1:00 PM - 3:00 PM
[PB65] 特別支援学級における外国語活動:ルートマップ的ルーブリックを活用したアウトプットの積極的評価
Keywords:外国語活動, 特別支援学級, ルーブリック
問題と目的
2011年度に必修化された小学校外国語活動について,さらに,2020年度からの次期学習指導要領に含まれる小学校英語教科化に向けて,情緒・発達障害児童に対する外国語活動及びその教育的効果と評価に焦点をあてた研究(報告)は極めて少なく,その方法論や人的支援も十分ではない。一般的に,通常学級における外国語活動の実践や研究報告に比べて,特別支援学級への関心は高いとはいえない。そこで,本研究では,特別支援学級での外国語活動(特に情緒・発達障害)に焦点を当て,障害の程度と特性に対応したアクティビティの開発及びその評価について,調査・検討してゆくものである。なお今回は,外国語活動における積極的な児童のアウトプットの評価を目指しており,パフォーマンスレベルでのスキル使用について,ルーブリックを用いたアセスメントを行うこととした。
方 法
A県内のB小学校における特別支援学級にて,1学期に,WISC-IVを用いて,対象児童のアセスメントを行った。この結果を基に,アクティビティの内容を調整し,さらにパフォーマンスの評価を行うためのルーブリックを,特に個別性の高い項目に関して,加筆・修正を施し,2学期に実施した外国語活動の授業研究会にて,評価指標として用いることとした。
結 果
アセスメント結果
WISC-IVの結果から,全般検査IQ65(61-72)でA児の知的能力レベルは知的発達障害の範囲にあることが示唆された。4つの指標得点の間に差はあるが,結果を再検討するほどの差ではなかった。この児童の検査結果の特徴として,ワーキングメモリーの困難さ,特に情報を記憶するときに整理しながら覚えることの苦手さ,斜めの線や形をとらえるのが苦手である一方,説明をしたり聞いたことを答えたりすることが得意であることが示唆された。ただし,整理することが苦手なので,説明が前後することがあった。また,言葉の知識に比べて,言葉の概念やイメージは得意ではないので,話している割には,実はわかっていないことがあると考えられる。
ルーブリック評価項目
基盤スキル:授業者の指示を最後まで聞いてから,質問したり,行動したりする。最初のデモンストレーション(指示)の後,やり方カードを見て確認しながら,ゲームに参加できる。
展開スキル:最初のデモンストレーション(指示)の後,やり方カードを見て確認しながら,積極的にゲームに参加できる。困っている友達に自分から声を書けて一緒にゲームを楽しもうとする。
発展スキル:ゲームのやり方を理解し,積極的に友達を誘ったり,友達に誘われたりして,友達と一緒にゲームを楽しむことができる。振り返りシートに感想を書き,活動の振り返りを発表することができる。
個別項目(児童・生徒の実態に合わせた項目):
①早とちりをしない。
②ゲームを楽しむ。
授業参観時の評価
終始,授業に積極的に参加しており,またアクティビティを行う際には,自ら友達を誘うなど,想定していた発展スキルのところまで,しっかりと活動できた様子が見られた。特に,授業者の指示を良く理解し,早とちりすることなく,活動をこなすことができた。活動中は,笑顔で楽しく取り組む様子がみられ,英語に慣れ親しんでいる様子がとてもよくうかがえた。事前のアセスメント結果によってアクティビティ内容の調整を行ったことが功を奏したと言えよう。
考察と今後の課題
アウトプットの積極的な評価という事で,パフォーマンスレベルで児童がどのようなスキルを使えるようになったのかを見とれるようにルーブリックの評価項目を精選した。個別性の高い項目について,心理検査の結果を踏まえた項目を含めることで,実態に合った評価が行えた一方で,その運用面において,客観的な評価が複数の評価者間で統一できるのかといった課題が浮かび上がってきたので今後の課題としたい。また,教育的な効果について児童の行動変容に関する丁寧な記述と,継続的にスキルの変容を確認するための方法として,どのようにルーブリックを更新すべきか等については,より深く検討したい。
2011年度に必修化された小学校外国語活動について,さらに,2020年度からの次期学習指導要領に含まれる小学校英語教科化に向けて,情緒・発達障害児童に対する外国語活動及びその教育的効果と評価に焦点をあてた研究(報告)は極めて少なく,その方法論や人的支援も十分ではない。一般的に,通常学級における外国語活動の実践や研究報告に比べて,特別支援学級への関心は高いとはいえない。そこで,本研究では,特別支援学級での外国語活動(特に情緒・発達障害)に焦点を当て,障害の程度と特性に対応したアクティビティの開発及びその評価について,調査・検討してゆくものである。なお今回は,外国語活動における積極的な児童のアウトプットの評価を目指しており,パフォーマンスレベルでのスキル使用について,ルーブリックを用いたアセスメントを行うこととした。
方 法
A県内のB小学校における特別支援学級にて,1学期に,WISC-IVを用いて,対象児童のアセスメントを行った。この結果を基に,アクティビティの内容を調整し,さらにパフォーマンスの評価を行うためのルーブリックを,特に個別性の高い項目に関して,加筆・修正を施し,2学期に実施した外国語活動の授業研究会にて,評価指標として用いることとした。
結 果
アセスメント結果
WISC-IVの結果から,全般検査IQ65(61-72)でA児の知的能力レベルは知的発達障害の範囲にあることが示唆された。4つの指標得点の間に差はあるが,結果を再検討するほどの差ではなかった。この児童の検査結果の特徴として,ワーキングメモリーの困難さ,特に情報を記憶するときに整理しながら覚えることの苦手さ,斜めの線や形をとらえるのが苦手である一方,説明をしたり聞いたことを答えたりすることが得意であることが示唆された。ただし,整理することが苦手なので,説明が前後することがあった。また,言葉の知識に比べて,言葉の概念やイメージは得意ではないので,話している割には,実はわかっていないことがあると考えられる。
ルーブリック評価項目
基盤スキル:授業者の指示を最後まで聞いてから,質問したり,行動したりする。最初のデモンストレーション(指示)の後,やり方カードを見て確認しながら,ゲームに参加できる。
展開スキル:最初のデモンストレーション(指示)の後,やり方カードを見て確認しながら,積極的にゲームに参加できる。困っている友達に自分から声を書けて一緒にゲームを楽しもうとする。
発展スキル:ゲームのやり方を理解し,積極的に友達を誘ったり,友達に誘われたりして,友達と一緒にゲームを楽しむことができる。振り返りシートに感想を書き,活動の振り返りを発表することができる。
個別項目(児童・生徒の実態に合わせた項目):
①早とちりをしない。
②ゲームを楽しむ。
授業参観時の評価
終始,授業に積極的に参加しており,またアクティビティを行う際には,自ら友達を誘うなど,想定していた発展スキルのところまで,しっかりと活動できた様子が見られた。特に,授業者の指示を良く理解し,早とちりすることなく,活動をこなすことができた。活動中は,笑顔で楽しく取り組む様子がみられ,英語に慣れ親しんでいる様子がとてもよくうかがえた。事前のアセスメント結果によってアクティビティ内容の調整を行ったことが功を奏したと言えよう。
考察と今後の課題
アウトプットの積極的な評価という事で,パフォーマンスレベルで児童がどのようなスキルを使えるようになったのかを見とれるようにルーブリックの評価項目を精選した。個別性の高い項目について,心理検査の結果を踏まえた項目を含めることで,実態に合った評価が行えた一方で,その運用面において,客観的な評価が複数の評価者間で統一できるのかといった課題が浮かび上がってきたので今後の課題としたい。また,教育的な効果について児童の行動変容に関する丁寧な記述と,継続的にスキルの変容を確認するための方法として,どのようにルーブリックを更新すべきか等については,より深く検討したい。