3:30 PM - 5:30 PM
[PC30] 問い生成型授業において学習者が見出した問い生成の手順は深い問いの生成に有効か
Keywords:問題発見, 質問生成, 問い生成型授業
問題と目的
向井・丸野(2015 学会発表)では,大学生の授業における問い生成について,逆算的な文脈構成力(問いを見出すために,講義内容のどこに注目し,どのように考えを展開(文脈構成)すればよいかを,大まかな問いのイメージから逆算的に考える力を高める訓練を実施することで,問い生成力が向上することが示された。他方,逆算的文脈構成力とは別に,問い生成のパフォーマンスを高めたものとして,授業活動及び訓練活動内で学習者が問いを生成する手順(マニュアルのようなもの)の獲得の可能性が考えられた。
そこで本研究は,学生が問い生成型の授業を経る中で,どのような問い生成手順を獲得したのか,また手順を多く獲得した者ほど,深い問いを生成できるようになるのか否かを検討した。
方 法
調査対象者 女子大学の1年生34名。問い生成・訓練型の授業(学習心理学)を受講した学生のうち,問い生成手順の獲得に関する質問紙調査に協力する意向を示してくれた者を対象とした。授業・訓練活動によって深い問いの生成できるようになった者は34名中20名。そうでなかった者は14名であった。
授業の実施概要 講義の中で学生自身が「問い」や「自分なりの答え」を考えたり,他の学生の問いや答えを見聞きしたり,良い点を評価する機会を設けた。また隔週で受講生が実際に考案した問いを1つ紹介し,その問いの考案者が,どのように考えてその問いに至ったのか,具体的内容を伴う思考の流れ(文脈)をできるだけ詳しく記述させた。同様の訓練は授業外でもeラーニングによって実施された。また受講生全員の問いと答えに教員がコメントした一覧表を学生に配布した。
深い問いの測定・評価 学生が生成した問いを対象に,創造的に知識を拡張したり,理解を深めるような問いであるかについて,以下の3つの観点から評価した。1.問いの再帰性:問い,答えを考えることで,元の学習内容の構造に新たな情報を付加する。2.答えの説明性:学習内容においてそれまで説明されていない事柄(なぜなのか,理由が明示されていない事柄)を説明している。3.答えの具体性(特殊性):当該の問い内容に特化し,ある程度具体性がある答え。1〜3全て満たす問い-答えを“深い問い”として評価した。
問い生成手順の獲得に関する質問紙調査 学生がどのような問い生成手順を獲得したのかについては,質問紙によって,普段問いを考える際の考え方を具体的に記述させることによって調べた。また授業を通して,どの程度,問い生成の手順(メモに残せるようなヒント)を得たかを各授業活動及び訓練活動(Table1)ごとに5段階評定させた。
結果と考察
授業後半で深い問いを多く生成した者(20名)とそうでなかった者(14名)とで,問いの考え方(手順)の質的内容を比較した結果,両者に大きな違いは見られなかった。また各活動において問い生成手順を獲得した程度と深い問いの生成率との相関関係を調べたところ,約半数の活動で有意な相関が示された(Table1)。さらに,文脈構成力との関係で詳しく分析すると,文脈構成力が高い者は,問い生成手順を獲得するほど,深い問いの生成率が高くなるが,分ミャウ構成力が低い者は,手順を多く獲得したとしても,深い問い生成には繋がらないことが示唆される結果が明らかとなった。
向井・丸野(2015 学会発表)では,大学生の授業における問い生成について,逆算的な文脈構成力(問いを見出すために,講義内容のどこに注目し,どのように考えを展開(文脈構成)すればよいかを,大まかな問いのイメージから逆算的に考える力を高める訓練を実施することで,問い生成力が向上することが示された。他方,逆算的文脈構成力とは別に,問い生成のパフォーマンスを高めたものとして,授業活動及び訓練活動内で学習者が問いを生成する手順(マニュアルのようなもの)の獲得の可能性が考えられた。
そこで本研究は,学生が問い生成型の授業を経る中で,どのような問い生成手順を獲得したのか,また手順を多く獲得した者ほど,深い問いを生成できるようになるのか否かを検討した。
方 法
調査対象者 女子大学の1年生34名。問い生成・訓練型の授業(学習心理学)を受講した学生のうち,問い生成手順の獲得に関する質問紙調査に協力する意向を示してくれた者を対象とした。授業・訓練活動によって深い問いの生成できるようになった者は34名中20名。そうでなかった者は14名であった。
授業の実施概要 講義の中で学生自身が「問い」や「自分なりの答え」を考えたり,他の学生の問いや答えを見聞きしたり,良い点を評価する機会を設けた。また隔週で受講生が実際に考案した問いを1つ紹介し,その問いの考案者が,どのように考えてその問いに至ったのか,具体的内容を伴う思考の流れ(文脈)をできるだけ詳しく記述させた。同様の訓練は授業外でもeラーニングによって実施された。また受講生全員の問いと答えに教員がコメントした一覧表を学生に配布した。
深い問いの測定・評価 学生が生成した問いを対象に,創造的に知識を拡張したり,理解を深めるような問いであるかについて,以下の3つの観点から評価した。1.問いの再帰性:問い,答えを考えることで,元の学習内容の構造に新たな情報を付加する。2.答えの説明性:学習内容においてそれまで説明されていない事柄(なぜなのか,理由が明示されていない事柄)を説明している。3.答えの具体性(特殊性):当該の問い内容に特化し,ある程度具体性がある答え。1〜3全て満たす問い-答えを“深い問い”として評価した。
問い生成手順の獲得に関する質問紙調査 学生がどのような問い生成手順を獲得したのかについては,質問紙によって,普段問いを考える際の考え方を具体的に記述させることによって調べた。また授業を通して,どの程度,問い生成の手順(メモに残せるようなヒント)を得たかを各授業活動及び訓練活動(Table1)ごとに5段階評定させた。
結果と考察
授業後半で深い問いを多く生成した者(20名)とそうでなかった者(14名)とで,問いの考え方(手順)の質的内容を比較した結果,両者に大きな違いは見られなかった。また各活動において問い生成手順を獲得した程度と深い問いの生成率との相関関係を調べたところ,約半数の活動で有意な相関が示された(Table1)。さらに,文脈構成力との関係で詳しく分析すると,文脈構成力が高い者は,問い生成手順を獲得するほど,深い問いの生成率が高くなるが,分ミャウ構成力が低い者は,手順を多く獲得したとしても,深い問い生成には繋がらないことが示唆される結果が明らかとなった。