The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PC(01-83)

ポスター発表 PC(01-83)

Sat. Oct 7, 2017 3:30 PM - 5:30 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

3:30 PM - 5:30 PM

[PC31] 経済学理論を適用した学習理論の構築

ミクロ経済学の視点から

西谷寿 (春日井市立鳥居松小学校)

Keywords:学習理論, ミクロ, 経済学

学習理論の基本
 学習理論では,学校という場で学習者(主に子供)と学習支援者(教師)が存在して学習に励んでいる状態をいう。しかし,学校では様々な問題が起こり,政府(行政)が介入して問題解決をすると設定する。
 学習理論では,ミクロ経済学の成果を取り入れれば効果的な学習ができると思われる。そこで,ミクロ経済学の理論を取り入れて,学習理論を構築していく。
学習理論では,主役は学習者である。学習者は学習内容の難易度が減少すると,学習者は学習したいと思う量(学習量)は増加する。逆に学習者は学習内容の難易度が増加すると,学習量は減少する。この関係を表したのが学習者の需要曲線で,右下がりの形で表される。学習理論は,学習行動の理由である知識欲を効用と定義して分析する。学習理論は,限界効用と無差別曲線で展開することができる。
限界効用
 学習者が学習して得られる満足感を,効用とする。学習者の行動は一定の制約された学習時間の下で,効用の最大化を図ることを目標とする。
 学習量と効用の関係を表す関数を,効用関数とする。横軸に学習量,縦軸に効用をとって両者の関係を示したグラフを効用曲線とする。このグラフの形は,右上がりである。これは学習量が増加するほど,効用も増加するからである。効用が飽きることがないので,非飽和の仮定という。
 学習量が1単位増加した時に得られる効用の増加分を,限界効用とする。効用関数を用いた数式では,限界効用は効用を学習量で微分して求めることができる。効用関数をグラフにした効用曲線で示すと,限界効用はグラフ上の点に引いた接線の傾きになる。
 効用曲線の形状は,上に凸型である。学習量が増加するほど効用は増加するが,その増加はだんだんとゆるやかになっていく。これを限界効用逓減の法則という。
無差別曲線
 効用曲線は,ある1教科の学習量と効用の組み合わせを示したものである。学習量の組み合わせで効用曲線を描いたグラフが,無差別曲線である。
 無差別曲線とは,学習者にとって等しい効用が得られる2つの教科の学習量の組み合わせをつないだ曲線である。
 無差別曲線には,4つの特徴がある。
  右下がりである。
     (代替性(単調性)の仮定)
  右上ほど効用が高い。(非飽和の仮定)
    互いに交差しない。 (推移律の仮定)
  原点に対して凸である。
    (限界代替率逓減の法則)
 限界代替率とは,ある教科の学習量を1単位増加させた時,同じ効用を保つためにもう一方の教科の学習量を何単位減少させればよいかを示す。限界代替率をグラフで表すと,無差別曲線上の点に引いた接線の傾きになる。これは,限界効用の比を求めることで導き出すことができる。
 無差別曲線は,原点に対して凸型の形で表される。限界代替率逓減の法則が当てはまっている状態である。限界代替率逓減の法則とは,学習量が増加するにしたがって限界代替率が徐々に減少することをいう。この性質が当てはまる時,無差別曲線は原点に対して凸型になるといえる。