The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PC(01-83)

ポスター発表 PC(01-83)

Sat. Oct 7, 2017 3:30 PM - 5:30 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

3:30 PM - 5:30 PM

[PC05] 女子大学生用キャリア発達尺度の妥当性の検証(1)

男子大学生との比較から

木川智美 (昭和女子大学大学院)

Keywords:女子大学生, キャリア発達, 妥当性

問題と目的
 一般に男性よりも人生において選択・決断すべきライフイベントが多い女性のキャリア発達において,特に大きな節目となる女子大学生の時期のキャリア発達の程度を把握し,適切な教育的介入を行うことは意義があると考えられる。このような観点から木川(2016)では,「女子大学生用キャリア発達尺度」を開発した。しかし,妥当性の検証は,内容的な側面に留まっており課題がある。そこで本研究では,本尺度の妥当性を項目得点の性差から検証することを目的とした。
方   法
調査対象者 関東圏内の3つの大学に通う大学生(男性73名,女性419名)。
実施時期 2014年12月〜2015年2月。
調査内容 木川(2016)による女子大学生用キャリア発達尺度(6件法22項目)を講義時間内の集団形式で実施した。
倫理的配慮 調査時の所属機関において審査を受けた。
結果と考察
 性別による女子大学生用キャリア発達尺度の各項目と合計得点の平均値および標準偏差,またそのt検定の結果をTable 1に示す。本研究では尺度を構成する項目において性差を検討することで妥当性の検証を試みるので,欠損値のあった調査対象者のデータも用いている。その結果,「03.どんな資格をとるべきか,調べている」において有意差がみられた(t=-3.02, df=489, p<.01)。続いて,学年別に各項目の性別による得点差についてt検定を実施した。その結果,1年生では「14.尊敬する人がいる」において,2年生では「12.将来は自分の学んだことを活かすつもりだ」,「25.大学での人間関係は,自分にとって有意義だと思う」において,いずれも男性より女性の方が有意に得点が高かった(t=2.11, df=163, p<.05 / t=2.13, df=146, p<.05 / t=2.42, df=146, p<.05)。学年別の分析において,有意差がみられた項目はいずれも下位尺度「実現・コミットメント」を構成する項目であった。このように,特定の下位尺度において性差のみられる項目が検出されたことは,本尺度が女性のキャリア発達に焦点をあてていることの論拠のひとつとなるだろう。
引用文献
木川智美(2016). 女子大学生における親への愛
  着がキャリア発達におよぼす影響 パーソナ
  リティ研究,25(1),89-92.
附   記
 本研究は木川(2016)において行われた調査に基づくものである。