解決するために必要なもの
・クラスを超えての連携/事務所の協力/・複数担任
・子どもが落ち着けるクラス規模,部屋の広さ,空間のあり方(隣の部屋の音が筒抜けだと落ち着けない)
・時間内に打ち合わせの時間が確保されていること
・子どもも保育者も「やってみたい」という思いが尊重されること。「間違ってもいい」とお互いを認められる人間関係
今回調査協力を得られた園では,園全体で「気になる子」を含めたクラス運営ができるように配慮・工夫されていたが,その中でも保育者は困難を感じていることが分かった。「気になる子」自身の理解や対応については3歳児クラスでは困難であるが4,5歳児クラスでは子ども理解が進んでいる。理解したうえで,それを保育内容に反映し,個と集団を統一的に保育を展開することが課題となっており,そのためには保育条件の整備が必要であることが明らかになった。
3・4・5歳児クラスの中で「気になる子」を含むクラス運営を行っていく際に,保育者はどのようなことに困難を抱え,その困難を解決するためにはどのような方法があるのか,現場のニーズを明らかにする手掛かりを得る
方 法
X市のA保育園とB子ども園の3・4・5歳児クラス担任を対象にインタビュー調査を行った。質問項目をまとめた用紙に事前に記入してもらった上で,質問項目に準じながら半構造化面接を実施した。質問項目は,1「気になる子」の人数,2「気になる子」の特徴,加配の有無,障害の診断の有無,3「気になる子」の養育環境について,4「気になる子」の保育を行う上での困難, 5集団保育の中で「気になる子」の保育を行う上での工夫や配慮,6保育上の悩みを解決するために必要なことの6項目。今回は1,4,5,6について報告する
結果と考察
(1)調査協力者数と属性;6名(男性1女性5)
(2)「気になる子」の在籍率・在籍数,保育者数
「気になる子」の在籍していないクラスはなかった。
(3)「気になる子」の保育で困難を感じること
1)本人へのかかわり;
3歳児クラスでは両園ともにその子ども自身をどのように理解し,働きかけていけばいいのか,子ども理解の面での困難と周囲の子どもとの関係をどう作っていけばよいのかという悩みが語られた。
4歳児クラス・5歳児クラスでは子どもの行動や状態を理解しており,対応の方法についてはある程度確立されているが,人手や時間が足りないことによる困難がある,または現在は複数担任なので対応できるが,それがないと適切な対応は難しいことが語られた。さらに人員については,クラス運営のことも理解した固定の保育者の配置が必要であるとのことであった。
2)「気になる子」を含めたクラス運営
3歳児クラスでは個別の配慮と「みんなで一緒」をどう両立させていくか,「気になる子」と周囲の子どもとの関係が一方的にならないようにすることの困難がある。
4歳児クラスでは,「気になる子」に丁寧にかかわったり保育内容を工夫することで一定クラスの活動に参加できるが,活動内容によっては参加できないこともあり,その際はトラブルが起きがちである。
5歳児クラスでは,個別のかかわりを丁寧にしながらクラスの活動につなげていくことが課題であり,クラスの保育を引っ張るクラス担任だけでは対応ができないこともあり,事務所や他クラスとの連携が欠かせない。
3)保育者どうしのコミュニケーション
年齢による違いはあまり見られず,どのクラスどの園でも連携のための時間の確保が図られている。会議に加えて日常のコミュニケーションが大切である。
(4)集団保育の中で「気になる子」を含めた保育をするうえで大切にしたいことや工夫していること
・「気になる子」だけでなく,どの子どもに対してもわかりやすい,簡潔で肯定的な言葉かけをする。(3歳児)
・「気になる子」だけでなく,どの子もいいところを持っていると受け止め合える関係づくり(4歳児)
・「間違うこと」を「いいこと」,「次こうしよう」としていくことが大事とクラス全体に伝え,お互いが認めあえるようにしている(5歳)
(5)保育上の悩みを解決するために必要なもの
・クラスを超えての連携/事務所の協力/・複数担任
・子どもが落ち着けるクラス規模,部屋の広さ,空間のあり方(隣の部屋の音が筒抜けだと落ち着けない)
・時間内に打ち合わせの時間が確保されていること
・子どもも保育者も「やってみたい」という思いが尊重されること。「間違ってもいい」とお互いを認められる人間関係
今回調査協力を得られた園では,園全体で「気になる子」を含めたクラス運営ができるように配慮・工夫されていたが,その中でも保育者は困難を感じていることが分かった。「気になる子」自身の理解や対応については3歳児クラスでは困難であるが4,5歳児クラスでは子ども理解が進んでいる。理解したうえで,それを保育内容に反映し,個と集団を統一的に保育を展開することが課題となっており,そのためには保育条件の整備が必要であることが明らかになった。