1:30 PM - 3:30 PM
[PE29] 協同的な学びを通して,全校児童の考える力を伸ばす
埼玉県学力・学習状況調査の積極的活用
Keywords:校内研修, 協同的な学び, 行政施策の活用
目 的
平成29年3月次期学習指導要領が示され知・徳・体にわたる「生きる力」を子供たちに育むため「何のために学ぶのか」という学習の意義を共有しながら,授業の創意工夫や教科書等の教材の改善を引き出していけるよう全ての教科等を(1)知識及び技能(2)思考力,判断力,表現力等(3)学びに向かう力,人間性等の3つの柱で再整理された。協同的な学びと成果に関わる研究は,ヴィゴツキーの学習論に基礎を置く森本ら(1998)やグループ構成に着目した西川ら(2000)の研究がある。これらの研究では「協同による効果は詳細に述べられているが,教師の手だてと他者との関わりによる知識の再構成の関連についての検討は十分ではない。また植田ら(2000)は,認知科学や社会心理学から協同の効果や協同が成功するための条件を明らかにしている。ペアグループを分析し,説明的な「相互作用」が高い課題遂行において協同による課題遂行のパフォーマンスが個人のそれを上回る結果の知見を得ている。現在「協同的な学び」等について実践報告がなされ始めている。学校現場として授業デザイン等について研修することができたが児童の考える力の伸びを客観的に把握する術を手に入れることは難しい。本論文は筆者が公立小学校校長として,所属する市や県の行政施策を積極的に活用して児童の伸びを把握し本校の研究実践の成果と課題を明らかにしようとするものである。
方 法
筆者は埼玉県所沢市の「学び創造アクティブプラン」とともに本市教育センターの「研究校支援研修」も申請し,埼玉大学教育学部本橋幸康准教授の指導を通年いただくことになった。本橋准教授からは,児童に育むべき力とともに「思考力・判断力・表現力を育成する学習指導11の観点と授業づくりの手だても御指導いただいた。「思考力・判断力・表現力を育成する学習指導11の観点は次のようである。(1)国語の授業で学んだことを実生活の場で使える知識として定着させる。(2)言語活動の過程(学習過程)を等(考えの形成と振り返り)(以下略)。また,授業づくりの手だては(1)言語活動そのものをさせるのではなく,説明させる(~の仕方や工夫に気付かせる)過程を入れる。(2)言語活動を転換する。/スモール・ステップに活動を分割する等である。これらの観点や手だてを学習指導案の中に位置づけ授業研究に取り組んだ。それらの観点や手だてを基に次のような方策で実践した。(1)全文拡大掲示(部分と全体の関係を常に意識化)(2)単元計画の常時掲示(見通しをもって学習できるように)(3)付箋紙の利用(興味,疑問を感じた箇所の見える化)等。
結 果
現時点では埼玉県学力・学習状況調査の結果はまだ出てはいない。本校では全学級で授業を公開し多くの参会者を得た。全ての担任教師から研究の成果として次のような感想が出された。○ペア学習を通して,交流の仕方や発表の仕方を知り,自信を持って発言できる児童が多くなってきた。○(第1学年児童が)付箋紙を色分けして使うことで,文章の構成を視覚的にとらえたり,それらを使って文章を書いたりすることができるようになってきた。○「マイ吹き出し」を当てることで,場面の様子や登場人物の気持ちを想像を広げて読め,意欲的に文章を読む児童の姿が多く見られるようになった。
課 題
研究を通して本校の取組についての課題は,聴く力,語彙,話し合いである。
文 献
本橋幸康「学び合い」と「共有」に着目した指導目標―言語活動の充実に関連して―,『月刊国語教育研究』 日本国語教育学会 5月号 (No.493):28―31 2013
文部科学省(2017)次期学習指導要領,
森本信也ほか(1998)協同的な理科の教授・学習過程に関する基礎的,横濱国立大学教育人間科学部紀要Ⅰ,教育科学第1集
西川純・相原豊(2000),理科におけるグループ構成と協同的学習の研究,日本教育学会誌,23-1,
植田一博,岡田猛(2000),協同の知を探る
平成29年3月次期学習指導要領が示され知・徳・体にわたる「生きる力」を子供たちに育むため「何のために学ぶのか」という学習の意義を共有しながら,授業の創意工夫や教科書等の教材の改善を引き出していけるよう全ての教科等を(1)知識及び技能(2)思考力,判断力,表現力等(3)学びに向かう力,人間性等の3つの柱で再整理された。協同的な学びと成果に関わる研究は,ヴィゴツキーの学習論に基礎を置く森本ら(1998)やグループ構成に着目した西川ら(2000)の研究がある。これらの研究では「協同による効果は詳細に述べられているが,教師の手だてと他者との関わりによる知識の再構成の関連についての検討は十分ではない。また植田ら(2000)は,認知科学や社会心理学から協同の効果や協同が成功するための条件を明らかにしている。ペアグループを分析し,説明的な「相互作用」が高い課題遂行において協同による課題遂行のパフォーマンスが個人のそれを上回る結果の知見を得ている。現在「協同的な学び」等について実践報告がなされ始めている。学校現場として授業デザイン等について研修することができたが児童の考える力の伸びを客観的に把握する術を手に入れることは難しい。本論文は筆者が公立小学校校長として,所属する市や県の行政施策を積極的に活用して児童の伸びを把握し本校の研究実践の成果と課題を明らかにしようとするものである。
方 法
筆者は埼玉県所沢市の「学び創造アクティブプラン」とともに本市教育センターの「研究校支援研修」も申請し,埼玉大学教育学部本橋幸康准教授の指導を通年いただくことになった。本橋准教授からは,児童に育むべき力とともに「思考力・判断力・表現力を育成する学習指導11の観点と授業づくりの手だても御指導いただいた。「思考力・判断力・表現力を育成する学習指導11の観点は次のようである。(1)国語の授業で学んだことを実生活の場で使える知識として定着させる。(2)言語活動の過程(学習過程)を等(考えの形成と振り返り)(以下略)。また,授業づくりの手だては(1)言語活動そのものをさせるのではなく,説明させる(~の仕方や工夫に気付かせる)過程を入れる。(2)言語活動を転換する。/スモール・ステップに活動を分割する等である。これらの観点や手だてを学習指導案の中に位置づけ授業研究に取り組んだ。それらの観点や手だてを基に次のような方策で実践した。(1)全文拡大掲示(部分と全体の関係を常に意識化)(2)単元計画の常時掲示(見通しをもって学習できるように)(3)付箋紙の利用(興味,疑問を感じた箇所の見える化)等。
結 果
現時点では埼玉県学力・学習状況調査の結果はまだ出てはいない。本校では全学級で授業を公開し多くの参会者を得た。全ての担任教師から研究の成果として次のような感想が出された。○ペア学習を通して,交流の仕方や発表の仕方を知り,自信を持って発言できる児童が多くなってきた。○(第1学年児童が)付箋紙を色分けして使うことで,文章の構成を視覚的にとらえたり,それらを使って文章を書いたりすることができるようになってきた。○「マイ吹き出し」を当てることで,場面の様子や登場人物の気持ちを想像を広げて読め,意欲的に文章を読む児童の姿が多く見られるようになった。
課 題
研究を通して本校の取組についての課題は,聴く力,語彙,話し合いである。
文 献
本橋幸康「学び合い」と「共有」に着目した指導目標―言語活動の充実に関連して―,『月刊国語教育研究』 日本国語教育学会 5月号 (No.493):28―31 2013
文部科学省(2017)次期学習指導要領,
森本信也ほか(1998)協同的な理科の教授・学習過程に関する基礎的,横濱国立大学教育人間科学部紀要Ⅰ,教育科学第1集
西川純・相原豊(2000),理科におけるグループ構成と協同的学習の研究,日本教育学会誌,23-1,
植田一博,岡田猛(2000),協同の知を探る