10:00 AM - 12:00 PM
[PD55] 3因子で捉えた大学生の協調性とビッグ5,創造性との関係
Keywords:協調性, ビッグ5, 創造性
問題と目的
登張他(2017)は,大学生対象に作成した4下位尺度からなる多面的協調性尺度(2016)を用いた大学生,高校生対象の3調査の結果を再分析し,いずれのデータにも適合する13項目3因子のモデルを作成した。本研究では,このモデルに基づいて作成された13項目版多面的協調性尺度の協調的問題解決,協力志向,調和志向の3下位尺度とビッグ5因子,および創造性との関係を検討する。
次のような仮説を立てた。(1)多面的協調性下位尺度はいずれもビッグ5調和性と正の関係を持つ。(2)自他相互の意見を尊重し,両者にとってより良い解決を目指すという内容を含む協調的問題解決尺度は,積極性を含む外向性,および創造性と正の関係を持つ。(3)協力志向は外向性と正の関係を持つ。(4)相手に合わせようとする調和志向は,受動的な意味合いを持ち,外向性とは負の関係を持つ。
方 法
協力者:大学生男70,女178,不明2,計250名平均年齢18.84歳
測度:13項目版多面的協調性尺度(登張他,2017)
ビッグ5尺度(和田,1996);日本語版Ten Item
Personality Inventory(TIPI-J)(小塩他,2012)
創造性尺度(ムンツァート, 1982 松野訳;
一部表現を変更した)
結 果
全13項目の多面的協調性尺度を因子分析すると(最尤法,プロマックス回転),大学生,高校生3調査の因子分析結果(登張他,2017)とほぼ同様の結果で,同様の3因子が抽出されたため,その結果に基づいて作成した協調的問題解決(6項目),協力志向(3項目),調和志向(4項目)の3尺度の尺度得点を使用した。
創造性32項目は成分数=1の主成分分析と内的整合性分析の結果をもとに,創造性との関連が低いと考えられる3項目を除いた29項目の合計点を尺度得点として用いた。多面的協調性下位尺度と2種類のビッグ5下位尺度,創造性尺度との相関を調べた(Table 1)。
協調的問題解決と協力志向は仮説通り,ビッグ5調和性と正の相関を示したが,調和志向はTIPI調和性とは正の相関を示したものの,ビッグ5調和性とは有意な相関を示さなかった。外向性との関係は,仮説通り,協調的問題解決と協力志向は正の相関,調和志向は負の相関を示した。
創造性との相関は,仮説通り,協調的問題解決は正の相関を示した。協力志向とは有意な相関がみられず,調和志向は負の相関を示した。
協調的問題解決は誠実性,開放性とも正の相関を示した(TIPI開放性とは有意な相関を示さなかった)。協力志向は誠実性とは正,神経症傾向とは負の相関を示した(TIPI勤勉性,TIPI神経症傾向とは有意な相関を示さなかった)。調和志向は神経症傾向と正,開放性と負の相関を示した。
考 察
本研究の大学生データでも,大学生,高校生対象の3調査の因子分析結果と同様の因子が抽出され,3因子の因子的妥当性がさらに確認された。
協調性下位尺度とビッグ5因子との関係は,協調的問題解決と協力志向は比較的類似しているが,調和志向は他の2尺度とはかなり異なる関係を示した。創造性との関係は,3尺度でそれぞれ異なり,協調的問題解決は正,調和志向は負の関係を示し,協力志向は有意な関係を示さなかった。3下位尺度の弁別的妥当性が確認された。
引用文献
ムンツァート(1982 松野武訳). 右脳左脳のIQテスト 東京図書
小塩他(2012). パーソナリティ研究,21,40-52.
登張他(2016). 文教大学人間科学研究,37,151-164.
登張他(2017). 多面的協調性尺度の3因子解の検討
日本心理学会81回大会
和田(1996). 心理学研究,67,61-67.
登張他(2017)は,大学生対象に作成した4下位尺度からなる多面的協調性尺度(2016)を用いた大学生,高校生対象の3調査の結果を再分析し,いずれのデータにも適合する13項目3因子のモデルを作成した。本研究では,このモデルに基づいて作成された13項目版多面的協調性尺度の協調的問題解決,協力志向,調和志向の3下位尺度とビッグ5因子,および創造性との関係を検討する。
次のような仮説を立てた。(1)多面的協調性下位尺度はいずれもビッグ5調和性と正の関係を持つ。(2)自他相互の意見を尊重し,両者にとってより良い解決を目指すという内容を含む協調的問題解決尺度は,積極性を含む外向性,および創造性と正の関係を持つ。(3)協力志向は外向性と正の関係を持つ。(4)相手に合わせようとする調和志向は,受動的な意味合いを持ち,外向性とは負の関係を持つ。
方 法
協力者:大学生男70,女178,不明2,計250名平均年齢18.84歳
測度:13項目版多面的協調性尺度(登張他,2017)
ビッグ5尺度(和田,1996);日本語版Ten Item
Personality Inventory(TIPI-J)(小塩他,2012)
創造性尺度(ムンツァート, 1982 松野訳;
一部表現を変更した)
結 果
全13項目の多面的協調性尺度を因子分析すると(最尤法,プロマックス回転),大学生,高校生3調査の因子分析結果(登張他,2017)とほぼ同様の結果で,同様の3因子が抽出されたため,その結果に基づいて作成した協調的問題解決(6項目),協力志向(3項目),調和志向(4項目)の3尺度の尺度得点を使用した。
創造性32項目は成分数=1の主成分分析と内的整合性分析の結果をもとに,創造性との関連が低いと考えられる3項目を除いた29項目の合計点を尺度得点として用いた。多面的協調性下位尺度と2種類のビッグ5下位尺度,創造性尺度との相関を調べた(Table 1)。
協調的問題解決と協力志向は仮説通り,ビッグ5調和性と正の相関を示したが,調和志向はTIPI調和性とは正の相関を示したものの,ビッグ5調和性とは有意な相関を示さなかった。外向性との関係は,仮説通り,協調的問題解決と協力志向は正の相関,調和志向は負の相関を示した。
創造性との相関は,仮説通り,協調的問題解決は正の相関を示した。協力志向とは有意な相関がみられず,調和志向は負の相関を示した。
協調的問題解決は誠実性,開放性とも正の相関を示した(TIPI開放性とは有意な相関を示さなかった)。協力志向は誠実性とは正,神経症傾向とは負の相関を示した(TIPI勤勉性,TIPI神経症傾向とは有意な相関を示さなかった)。調和志向は神経症傾向と正,開放性と負の相関を示した。
考 察
本研究の大学生データでも,大学生,高校生対象の3調査の因子分析結果と同様の因子が抽出され,3因子の因子的妥当性がさらに確認された。
協調性下位尺度とビッグ5因子との関係は,協調的問題解決と協力志向は比較的類似しているが,調和志向は他の2尺度とはかなり異なる関係を示した。創造性との関係は,3尺度でそれぞれ異なり,協調的問題解決は正,調和志向は負の関係を示し,協力志向は有意な関係を示さなかった。3下位尺度の弁別的妥当性が確認された。
引用文献
ムンツァート(1982 松野武訳). 右脳左脳のIQテスト 東京図書
小塩他(2012). パーソナリティ研究,21,40-52.
登張他(2016). 文教大学人間科学研究,37,151-164.
登張他(2017). 多面的協調性尺度の3因子解の検討
日本心理学会81回大会
和田(1996). 心理学研究,67,61-67.