13:30 〜 15:30
[PE72] 遊びおよび友人関係と共感性との関連
遊び体験と友人関係の質に着目して
キーワード:遊び, 友人関係, 共感性
問題と目的
遊びは共感性と関連があるとされる(野本・石野,2015)。一方,友人関係も共感性と関連があるとされている(菊池・大坊,2009)。遊びにはその相手として友だちが想定され,また,友だちと行う内容として遊びが予測される。このように遊びと友人関係は綿密に関連し合いるため,遊びと友人関係は片方だけを捉えるのではなく,両側面から総合的に関連を検討する必要がある。そこで,本研究では,児童自身が認識した遊び行動と遊びの感情を総合して遊び体験として捉え(木下・森・大西,in press),遊び体験および友人関係と共感性との関連を検討することを目的とした。
方 法
調査協力者・調査時期 近畿地方(2府1県)に存在する小学校4校(中核都市1校,都市と自然が混在した地域1校,自然豊かな地域2校)に在籍する5・6年生の児童490名を対象とし2017年秋季に調査を行った。このうち記入ミスのなかった児童476名(5年生:男児144名,女児104名,6年生:男児107名,女児121名)を分析の対象とした。
調査項目 遊び体験尺度(木下他,in press)17項目,友人関係尺度(Parker & Asher(1993)のFriendship quality questionnaireとBukowski, Hoza, & Boivin(1994)のFriendship qualities scaleを参考に作成)20項目,共感性尺度(鈴木・木野(2008)の多次元性共感性尺度を参考に作成)20項目。全て4件法で評定を求めた。
結果と考察
遊び体験尺度,友人関係尺度,共感性尺度について因子分析(主因子法・プロマックス回転)を行った(.40以下の負荷量を示した項目を除外)。固有値の減衰状況と解釈可能性に基づき, 以下の結果を抽出した。遊び体験:遊び感情(4項目),在来遊び(8項目),ゲーム機遊び(3項目)。α=.72~α=.88であった。友人関係:援助(4項目),衝突(4項目),親密(2項目),安心(2項目)。α=.69~α=.83であった。共感性:視点取得(4項目),想像性(3項目),他者指向的反応(4項目),被影響性(3項目)。α=.60~α=.74であった。
遊び体験尺度および友人関係尺度の各因子に対してWard法によるクラスタ分析を行い,各2つのクラスタを得た。得られたクラスタを独立変数とし,基の因子を従属変数としてt検定を行った。その結果,遊び感情,在来遊びともに第1クラスタ<第2クラスタであったため(p<.001),第1クラスタを在来遊び低群,第2クラスタを在来遊び高群とした。また,援助,親密,安心において第1クラスタ<第2クラスタであったため(p<.001),第1クラスタを友人関係不良群,第2クラスタを友人関係良好群とした。
遊び体験群と友人関係群を独立変数,共感性を従属変数として2要因の分散分析を行った。その結果,視点取得および想像性において,遊び群と友人関係群の主効果が示された。また,他者指向的反応において友人関係の主効果のみ示された。分散分析の結果をTable1に示す。
結果から,遊び体験および友人関係と視点取得,想像性との関連が認められ,在来遊びを多く体験している児童の方が,少ない児童よりも他者の視点に立ちやすく,想像が豊かであることが明らかになった。また,友人関係が良好な児童の方が,良好でない児童よりも他者視点に立ちやすく,想像が豊かで,他者への情動的な反応が多いことが示唆された。
遊びは共感性と関連があるとされる(野本・石野,2015)。一方,友人関係も共感性と関連があるとされている(菊池・大坊,2009)。遊びにはその相手として友だちが想定され,また,友だちと行う内容として遊びが予測される。このように遊びと友人関係は綿密に関連し合いるため,遊びと友人関係は片方だけを捉えるのではなく,両側面から総合的に関連を検討する必要がある。そこで,本研究では,児童自身が認識した遊び行動と遊びの感情を総合して遊び体験として捉え(木下・森・大西,in press),遊び体験および友人関係と共感性との関連を検討することを目的とした。
方 法
調査協力者・調査時期 近畿地方(2府1県)に存在する小学校4校(中核都市1校,都市と自然が混在した地域1校,自然豊かな地域2校)に在籍する5・6年生の児童490名を対象とし2017年秋季に調査を行った。このうち記入ミスのなかった児童476名(5年生:男児144名,女児104名,6年生:男児107名,女児121名)を分析の対象とした。
調査項目 遊び体験尺度(木下他,in press)17項目,友人関係尺度(Parker & Asher(1993)のFriendship quality questionnaireとBukowski, Hoza, & Boivin(1994)のFriendship qualities scaleを参考に作成)20項目,共感性尺度(鈴木・木野(2008)の多次元性共感性尺度を参考に作成)20項目。全て4件法で評定を求めた。
結果と考察
遊び体験尺度,友人関係尺度,共感性尺度について因子分析(主因子法・プロマックス回転)を行った(.40以下の負荷量を示した項目を除外)。固有値の減衰状況と解釈可能性に基づき, 以下の結果を抽出した。遊び体験:遊び感情(4項目),在来遊び(8項目),ゲーム機遊び(3項目)。α=.72~α=.88であった。友人関係:援助(4項目),衝突(4項目),親密(2項目),安心(2項目)。α=.69~α=.83であった。共感性:視点取得(4項目),想像性(3項目),他者指向的反応(4項目),被影響性(3項目)。α=.60~α=.74であった。
遊び体験尺度および友人関係尺度の各因子に対してWard法によるクラスタ分析を行い,各2つのクラスタを得た。得られたクラスタを独立変数とし,基の因子を従属変数としてt検定を行った。その結果,遊び感情,在来遊びともに第1クラスタ<第2クラスタであったため(p<.001),第1クラスタを在来遊び低群,第2クラスタを在来遊び高群とした。また,援助,親密,安心において第1クラスタ<第2クラスタであったため(p<.001),第1クラスタを友人関係不良群,第2クラスタを友人関係良好群とした。
遊び体験群と友人関係群を独立変数,共感性を従属変数として2要因の分散分析を行った。その結果,視点取得および想像性において,遊び群と友人関係群の主効果が示された。また,他者指向的反応において友人関係の主効果のみ示された。分散分析の結果をTable1に示す。
結果から,遊び体験および友人関係と視点取得,想像性との関連が認められ,在来遊びを多く体験している児童の方が,少ない児童よりも他者の視点に立ちやすく,想像が豊かであることが明らかになった。また,友人関係が良好な児童の方が,良好でない児童よりも他者視点に立ちやすく,想像が豊かで,他者への情動的な反応が多いことが示唆された。