15:30 〜 17:30
[PC73] ネット会議システムを用いた学校連携プロジェクトにおける効果と課題の検討
キーワード:小規模校, 人間関係構築, へき地
問題と目的
北陸地方の小規模県である福井県の人口は,現状80万人を下回っている。10年の間に約37,000人の人口減少を伴っている。特に福井県全体の人口減少のなかでも,子どもの人口減少が大きな割合を占めていること。このような社会状況は教育現場にも反映されている。福井県では10年間で14校の学校が減少しているが,学級規模別にみてみると,5学級以下の学校が7校減で,反対に18学級以上の学校が7校増である。このことより,へき地の学校が統廃合などにより減少していく一方で,都市部の学校に人口が集まっている現状がうかがえる。当然,このような小規模県の中にある小規模校にも教育上の大きな問題がある。
一番大きな問題になるのは,人間関係構築に関わる問題である。へき地の学校は幼少中が同じ敷地内にあることが多く,そこに通う子どもたちは,幼稚園から中学校までほとんど人間関係が変わらずに1学年1人~5,6人程度で生活することになる。実際に多くのへき地小規模校では,一学年での授業実施が困難で複式を採用するなどしている。本来,小学校に通う児童期には,多様な仲間たちとのかかわりを通した仲間集団の構築など社会性獲得が求められる時期でもある。そのような時期に,限られた少数の仲間だけで変化することなく中学校卒業まで過ごすという事は,その子供の成長の可能性を大きく狭めることにもつながると考えられる。
本報告では,地域に根差した学校を地域の中に残しながら,子どもたちの多様な人間関係構築機会を提供できるようなシステムをおよび環境の構築を行い,その実践を行った。具体的な実践は以下の通りである。全校児童20名程度のへき地複式を採用している福井市内の小学校3校選定し,ネット会議システムを用いて常時ネットワークで結ぶとともに,学校間交流を頻繁に行う環境を構築した。実践の特色として以下の2点が挙げられる。第1にインターネット上でのネット会議システムで日常的に交流を図るとともに,現実場面においても交流を持てる機会を用意した点である。本プロジェクトでは,ネット上での交流と現実場面での交流を交互に実践することで,へき地小規模校における子どもたちのより広範な人間関係構築につながる環境設計を行った。第2に本実践で利用したネット会議システムは,子ども達の多様な人間関係構築に資するのが主目的であるため,各学校のパブリックなスペースに設置した点である。基本的に授業利用を前提にはしていないため,休み時間等の時間の子どもたちの交流を企図した。
方 法
実践の効果および問題点を明らかにするために,教員と子ども達双方へのインタビューを行った。また,子ども達には効果測定をより明確に行うためにアンケート調査も行った。
結果と考察
3.1 実践の効果
教員側から出された意見として,2校の距離が心理的に非常に近く感じられるようになったという事が出てきた。これは,子ども達も同様に感じているようであった。いつでも繋がる,いつでも話せるというのは,大きな安心感につながるという意見が出された。
3.2 実践の問題点
教員側からの問題点として,他校の子どもとの人間関係構築に関する問題点が挙げられた。教員の見ていないところでの人間関係構築をどのように捉えていくのかが今後の課題といえる
北陸地方の小規模県である福井県の人口は,現状80万人を下回っている。10年の間に約37,000人の人口減少を伴っている。特に福井県全体の人口減少のなかでも,子どもの人口減少が大きな割合を占めていること。このような社会状況は教育現場にも反映されている。福井県では10年間で14校の学校が減少しているが,学級規模別にみてみると,5学級以下の学校が7校減で,反対に18学級以上の学校が7校増である。このことより,へき地の学校が統廃合などにより減少していく一方で,都市部の学校に人口が集まっている現状がうかがえる。当然,このような小規模県の中にある小規模校にも教育上の大きな問題がある。
一番大きな問題になるのは,人間関係構築に関わる問題である。へき地の学校は幼少中が同じ敷地内にあることが多く,そこに通う子どもたちは,幼稚園から中学校までほとんど人間関係が変わらずに1学年1人~5,6人程度で生活することになる。実際に多くのへき地小規模校では,一学年での授業実施が困難で複式を採用するなどしている。本来,小学校に通う児童期には,多様な仲間たちとのかかわりを通した仲間集団の構築など社会性獲得が求められる時期でもある。そのような時期に,限られた少数の仲間だけで変化することなく中学校卒業まで過ごすという事は,その子供の成長の可能性を大きく狭めることにもつながると考えられる。
本報告では,地域に根差した学校を地域の中に残しながら,子どもたちの多様な人間関係構築機会を提供できるようなシステムをおよび環境の構築を行い,その実践を行った。具体的な実践は以下の通りである。全校児童20名程度のへき地複式を採用している福井市内の小学校3校選定し,ネット会議システムを用いて常時ネットワークで結ぶとともに,学校間交流を頻繁に行う環境を構築した。実践の特色として以下の2点が挙げられる。第1にインターネット上でのネット会議システムで日常的に交流を図るとともに,現実場面においても交流を持てる機会を用意した点である。本プロジェクトでは,ネット上での交流と現実場面での交流を交互に実践することで,へき地小規模校における子どもたちのより広範な人間関係構築につながる環境設計を行った。第2に本実践で利用したネット会議システムは,子ども達の多様な人間関係構築に資するのが主目的であるため,各学校のパブリックなスペースに設置した点である。基本的に授業利用を前提にはしていないため,休み時間等の時間の子どもたちの交流を企図した。
方 法
実践の効果および問題点を明らかにするために,教員と子ども達双方へのインタビューを行った。また,子ども達には効果測定をより明確に行うためにアンケート調査も行った。
結果と考察
3.1 実践の効果
教員側から出された意見として,2校の距離が心理的に非常に近く感じられるようになったという事が出てきた。これは,子ども達も同様に感じているようであった。いつでも繋がる,いつでも話せるというのは,大きな安心感につながるという意見が出された。
3.2 実践の問題点
教員側からの問題点として,他校の子どもとの人間関係構築に関する問題点が挙げられた。教員の見ていないところでの人間関係構築をどのように捉えていくのかが今後の課題といえる