10:00 AM - 12:00 PM
[PD79] 学校危機を経験した教師に関する研究(2)
混乱の収束に関する自由記述の分析
Keywords:学校危機, 緊急支援, 混乱の収束
問題と目的
突然の事件・事故への遭遇等によって生じる学校危機への臨床心理士による支援は,徐々に体制が整備されてきたが,その効果については明らかにされていない。そもそも緊急支援とは,学校危機時に早急に学校の混乱を鎮め,学校が本来の機能を取り戻すために行う援助である(窪田,2005)。したがって,緊急支援プログラムの効果を明らかにするための基準が必要である。
本研究では,学校危機に陥り,その混乱がどのように収束していくのかの基準について,教師の自由記述をもとに検討することを目的としている。
方 法
【調査方法】対象,実施方法,質問紙の構成は窪田ら(2016)の通り。実施に際しては著者の所属機関の研究倫理委員会の承認を得た。
【調査協力者】2887名の回答者のうち学校危機を経験した994名を分析対象とした。
【分析】学校危機時の混乱の収束基準についての自由記述を分析した。回答は492名から得られた。分析は緊急支援の経験を持つ臨床心理士を含む4名の臨床心理士でKJ法(川喜多,1967)に準じた方法を用いて行った。
結果と考察
分析の結果をTable 1に示す。「特別対応の終了」や「今後の対策,再発防止策の完了」,「日常生活に戻る」,「通常の教育活動の再開」などは,学校危機による特別な対応が終わり,日常への回帰を混乱の収束基準としていることが窺えた。また,「精神面の落ち着き」や「安心」,「不適応の改善」,「笑顔」など構成員の精神面,情緒面の安定もまた基準となっていることが窺えた。加えて,「時間の区切り」,「時間の経過」など物理的な側面も基準となっていた。一方で,「収束することはない」と答える教師も一定数存在した。
まとめと今後の課題
今回の調査を通して,学校危機を経験した教師の学校危機時の混乱の収束基準が明らかになった。今後は,緊急支援の学校コミュニティの回復への効果を検証すためのツールとして,これらの分析結果をもとにした混乱の収束尺度を作成することも期待される。
*本研究の実施に際しては日本学術振興会科学研究費 基盤研究(B)(No.25285191)の助成を受けた。
突然の事件・事故への遭遇等によって生じる学校危機への臨床心理士による支援は,徐々に体制が整備されてきたが,その効果については明らかにされていない。そもそも緊急支援とは,学校危機時に早急に学校の混乱を鎮め,学校が本来の機能を取り戻すために行う援助である(窪田,2005)。したがって,緊急支援プログラムの効果を明らかにするための基準が必要である。
本研究では,学校危機に陥り,その混乱がどのように収束していくのかの基準について,教師の自由記述をもとに検討することを目的としている。
方 法
【調査方法】対象,実施方法,質問紙の構成は窪田ら(2016)の通り。実施に際しては著者の所属機関の研究倫理委員会の承認を得た。
【調査協力者】2887名の回答者のうち学校危機を経験した994名を分析対象とした。
【分析】学校危機時の混乱の収束基準についての自由記述を分析した。回答は492名から得られた。分析は緊急支援の経験を持つ臨床心理士を含む4名の臨床心理士でKJ法(川喜多,1967)に準じた方法を用いて行った。
結果と考察
分析の結果をTable 1に示す。「特別対応の終了」や「今後の対策,再発防止策の完了」,「日常生活に戻る」,「通常の教育活動の再開」などは,学校危機による特別な対応が終わり,日常への回帰を混乱の収束基準としていることが窺えた。また,「精神面の落ち着き」や「安心」,「不適応の改善」,「笑顔」など構成員の精神面,情緒面の安定もまた基準となっていることが窺えた。加えて,「時間の区切り」,「時間の経過」など物理的な側面も基準となっていた。一方で,「収束することはない」と答える教師も一定数存在した。
まとめと今後の課題
今回の調査を通して,学校危機を経験した教師の学校危機時の混乱の収束基準が明らかになった。今後は,緊急支援の学校コミュニティの回復への効果を検証すためのツールとして,これらの分析結果をもとにした混乱の収束尺度を作成することも期待される。
*本研究の実施に際しては日本学術振興会科学研究費 基盤研究(B)(No.25285191)の助成を受けた。