1:30 PM - 3:30 PM
[PE39] 授業でのICT活用に対する教員志望大学生の意識
ICT機器の利用頻度と利用に関する効力感の関係から
Keywords:ICT, ICT活用, 教員志望学生
現行の学習指導要領においては,「コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え,これらの適切に活用した学習活動の充実を図ること」が推奨されており,小中学校の授業におけるICT活用は,これからの教育場面において求められる重要な技術であるといえる。しかしながら,森山・永田・中原・上之園・萩嶺・勝本 (2013) の教員を対象とする調査では,教育現場におけるICT活用状況の質問に「ほとんど活用していない」と回答する教員が約30%を占め,ICT機器の授業での活用に対し消極的な教師の存在が示されている。
こうしたICT活用についての意識調査は,これから新任教員となる教員志望学生に対しても実施されるべきであろう。教員志望学生は,現職教員と比較して,タブレット端末やスマートフォンといったICT機器に日常的に触れていることが考えられる。また教員養成のプログラムの中でも,授業でのICT活用に関する知識・技術を身につけていることが想定されることから,授業へのICT機器の導入の抵抗は少ないと考えられる。
そこで本研究では,教員志望の大学生を対象として,授業でのICT活用に対する意識調査を行う。日常的なICT機器への接触頻度,および自身が行う授業でのICT機器の活用に対する効力感の関係から,教員志望学生のICT機器活用に対する意識の実態を把握することが本研究の目的である。
方 法
参加者 国立大学の小学校教員養成課程に所属する大学2・3年生162名を対象とした。
調査票と手続き 調査票は,①高等学校でのICT機器を活用した授業の受講歴,②大学入学後のICT機器を活用した授業およびICT機器の利用に関する授業の受講歴,③授業でのICT活用に対するイメージ,④ICT機器の日常的な利用頻度,⑤ICT活用指導力のチェックリスト (中学校・高等学校版; 文部科学省, 2007),⑥フェイス項目で構成された。⑤ICT活用指導力のチェックリスト (中学校・高等学校版) は,現職教員に対してICT活用指導力のセルフチェックを目的として作成されたものであるが,本調査では「あなたが教員になったとき,以下のそれぞれの項目について,どの程度実施できると思いますか?」という教示のもとで,授業利用における効力感を測定するために用いた。①,②については受講した科目名で,③については自由記述で,④については1 (全く使用しない) 〜 5 (非常によく使用する) の5件法で,⑤については1 (ほとんどできない) 〜 4 (わりにできる) の4件法で回答を行った。調査は教職系科目の講義終了後に行われた。
結果と考察
ICT機器の授業利用に対する効力感についてはA~Eのカテゴリーごとに,ICT機器の日常的な利用頻度については機器ごとに集計を行った (Table 1, 2)。ICT機器をPC (デスクトップPC,ノートPC),授業利用 (タブレット端末,電子黒板,ブロジェクター),スマートフォンの3つに分類し,効力感の各カテゴリーとICT機器の利用頻度との相関分析を行った (Table 3)。
デスクトップPCやノートPCの日常的な使用と,効力感の3つのカテゴリー (A,D,E) との間に有意な相関関係が見られた。PCを日常的に利用する大学生は,自身の利用経験をもとに, ICT機器を活用して授業準備や評価を行い,校務を遂行することや,生徒に対して情報モラルを指導することについてイメージできていると思われる。一方,BとCのカテゴリーは,利用頻度との相関が見られなかった。後者に関しては,効力感の評定値も低く,普段利用しているICT機器を生徒のICT活用の指導に活かす方法について意識させる指導の必要性が示唆された。
こうしたICT活用についての意識調査は,これから新任教員となる教員志望学生に対しても実施されるべきであろう。教員志望学生は,現職教員と比較して,タブレット端末やスマートフォンといったICT機器に日常的に触れていることが考えられる。また教員養成のプログラムの中でも,授業でのICT活用に関する知識・技術を身につけていることが想定されることから,授業へのICT機器の導入の抵抗は少ないと考えられる。
そこで本研究では,教員志望の大学生を対象として,授業でのICT活用に対する意識調査を行う。日常的なICT機器への接触頻度,および自身が行う授業でのICT機器の活用に対する効力感の関係から,教員志望学生のICT機器活用に対する意識の実態を把握することが本研究の目的である。
方 法
参加者 国立大学の小学校教員養成課程に所属する大学2・3年生162名を対象とした。
調査票と手続き 調査票は,①高等学校でのICT機器を活用した授業の受講歴,②大学入学後のICT機器を活用した授業およびICT機器の利用に関する授業の受講歴,③授業でのICT活用に対するイメージ,④ICT機器の日常的な利用頻度,⑤ICT活用指導力のチェックリスト (中学校・高等学校版; 文部科学省, 2007),⑥フェイス項目で構成された。⑤ICT活用指導力のチェックリスト (中学校・高等学校版) は,現職教員に対してICT活用指導力のセルフチェックを目的として作成されたものであるが,本調査では「あなたが教員になったとき,以下のそれぞれの項目について,どの程度実施できると思いますか?」という教示のもとで,授業利用における効力感を測定するために用いた。①,②については受講した科目名で,③については自由記述で,④については1 (全く使用しない) 〜 5 (非常によく使用する) の5件法で,⑤については1 (ほとんどできない) 〜 4 (わりにできる) の4件法で回答を行った。調査は教職系科目の講義終了後に行われた。
結果と考察
ICT機器の授業利用に対する効力感についてはA~Eのカテゴリーごとに,ICT機器の日常的な利用頻度については機器ごとに集計を行った (Table 1, 2)。ICT機器をPC (デスクトップPC,ノートPC),授業利用 (タブレット端末,電子黒板,ブロジェクター),スマートフォンの3つに分類し,効力感の各カテゴリーとICT機器の利用頻度との相関分析を行った (Table 3)。
デスクトップPCやノートPCの日常的な使用と,効力感の3つのカテゴリー (A,D,E) との間に有意な相関関係が見られた。PCを日常的に利用する大学生は,自身の利用経験をもとに, ICT機器を活用して授業準備や評価を行い,校務を遂行することや,生徒に対して情報モラルを指導することについてイメージできていると思われる。一方,BとCのカテゴリーは,利用頻度との相関が見られなかった。後者に関しては,効力感の評定値も低く,普段利用しているICT機器を生徒のICT活用の指導に活かす方法について意識させる指導の必要性が示唆された。