The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

Presentation information

ポスター発表 PC(01-83)

ポスター発表 PC(01-83)

Sat. Oct 7, 2017 3:30 PM - 5:30 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

3:30 PM - 5:30 PM

[PC04] 思春期の母子間葛藤と養育態度の変化

3時点の縦断調査より

渡邉賢二1, 平石賢二2 (1.皇学館大学, 2.名古屋大学)

Keywords:母子間葛藤, 養育態度, 縦断調査

目   的
 親子間葛藤の変化に関する研究として,McGue et al(2005)は,縦断調査を行い,11歳より14歳の方が親子関係の質(温かさ)が減少し,葛藤頻度は増加することを報告している。Kimberly et al(2005)も,親子間葛藤は青年期前期が最も多く,中期には減少すると述べている。しかし,わが国においてはこのような青年期の親子間葛藤に関する研究は殆ど行われていない。そこで,本研究では3時点の縦断的調査を行い,母子が認知する母子間葛藤と養育態度の変化を検討する。また,平均的に男性より女性の方が早熟であり,親子間葛藤について,子どもの性差を検討することの重要性が指摘されているため(McGue et al,2005),性差についても検討する。
方   法
1.調査対象者:小学6年生とその母親に1回目(T1)の調査を実施し,1年後に2回目(T2),2年後に3回目(T3)の調査を実施し,すべての調査を実施した235組(子どもの性別;男101人,女134人)を分析対象とした。
2.調査時期:T1;2014年12月,T2;2015年12月,T3;2016年12月
3.手続き:担任教諭から調査用紙を児童生徒に配布し,調査趣旨に同意が得られた児童生徒と母親が自宅で実施して,終了後担任教諭に提出した。
4.調査内容:子どもと母親:①親子間葛藤尺度(CBQ parallel version)(Sturge-Apple et al.,2003);22項目(4件法,1点~4点)の日本語翻訳版を実施した。②養育スキル尺度(渡邉・平石,2014);理解尊重スキル10項目,道徳性スキル6項目(6件法,1点~6点)。③養育尺度心理的統制(内海,2013);6項目(7件法,1点~7点)
結果・考察
母子が認知する母子間葛藤と養育態度の変化
 母子が認知する母子間葛藤と養育スキル(理解尊重スキル,道徳性スキル),心理的統制の発達的変化と性差を検討するために,時点と性別を独立変数,母子間葛藤,理解尊重スキル,道徳性スキル,心理的統制を従属変数とした2要因分散分析を行った(Table1)。その結果,子どもについては,母子間葛藤と心理的統制でT1とT2よりT3,男子より女子の方が有意に高い得点を示した。理解尊重スキルと道徳性スキルでは女子より男子の方が有意に高い得点を示した。交互作用は子どもの理解尊重スキルで有意であり,単純主効果の検定の結果,T1とT2で男子より女子の方が有意に高い得点を示した。母親については,母子間葛藤でT2よりT3,理解尊重スキルでT2よりT3,男子より女子の方が有意に高い得点を示した。心理的統制では女子より男子の方が有意に得点が高かった。全体として,男子は女子よりも葛藤や統制を強く感じており,学年差については中2になると葛藤や統制が強くなるという変化があると考えられる。米国では学年差については一貫した結果が得られていないが(Steeger et al,2013など),今後は我が国における親子間葛藤の規定要因についてより詳細な検討が必要であると思われる。