The 59th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

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ポスター発表 PD(01-83)

ポスター発表 PD(01-83)

Sun. Oct 8, 2017 10:00 AM - 12:00 PM 白鳥ホールB (4号館1階)

10:00 AM - 12:00 PM

[PD09] 女子大学生における親の期待内容の認知と親の期待に対する反応様式との関係

池田幸恭 (和洋女子大学)

Keywords:親の期待, 親子関係, 青年期

問題と目的
 青年は親からの自立や進路選択において,親の期待から一方的に影響を受けるだけではなく,親の期待に対して主体的に取り組んでいくといえる。
 池田(2009)は「親の期待に対する反応様式」を「自分が親から“こうあってほしい”あるいは“こうなってほしい”と望まれることに対して示す反応のあり方」と定義し,「親の期待の積極的受容」「親の期待への反発」「親の期待との折り合い」「自分の生き方の尊重」「親の期待の軽視」「親の期待への表面的な迎合」「親の期待に応えることへの限界の認識」「親の期待による負担感」という8種類の反応様式を見いだしている。そして,大学生における親の期待に対する反応様式とアイデンティティの感覚との関係を検討している。しかし,池田(2009)では,親の期待の具体的な内容は考慮されていないことが課題として指摘できる。
 本研究では,密着した母娘関係に関する指摘(信田,2008)も踏まえて,女子大学生に焦点化して検討する。本研究の目的は,女子大学生における親の期待内容の認知と親の期待に対する反応様式との関係を明らかにすることである。
方   法
調査回答者 千葉県内の女子大学生234名(2年生197名,3年生24名,4年生12名,未回答1名)の回答について,同意を得た上で分析した。
調査時期と手続き 2012年および2014年から2016年に筆者が担当した講義「青年心理学」における親の期待に対する反応様式に関する授業内で質問紙調査を実施した。
調査内容 主な調査内容は以下のとおりであった。
 親の期待を感じている程度 親から期待をされているとどのくらい感じているかについて,「まったく感じていない」から「非常に感じている」までの4件法で回答を求めた。
 親の期待内容の認知 親の期待を「まったく感じていない」とした以外の回答者に,親からどのような期待をされていると感じるかを5つまで記述してもらい,さらに親が最も期待していると思う内容を1つ選択してもらった。
 親の期待に対する反応様式 選択した親が最も期待していると思う内容を想定して,8種類の反応様式(池田,2009)に各4項目を選定した計32項目について,「まったくあてはまらない」から「非常にあてはまる」までの5件法で回答を求めた。
結果と考察
 親の期待を感じている程度は,「まったく感じていない」59名(25.2%),「どちらかといえば感じている」111名(47.4%),「感じている」44名(18.8%),「非常に感じている」19名(8.1%)であった(未回答1名)。
 親の期待内容の認知として計459件の記述が得られた。内容の類似性を基準に分類,整理した結果,18種類の記述グループが見いだされ,さらに「Ⅰ-進路期待」「Ⅱ-成長期待」「Ⅲ-日常生活期待」「Ⅳ-性役割期待」「Ⅴ-家族貢献期待」「Ⅵ-大学生活期待」という6種類のカテゴリーにまとめられた(Table 1)。
 親の期待に対する8種類の反応様式について,選択された親の期待の6種類の内容を要因とした分散分析と多重比較(TukeyのHSD法)をおこなった。「Ⅱ-成長期待」に比べて,「Ⅳ-性役割期待」と「Ⅴ-家族貢献期待」は「親の期待の軽視」の得点が大きく(F(5, 161)=3.25, p<.01, η2=.09),「Ⅴ-家族貢献期待」は「親の期待への表面的な迎合」の得点も大きかった(F(5, 161)=2.51, p<.05, η2=.07)。女子大学生は,親から家族への貢献や性役割を期待されていると感じてもその期待を重視していないことが示唆され,親の期待の積極的受容,親の期待への反発,親の期待との折り合い,自分の生き方の尊重,親の期待に応えることへの限界の認識,親の期待による負担感という6種類の反応様式には親の期待内容による相違はみられなかった。