13:30 〜 15:30
[PE17] 幼児期からのメタ認知の発達支援と自己評価モデル開発に関する研究
保育者と子ども・子ども同士のやりとりから見えてきたもの
キーワード:メタ認知, 発達支援, 自己評価
問題と目的
メタ認知とは「認知についての認知」であり,自分の認知をより高次なレベルからとらえ直し,考え,調整・制御しようとする心的作用として,日常生活の様々な活動場面において働くものである。また,メタ認知は,メタ認知的知識とメタ認知的活動に大別でき(三宮,2008),子どものメタ認知の発達に関する研究は,Flavell(1987)や Brown(1987)に示されている。その一方で,自己調整学習や方略に関する研究が多数ある(たとえばZimmerman,1989,1996など)が,これらの教科学習場面や授業づくりを想定したものが多くみられる。
幼児期の学びは,遊びや生活体験の中にあり,他者とのかかわりや関係性と学びには,密接な関係があると考えられる。では,遊びや生活体験場面において,子どものメタ認知はどのように発達し,それはどのように支援することができるのだろうか。
そこで本研究では,子どもの音遊び活動から,どのようなメタ認知的知識やメタ認知的活動が営まれ,言語化されているのかを明らかにしようと試みた。
方 法
〇調査期間:2012年4月-2013年3月
〇調査対象者:
A女児(3歳):音に合わせて飛び跳ね,闊達に動き回り,声を出すことはできるが,発語は聞き取りにくい。
B男児(5歳):音に合わせて身体をゆすり楽しそうな表情はするものの,自分から積極的にかかわろうとはせず,周りの子どもの様子や保育者を傍観することが多く自発的な発語があまりない。
○調査・分析方法:私立A保育園における,3歳児から5歳児を対象とした,音遊び活動(1セッション20分×5回,保育者が主導)の自然観察を行った。また,活動開始前と終了直後に対象者と保育者・他の子どもとのやりとりを記録し分析した。
結 果
音遊び活動開始前のA女児と保育者,母親とのやり取りでは,応答言語はほとんど見られないものの,他の子どもに何かを話しかけ,活動への参加を楽しもうとする様子がうかがえた。以下事例を示す。
〇月〇日 午前
T先生が「おはよう,Aちゃん」と声をかけると,ぺこっとお辞儀をして靴を脱ぎ,下駄箱へ持って行く(応答発語なし)。そのまま走って活動室に入室しようとしていたが,ふと立ち止まって靴下を脱ぎ,下駄箱に戻って靴の中に靴下を入れる。ロビーの机の上にある自分の名札(写真つき)をとろうとしたとき,T先生から「Aちゃん,どれかな」とたずねられるが返事はない。4~5枚の名札をひっくり返したりしたが,どれが自分のものなのかわからず,そのまま入室しようとした。その時,T先生が無言でA女児が見やすいように名札の配置を変えた。さらに,MoがA女児に声をかけ指さすと,ようやくわかった様子で「*****」と叫びながら自分の名札を触る。(自分のものとして認知したのではなく,大人から指示されてわかった,というように観察者には見えた)。その後,活動室に入室し,にこにこと笑いながら,B男児や他の子どもに何か話しかけて,うろうろしている。
メタ認知とは「認知についての認知」であり,自分の認知をより高次なレベルからとらえ直し,考え,調整・制御しようとする心的作用として,日常生活の様々な活動場面において働くものである。また,メタ認知は,メタ認知的知識とメタ認知的活動に大別でき(三宮,2008),子どものメタ認知の発達に関する研究は,Flavell(1987)や Brown(1987)に示されている。その一方で,自己調整学習や方略に関する研究が多数ある(たとえばZimmerman,1989,1996など)が,これらの教科学習場面や授業づくりを想定したものが多くみられる。
幼児期の学びは,遊びや生活体験の中にあり,他者とのかかわりや関係性と学びには,密接な関係があると考えられる。では,遊びや生活体験場面において,子どものメタ認知はどのように発達し,それはどのように支援することができるのだろうか。
そこで本研究では,子どもの音遊び活動から,どのようなメタ認知的知識やメタ認知的活動が営まれ,言語化されているのかを明らかにしようと試みた。
方 法
〇調査期間:2012年4月-2013年3月
〇調査対象者:
A女児(3歳):音に合わせて飛び跳ね,闊達に動き回り,声を出すことはできるが,発語は聞き取りにくい。
B男児(5歳):音に合わせて身体をゆすり楽しそうな表情はするものの,自分から積極的にかかわろうとはせず,周りの子どもの様子や保育者を傍観することが多く自発的な発語があまりない。
○調査・分析方法:私立A保育園における,3歳児から5歳児を対象とした,音遊び活動(1セッション20分×5回,保育者が主導)の自然観察を行った。また,活動開始前と終了直後に対象者と保育者・他の子どもとのやりとりを記録し分析した。
結 果
音遊び活動開始前のA女児と保育者,母親とのやり取りでは,応答言語はほとんど見られないものの,他の子どもに何かを話しかけ,活動への参加を楽しもうとする様子がうかがえた。以下事例を示す。
〇月〇日 午前
T先生が「おはよう,Aちゃん」と声をかけると,ぺこっとお辞儀をして靴を脱ぎ,下駄箱へ持って行く(応答発語なし)。そのまま走って活動室に入室しようとしていたが,ふと立ち止まって靴下を脱ぎ,下駄箱に戻って靴の中に靴下を入れる。ロビーの机の上にある自分の名札(写真つき)をとろうとしたとき,T先生から「Aちゃん,どれかな」とたずねられるが返事はない。4~5枚の名札をひっくり返したりしたが,どれが自分のものなのかわからず,そのまま入室しようとした。その時,T先生が無言でA女児が見やすいように名札の配置を変えた。さらに,MoがA女児に声をかけ指さすと,ようやくわかった様子で「*****」と叫びながら自分の名札を触る。(自分のものとして認知したのではなく,大人から指示されてわかった,というように観察者には見えた)。その後,活動室に入室し,にこにこと笑いながら,B男児や他の子どもに何か話しかけて,うろうろしている。