13:30 〜 15:30
[PE19] 自然の事物現象を正確に捉えさせる効果的な指導法とは
小学校理科 雲の形の観察において
キーワード:理科教育, 学習指導, 観察
研究の目的
小学校学習指導要領解説5年理科「天気の変化」では,「実際に観察した結果と気象衛星からの情報などを関係付けながら,雲の形や量,動きの多様さに触れ,雲には様々なものがあることを捉えるようにする。」とある。
雲の様子について,「動き」や「全体の量」については,認識させやすいが「形」を捉えさせることについて困難であった。
中学校で雲の形を認識させる実践(槙野2013)でも同様のことが見られた。そこで,児童にとって雲の形を認識するどの過程のハードルが高いのか,あるいは認識した物を表現する手段が適切かどうかを明らかにできれば,支援する手立ても明らかになり,困難であった雲の形をより正確に認識をさせることにつながるのではないかと考えた。
研究仮説
特徴的な雲を複数回観察させ,異なる方法で雲の形を捉えさせ分析すれば,児童にとって何が困難なのかが解明できる。
研究の方法
(1)具体的な教育操作
①実際の雲の観察とスケッチ1回目
②実際の雲の観察とスケッチ2回目
③動画(タイムラプス)を見せて1つの雲の形をノートにスケッチさせる。
④動画(タイムラプス)を見せて班で紙と竹串でジオラマづくりをさせる。
⑤ジオラマをもとになぜその形にしたのか班ごとに全体に発表させる。
⑥雲について図と文字で振り返らせる。
(2)調査及び評価
①実際の雲と動画を見せた時のスケッチの差異を比較する。
②雲の形を図あるいは造形物で表現させその差異を比較する。
③雲の形を表現した物を使って言葉で説明したとき,雲の形に言及できているか分析する。
④1つ1つの雲と空全体の雲について両方とも正しく認識できているか
(3)研究対象及び期間
公立小学校5年生13名(4/20-5/10)
結果と考察
(1)実際の空にある雲を観察させてスケッチさせると,1つ1つの雲の形をとらえている児童は1/13であったが,動画にしたものから同様にスケッチさせると5/13であった。
(2)動画から雲のスケッチをさせると5/13が雲の形をほぼ正確に捉えたにすぎなかったが,ジオラマづくりで1人1つの雲を紙を切って作らせると10/13になった。
(3)造形物にすると10/13がほぼ正確に雲の形を捉えることができたが,説明をさせるとそのことに触れているのは4/13であった。
(4)個々の雲の形について,雲底が平らであることを認識できていたのは1/4であった。空全体の雲の高さが同じであることを認識できていたのは2/4であった。
以上の結果から,実際に雲を観察させることに加えて,学習内容に特化した特徴的な動画を見せることも効果的であると考える。また,スケッチさせるよりも紙で雲を作るような造形活動をさせる方が雲の形の特徴を捉えやすいと考える。しかし,造形物で雲の特徴を捉えられていても説明できず潜在的な認識の段階の児童もいることが分かった。このことから,潜在的に捉えられている雲の特徴を児童の言葉で説明することができるような手立てが必要であることが示唆された。
小学校学習指導要領解説5年理科「天気の変化」では,「実際に観察した結果と気象衛星からの情報などを関係付けながら,雲の形や量,動きの多様さに触れ,雲には様々なものがあることを捉えるようにする。」とある。
雲の様子について,「動き」や「全体の量」については,認識させやすいが「形」を捉えさせることについて困難であった。
中学校で雲の形を認識させる実践(槙野2013)でも同様のことが見られた。そこで,児童にとって雲の形を認識するどの過程のハードルが高いのか,あるいは認識した物を表現する手段が適切かどうかを明らかにできれば,支援する手立ても明らかになり,困難であった雲の形をより正確に認識をさせることにつながるのではないかと考えた。
研究仮説
特徴的な雲を複数回観察させ,異なる方法で雲の形を捉えさせ分析すれば,児童にとって何が困難なのかが解明できる。
研究の方法
(1)具体的な教育操作
①実際の雲の観察とスケッチ1回目
②実際の雲の観察とスケッチ2回目
③動画(タイムラプス)を見せて1つの雲の形をノートにスケッチさせる。
④動画(タイムラプス)を見せて班で紙と竹串でジオラマづくりをさせる。
⑤ジオラマをもとになぜその形にしたのか班ごとに全体に発表させる。
⑥雲について図と文字で振り返らせる。
(2)調査及び評価
①実際の雲と動画を見せた時のスケッチの差異を比較する。
②雲の形を図あるいは造形物で表現させその差異を比較する。
③雲の形を表現した物を使って言葉で説明したとき,雲の形に言及できているか分析する。
④1つ1つの雲と空全体の雲について両方とも正しく認識できているか
(3)研究対象及び期間
公立小学校5年生13名(4/20-5/10)
結果と考察
(1)実際の空にある雲を観察させてスケッチさせると,1つ1つの雲の形をとらえている児童は1/13であったが,動画にしたものから同様にスケッチさせると5/13であった。
(2)動画から雲のスケッチをさせると5/13が雲の形をほぼ正確に捉えたにすぎなかったが,ジオラマづくりで1人1つの雲を紙を切って作らせると10/13になった。
(3)造形物にすると10/13がほぼ正確に雲の形を捉えることができたが,説明をさせるとそのことに触れているのは4/13であった。
(4)個々の雲の形について,雲底が平らであることを認識できていたのは1/4であった。空全体の雲の高さが同じであることを認識できていたのは2/4であった。
以上の結果から,実際に雲を観察させることに加えて,学習内容に特化した特徴的な動画を見せることも効果的であると考える。また,スケッチさせるよりも紙で雲を作るような造形活動をさせる方が雲の形の特徴を捉えやすいと考える。しかし,造形物で雲の特徴を捉えられていても説明できず潜在的な認識の段階の児童もいることが分かった。このことから,潜在的に捉えられている雲の特徴を児童の言葉で説明することができるような手立てが必要であることが示唆された。