1:30 PM - 3:30 PM
[PE02] 実習前後における保育者効力感のシステマティック・レビュー
保育・幼稚園実習は学生の保育者効力感を高めたのか
Keywords:保育者効力感, システマティック・レビュー, メタ分析
実習の尺度としての「保育者効力感」
養成期において,実習教育の重要性,教育的な効果については,これまで数多くの先行実践と研究において示されてきた。とくに,これまでの多くの先行研究では保育者養成における保育所・幼稚園実習の効果を推し量る尺度の一つとして「保育者効力感」に焦点が当てられ,その知見が積み重ねられてきた。
しかしながら,実習前後の保育者効力感の変化を対象とした先行研究を比較すると,実習が保育者効力感に与える影響に関する研究の結果に異なる点が多々みられる。例えば,1年次の7~10月に実施された実習前後の保育者効力感を測定した塚本(2010)らと小薗江(2011),胡(2014)らの3つの研究を比較しても,同じ1年次でかつ実習内容も観察実習が中心であまり差が無い。しかし,塚本(2010)らではすべての項目に有意な差が見られなかったが,小薗江(2011)では,項目8と10が有意に低くなったことを,胡(2014)らでは項目9が有意に低くなったことを示した。
そこで,本研究では,実習前後の保育者効力感の変化についてシステマティックレビューを行うことで,実習が保育者効力感に与える影響について検証を行おうと考えた。そして,保育者養成における実習教育の意義に関するエビデンスを示し,養成期における実習教育の在り方について新たな視座を示そうと考えた。
研究の方法
PICOを用いた疑問の定式化
本研究の目的ついては,JBIが示したPICOS(Population,Intervenetion,Comparator, Outcome,Study Design)をもとに作成した(Table1)。
研究対象(Population)は,保育者養成校の学生とした。介入(Intervenetion)は,保育所もしくは,幼稚園における実習とし,比較測定方法(Comoarator)は介入前後における同一集団に対して実施した評価尺度の各項目の平均値のt検定とした。評価尺度(Outcome)は,三木・桜井(1994)が作成した保育者効力感尺度10項目とした。また,研究デザイン(Study Design)は,適切にデザインされた準実験研究とした。
論文の検索と選択基準
今回用いたデータベースは,CiNiiを用い,補完的にGoogle Schoolarを用いた。データベースで検索された論文の中で,一番古い日付が1995年8月31日で,最新の論文が2016年10月であったため,その期間に発刊された論文115の内,19の重複論文などを削除し,最終的に15論文を採択することとした。
系統的検索の手続きについては,データベースから得られた論文の内,重複論文を除外し,さらにタイトルと抄録のスクリーニングから関連の無い論文を除外し,その残りの論文の本文をPICOSで示した基準で精査して,論文を選択する
選択した論文からのデータ抽出
選択した論文から,(a)対象者の年次,(b)調査時期,(c)介入(実習)の内容,(d)項目毎の平均値と母数,(e)検定の結果,以上5点をデータとして抽出し,一覧としてまとめる。
結果と考察
実習の違いによって高まる異質性
メタ分析の結果,保育所実習Ⅰ~Ⅲ,幼稚園実習Ⅰ~Ⅲなどの実習内容を統制せずに,メタ分析を行った結果,異質性が高いことが明らかになった。そこで,介入前後の実習の種類を統制し,観察中心に実施された保育所実習Ⅰと,責任実習がが実施された保育所実習Ⅲと幼稚園実習を分けてメタ分析を行った。その結果,いくつかの項目について効果の差異が見られた。詳細は,発表当日に資料を配布する予定である。
養成期において,実習教育の重要性,教育的な効果については,これまで数多くの先行実践と研究において示されてきた。とくに,これまでの多くの先行研究では保育者養成における保育所・幼稚園実習の効果を推し量る尺度の一つとして「保育者効力感」に焦点が当てられ,その知見が積み重ねられてきた。
しかしながら,実習前後の保育者効力感の変化を対象とした先行研究を比較すると,実習が保育者効力感に与える影響に関する研究の結果に異なる点が多々みられる。例えば,1年次の7~10月に実施された実習前後の保育者効力感を測定した塚本(2010)らと小薗江(2011),胡(2014)らの3つの研究を比較しても,同じ1年次でかつ実習内容も観察実習が中心であまり差が無い。しかし,塚本(2010)らではすべての項目に有意な差が見られなかったが,小薗江(2011)では,項目8と10が有意に低くなったことを,胡(2014)らでは項目9が有意に低くなったことを示した。
そこで,本研究では,実習前後の保育者効力感の変化についてシステマティックレビューを行うことで,実習が保育者効力感に与える影響について検証を行おうと考えた。そして,保育者養成における実習教育の意義に関するエビデンスを示し,養成期における実習教育の在り方について新たな視座を示そうと考えた。
研究の方法
PICOを用いた疑問の定式化
本研究の目的ついては,JBIが示したPICOS(Population,Intervenetion,Comparator, Outcome,Study Design)をもとに作成した(Table1)。
研究対象(Population)は,保育者養成校の学生とした。介入(Intervenetion)は,保育所もしくは,幼稚園における実習とし,比較測定方法(Comoarator)は介入前後における同一集団に対して実施した評価尺度の各項目の平均値のt検定とした。評価尺度(Outcome)は,三木・桜井(1994)が作成した保育者効力感尺度10項目とした。また,研究デザイン(Study Design)は,適切にデザインされた準実験研究とした。
論文の検索と選択基準
今回用いたデータベースは,CiNiiを用い,補完的にGoogle Schoolarを用いた。データベースで検索された論文の中で,一番古い日付が1995年8月31日で,最新の論文が2016年10月であったため,その期間に発刊された論文115の内,19の重複論文などを削除し,最終的に15論文を採択することとした。
系統的検索の手続きについては,データベースから得られた論文の内,重複論文を除外し,さらにタイトルと抄録のスクリーニングから関連の無い論文を除外し,その残りの論文の本文をPICOSで示した基準で精査して,論文を選択する
選択した論文からのデータ抽出
選択した論文から,(a)対象者の年次,(b)調査時期,(c)介入(実習)の内容,(d)項目毎の平均値と母数,(e)検定の結果,以上5点をデータとして抽出し,一覧としてまとめる。
結果と考察
実習の違いによって高まる異質性
メタ分析の結果,保育所実習Ⅰ~Ⅲ,幼稚園実習Ⅰ~Ⅲなどの実習内容を統制せずに,メタ分析を行った結果,異質性が高いことが明らかになった。そこで,介入前後の実習の種類を統制し,観察中心に実施された保育所実習Ⅰと,責任実習がが実施された保育所実習Ⅲと幼稚園実習を分けてメタ分析を行った。その結果,いくつかの項目について効果の差異が見られた。詳細は,発表当日に資料を配布する予定である。