日本教育心理学会第59回総会

講演情報

ポスター発表 PE(01-80)

ポスター発表 PE(01-80)

2017年10月8日(日) 13:30 〜 15:30 白鳥ホールB (4号館1階)

13:30 〜 15:30

[PE57] 高校生の睡眠行動と環境要因および個人内要因の関連

坂本理香 (学校法人嶺南学園 敦賀気比高等学校)

キーワード:高校生の睡眠, 環境要因, 個人内要因

問題と目的
 青年期の睡眠習慣には環境および心理社会的要因が影響するとされる(J B Maas&R S Robbins&R G Fortgang&S R Driscoll(2011松村訳2014))。本研究では,高校生の睡眠行動に関連する環境要因として,インターネット使用と部活動,心理社会的要因のうち,行動に関わる個人内要因として,特性的自己効力感(成田・下仲・中里・河合・佐藤・長田,1995),自尊心(山本・松井・山成,1982),仮想的有能感(速水,2006),基本的信頼感および対人的信頼感(谷,1996)を想定し,環境要因,個人内要因の2方向から検討することを目的とする。
方   法
 2016年6月にF県の私立高校1校に在籍する1~3年生614名(男子371名,女子243名)を対象として自記式質問紙調査を実施した。学校長等に研究の目的と個人情報の保護について文書にて説明し,承認を得た。同様に対象者に対し,質問紙冒頭に記載し同意を得た。生活習慣チエックリスト学生版(田中,2006), Dianostic Questionnaire (Young KS,1998)(邦語版),特性的自己効力感尺度(成田他,1995),自尊感情尺度(山本他,1982),仮想的有能感尺度(速水,2006),基本的信頼感尺度(谷,1996)を用いた。その他,平日のインターネット使用時間は「全くしない」から「4時間以上」の6件法,部活動は文化部に加入,運動部に加入,加入なしのいずれかを選択させ,分析にはダミー変数(加入あり=1加入なし=0)を作成した。調査集計と統計解析にはSPSS Statistics19.0を用いた。
結果と考察
 睡眠行動を基準変数とし,環境要因と個人要因それぞれを説明変数とする重回帰分析の結果を以下に示す(Table 1・2)。ネット使用時間と依存度は男女ともに睡眠行動に負の影響をもたらしていた。部活動では男子は運動部加入により,睡眠行動が良好になるが,女子では文化部・運動部ともに睡眠行動を阻害していた。個人内要因のうち,特性的自己効力感,自尊心,基本的信頼感の高さが良好な睡眠行動に影響し,「自己の直接的なポジティブな経験に関係ない(速水2006)」仮想的有能感は睡眠行動に関連がないことが示された。自分自身や人生への肯定的な認知,すなわち, 自分自身を信頼し,行動を起こす強い意志を持ち,目標に立ち向かう力等が良好な睡眠行動の生起に影響すると考えられる。