The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PB(01-83)

ポスター発表 PB(01-83)

Sat. Oct 7, 2017 1:00 PM - 3:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

1:00 PM - 3:00 PM

[PB66] 特別支援教育における教員の役割に関する研究(6)

教員のタイプ別の特別支援教育における外部との連携等の関係

林幸範1, 石橋裕子2, 今林俊一3 (1.池坊短期大学, 2.帝京科学大学, 3.鹿児島大学)

Keywords:特別支援教育, 教員の役割, 教員間の連携

目   的
 石橋・林らは,特別支援教育において重要な役割を担っている養護教諭の特別支援教育に対する意識や実態,養護教諭との連携などを明確にするために全国調査を実施し,養護教諭と一般教諭との連携が特別支援教育の成果をあげる重要なキーワードのひとつであること等が明らかとなった。そこで,平成24年度科研費の交付を受け「特別支援教育における養護教諭とそれ以外の連携の阻害要因に関する研究」を実施し,連携の阻害要因として,①情報の共有化への積極性,②教職員等の連携に対しての積極性,③連携以外の特別支援教育に対して積極性,④養護教諭の学習指導への参加などの強弱が重要な阻害要因であることなどが明確となった。同時に実施したヒアリング調査からもこれらのことが示唆され,モデル研究では,この全国の教員調査で明確となったことに考慮をし,養護教諭を中心に特別支援教育への関与を実施して成果を得ている(⑻で公表)。そこで,この教員調査で明らかになった阻害要因等を基に,特別支援教育に対しての教員の役割を明確にするために,教職員の連携を基本に林の数量化Ⅲ類を実施し,4タイプ(方法⑸参照)を抽出した(日本発達障害学会,2017年8月発表予定)。本稿では,この教員間の連携タイプ別に特別支援教育における外部との連携についての特徴を明確にするために分析を実施した結果を報告する。
方   法
⑴調査時期…平成24年10月~平成25年2月。⑵調査対象…詳細は表1(公私立は層化法で抽出,国立は全校)。⑶調査方法…質問誌法・郵送法,調査は研究の主旨及びデータの使用に同意した上で実施。⑷回収…詳細は表1。⑸分析…①タイプは,校内教職員連携消極型[561名(11.8%):校内消極型]・外部専門家連携積極型[397名(8.3%):外部積極型]・校内教職員連携積極型[1,414名(29.6%):校内積極型]・外部専門家連携消極型[533名(11.2%):外部消極型]・無回答[1,869名(39.2%)]・計[4,774名(100.0%)(分析者,回答者計からデータ不備10名を除いた)]。②分析項目は,教員間の連携に関係しない項目(3.結果参照)。⑹凡例…>は10.0%以上,≒は10.0%未満,=は1.0%未満の差。
結   果
⑴勤務校で実施している外部との連携(4項目)(表2参照)…①実施している特別支援教育:1位は4項目が外部積極型,4位は4項目が校内消極型。②実施している特別支援教育の程度:定期的に実施している1位は,校内積極型と外部積極型が各2項目,4位は4項目が校内消極型。必要時に実施している1位は4項目が外部積極型,4位は4項目が校内消極型。③不充分な特別支援教育:不充分と感じている1位は,校内消極型が3項目,外部消極型が1項目。満足している1位は,4項目が外部積極型,4位は4項目が校内消極型。 ⑵学校校種間の連携の必要性…①幼稚園:外部消極型(92.7%)≒校内積極型(86.1%)≒校内消極型(83.2%)=外部積極型(82.4%)[>]の順。②小学校:校内積極型(94.6%)≒外部積極型(91.7%)≒外部消極型(90.4%)≒校内消極型(87.9%)[≒]の順。③中学校:校内積極型(94.2%)≒外部積極型(92.4%)≒外部消極型(88.9%)≒校内消極型(86.5%)[≒]の順。④高等学校:校内積極型(82.0%)≒外部積極型(77.1%)≒外部消極型(73.5%)≒校内消極型(70.2%)[>]の順。⑤短大・大学など:校内積極型(61.8%)≒外部積極型(58.7%)≒外部消極型(53.5%)≒校内消極型(49.4%)[>]の順。
考察・まとめ
 以上のことから,外部積極型・校内積極型は,外部との連携について基本的には積極的で,実施したことに対しても満足を感じている傾向が強い。校内消極型は,勤務校で外部との連携には消極的であり,実際にも実施しているのが少ないが,そのことに対して不充分であると考えている傾向がある。さらに,学校種間の連携の必要性に対しても,このような傾向が見られる。よって,これらのことから,連携には,実際に特別支援教育を経験することなどが重要な要素になることが示唆された。
謝   辞
 本調査にご協力くださった先生方には,紙面をかりてお礼申し上げます。