The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PC(01-83)

ポスター発表 PC(01-83)

Sat. Oct 7, 2017 3:30 PM - 5:30 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

3:30 PM - 5:30 PM

[PC36] 教室の学びを支える児童のきく力尺度の作成

宮内健1, 向後千春2 (1.早稲田大学大学院, 2.早稲田大学)

Keywords:児童, きく力, 尺度

問題と目的
 学校教育において,最も基本的で,必要な技能の一つが「話をきく」ことである。しかし,近年,授業中にしっかり座って話をきくことが苦手な児童が,目立っており,今日の学校教育において,児童のきく力に関わる研究は,教室における学びを確かなものにするための喫緊の課題である。
 教室の学びを支えるきく力とは「話をきいてキーワードや要点をとらえ,話の共通点や相違点,構成を理解し,話の予測や要約をしたり,新たな考えをもったりする力」と概念的定義をする。本研究では,教室の学びを支える児童のきく力を測定する尺度を開発することを目的とする。
研究方法
予備調査
協力者‥首都圏公立A小学校3年生34人
質問紙項目‥先行研究の質問紙項目をもとにし,教室の学びを支えるきく力の定義である「きいたことを短くまとめる」項目や「きいたことを覚えている」などの教室で学ぶ際に必要な項目を独自に作成し,18項目とした。
本調査
協力者‥首都圏公立A小学校児童3年生134人
質問紙項目‥予備調査の結果,表記をわかりやすく修正した。また,予備調査の回答得点が全体的に高かったため,質問紙項目の全ての文頭に「いつも」を追記し,教示文にも「いつもしているか ,できているかをよく考えて〇をつけます」と追記修正した。5件法で回答した。
調査時期…2016年12月
手続き…各クラスにて担任教師が児童に質問紙項目を読み上げ実施した。
結   果
因子分析 因子の抽出には最尤法 ,回転方法にはプロマックス法を用いた。
 最終的な因子パターンと因子相関はTable1に示す。第1因子は5項目で構成され,小学校学習指導要領国語科の「話す・聞く」内容の中高学年的内容と位置付けられる。そこで「聴覚的言語理解応用力因子」と名付けた。第2因子は5項目で構成され,上記の低中学年的内容と位置付けられる。そこで ,「聴覚的言語理解基礎力因子」と名付けた。また各因子のα係数は十分高く(第1因子0.840 第2因子0.834),信頼性も確認された。
妥当性の検討
基準関連妥当性
 児童一人一人のきく力について担任教師が質問紙項目に沿って評定した。1学級34人で実施し,担任教師の評定と児童の結果の相関を調べた。結果はTable2に示す。
内容的妥当性
 4人の小学校ベテラン教師より質問紙項目について児童のきく力として妥当であるか検討して頂いた。また,2因子については小学校学習指導要領国語編の指導事項の学年発達に応じた内容となっており,一定の内容的妥当性があると考えられる。