日本教育心理学会第59回総会

講演情報

ポスター発表 PD(01-83)

ポスター発表 PD(01-83)

2017年10月8日(日) 10:00 〜 12:00 白鳥ホールB (4号館1階)

10:00 〜 12:00

[PD42] 教師の授業内コミュニケーションと授業改善の関連1

教師の授業内コミュニケーション行動の分類と検討

芳賀明子1, 森嶋尚子2, 渋井和子#3 (1.帝京短期大学, 2.品川区立城南第二小学校, 3.練馬区立富士見台小学校)

キーワード:教師の指導行動, 授業内コミュニケーション, 授業改善

目   的
 小学校の場合,教師の勤務時間のおよそ50%が授業を行う時間である。この時間内の教師の指導行動が適切であるか否かは,学ぶ側=児童にとって有意義なものとなるか否かと同義であると言ってよいのではないだろうか。どのような教材もどのような指導法も,教師の授業内の指導行動によって,有効性は異なる。そこでこの指導行動を分類・検討し,授業改善の手がかりを得たいと考えた。
 授業内 での「教える 」という 行動は 学ぶ側とのコミュニケーションの 一種であると考えられる。そこで教師は 授業内で どのようなコミュニケーションを成立させているのかを 把握し,教師の授業内コミュニケーションを分類・整理し,授業内コミュニケーションについて検討する。
方   法
1対象となる授業・教師と実施時期
対象者;首都圏のA地域内の公立小学校学級担任教師12名及びB地域内の公立小学校教師12名,計24名の授業。実施時期;2017年3月。
2データ収集
 ビデオカメラを用いて,24名の教師の「通常の」国語の授業を研究者が撮影した。1単位授業を1
場面とし,合計24場面をデータとして収集した。
撮影に際しては,対象を教師の発話と行動に限定していることを予め説明し,児童の画像は撮影していない。授業であるため,児童の音声は録音されているが,教師の発話と行動のみを対象としている。教師への調査項目は,年齢,経験年数,性別である。
整理方法
 The Roter Interaction Process Analysis system (RIAS)カテゴリーを用いて,岩脇・滝下が作成した言語的コミュニケーションの分類をモデルとしながら,授業の特徴を考慮して,授業内コミュニケーションとして分類した。
1The Roter Interaction Process Analysis system (RIAS)は,本来医師と患者のコミュニケーション分析のために設計されたものであり,医師と患者の面接場面は1対1の関係を対象としている。しかし,教師と児童の授業場面は1対多であり,教師と児童のコミュニケーション分析における信頼性は検証されていない。それでもなお授業場面における教師と児童のコミュニケーションを考察する上で共通すると考えられる点が多く,今後教師の指導行動を検討する上での指標作成に寄与すると考え,これを用いることとした。
2The Roter Interaction Process Analysis system (RIAS)は,「トランスクリプトによらず,録画または録音から直接行う」とされているが,授業内の音声は多数の児童の音声が入り,それに対して教師の発語も変化することが捉えられたため,トランスクリプトを作成し,分類を行った。
分類結果を下記に示す。