The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

Presentation information

ポスター発表 PC(01-83)

ポスター発表 PC(01-83)

Sat. Oct 7, 2017 3:30 PM - 5:30 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

3:30 PM - 5:30 PM

[PC76] 学校動物への愛着尺度,飼育前不安尺度,学校動物飼育尺度の信頼性・妥当性の検討

中島由佳 (大手前大学)

Keywords:学校飼育動物, 愛着尺度, 飼育尺度

目   的
 学校での動物飼育が動物への共感性,向社会的行動などに良い影響をもつことが報告されている(中島・中川・無藤,2011)なぜ学校での動物飼育が子どもの心理的発達に効果を持つのか,その機序を明らかにするために中島(印刷中)は,学校動物への愛着尺度,飼育前不安尺度および学校動物飼育尺度の開発を試みた。予備調査を経て東京都N市で飼育を行っている小学4年生538名を対象に調査・分析を行ったところ,学校動物愛着尺度(3因子9項目),飼育前不安尺度(1因子4項目),学校動物飼育尺度(4因子13項目)が得られた。そこで本研究は,これら3つの尺度の信頼性および妥当性の検討を行った。
方   法
調査対象者 静岡県H市で飼育を行っている2小学校の4年生178名を対象に調査を行った。欠損値のあるデータを除外した177名で分析を行った。
使用尺度 (1)学校動物愛着尺度 (2)飼育前不安尺度 (3)学校動物飼育尺度とともに, (4)動物への共感性:Primary Attitude Scale(Ascione, 1988)の日本語版15項目 (5) 他者への温かさ:情動的共感性尺度(加藤・高木,1980)からの 6項目 (6)学校適応:学校生活に対する意識の尺度(二宮・大野,1990)からの8項目を使用し,各尺度はそれぞれ4件法にて測定した。
結   果
学校動物への愛着尺度:確認的因子分析の結果,3因子構造が確認された(Figure 1)。適合度はGFI= .983, AGFI= .966, RMSEA= .041と悪くなく,尺度の信頼性が保証された。
飼育前不安尺度:因子分析(最尤法)の結果,1因子構造が確認された(Table 2)。
学校動物飼育尺度:確認的因子分析の結果,3因子構造が確認された(Figure 2)。適合度はGFI= .953, AGFI= .927, RMSEA= .060と悪くなく,尺度の信頼性が保証された。
 妥当性の検証のため,各項目の平均値を用いて尺度間の相関を求めた。結果はTable1の通り。
考   察
 学校動物愛着尺度,学校動物飼育尺度の信頼性が保証されたが,「友だちとの協力」の1項目への負荷が極端に低く,さらなる検討の余地がある。各尺度間では概ね中程度の相関が得られた中で,飼育前の不安のみ,他者への温かさや学校適応とは強いつながりを持たないことが示唆された。