13:30 〜 15:30
[PE80] 工学部学生の英語学習意欲に関する研究
キーワード:英語教育, 学習意欲
目 的
近年,グローバル化が進むにつれ,英語コミュニケーション能力が益々重要視されてきている。小学校において英語科目が必修化されたように英語教育の低年齢化が進む一方,大学においても英語科目のカリキュラムの更なる充実が求められている[1]。
本研究では,工学部学生が英語学習についてどのように思っているのか,特に英語学習意欲について捉えるとともに,工学部の英語カリキュラムをより良いものにするにはどうすればよいのか探ることを目的とし,アンケート調査を行った。
方 法
被調査者 新潟県内N大学工学部 第1年次学生
男子79名,女子9名,合計88名
調査方法
質問紙による記名式のアンケート調査を行った。以下のa ~ iについて調べるため,全部で24項目の質問を行った。
a. 一般的な英語学習意欲(6項目)
b. リスニングへの意欲(3項目)
c. リーディングへの意欲(2項目)
d. ライティングへの意欲(2項目)
e. スピーキングへの意欲(2項目)
f. 努力への原因帰属(2項目)
g. 学習法の工夫への帰属(2項目)
h. 外的要因(教師や環境)への原因帰属(3項目)
i. 学習方法と適性(教師による学習か,自分で学ぶか)(2項目)
各項目について,被調査者に,1から5までの5段階(5 = 最も高い)の点数で回答してもらった。
手続き
2016年4月の最初の英語の講義中にアンケート用紙を配布し,回収した。
結果と考察
入学時に実施される,文法・読解・聴解の各分野100点の選択式問題からなるプレイスメントテスト(G-TELP)の総合得点(300点満点)により,上位グループ44名と下位グループ44名に分け,比較を行った[2]。
上記a ~ i のそれぞれについて集計を行い,それぞれを5点満点に換算し,上位・下位各グループの平均を求めた。
その結果,まず,「一般的な英語学習意欲」については,上位が2.82,下位が2.21と,上位が0.61高くなっている。
また,リスニング,リーディング,ライティング,スピーキングの各技能別の意欲については,順に,上位・下位が2.99・2.67,3.89・3.61,4.47・3.99,4.40・4.33と,いずれの技能についても上位グループの方が0.07~0.48高くなっていた。4技能中,上位・下位ともにリスニングに対する意欲が2.99・2.67と,最も低い。一方,上位ではライティングが4.47,下位ではスピーキングに対する意欲が4.33と,それぞれ最も高くなっている。ライティングは下位では2番目に高くなっているものの,上位との差が0.48あり,これは4技能中最も大きい。スピーキングについては,上位グループも4.40と高く,下位のスピーキングに対する意欲4.33を0.07上回っている。従って,今回の被調査者全般として,スピーキング力とライティング力の向上に対する意欲が高いことが明らかとなった。
次に,「学習方法と適性」については,上位が3.59,下位が3.70と,下位が0.11高くなっている。これは,下位の方が,自分で学ぶよりも教師による学習の方を望む傾向が強いことを表している。一方,「学習法の工夫への原因帰属」の結果は,上位が3.40,下位が2.83と,上位の方が0.57高くなっており,これらの結果より,上位者が英語力向上に向けて学習法を自ら工夫しながら,自分自身で学んでいこうとしている姿勢が強いことが窺われる。
ま と め
工学部1年次生の英語学習意欲について調査を行った。今後は,今回の結果を踏まえ,工学部におけるカリキュラムの検討を行っていく予定である。
参考文献
[1] 伴,皆川:授業イメージの変化に関する一考察,日本教育心理学会第54回総会発表論文集,PE-048,529(2012)
[2] 国際英検G-TELP(ジーテルプ)| 通じる英語力を診断する英語テスト (2017/05/13最終アクセス)
近年,グローバル化が進むにつれ,英語コミュニケーション能力が益々重要視されてきている。小学校において英語科目が必修化されたように英語教育の低年齢化が進む一方,大学においても英語科目のカリキュラムの更なる充実が求められている[1]。
本研究では,工学部学生が英語学習についてどのように思っているのか,特に英語学習意欲について捉えるとともに,工学部の英語カリキュラムをより良いものにするにはどうすればよいのか探ることを目的とし,アンケート調査を行った。
方 法
被調査者 新潟県内N大学工学部 第1年次学生
男子79名,女子9名,合計88名
調査方法
質問紙による記名式のアンケート調査を行った。以下のa ~ iについて調べるため,全部で24項目の質問を行った。
a. 一般的な英語学習意欲(6項目)
b. リスニングへの意欲(3項目)
c. リーディングへの意欲(2項目)
d. ライティングへの意欲(2項目)
e. スピーキングへの意欲(2項目)
f. 努力への原因帰属(2項目)
g. 学習法の工夫への帰属(2項目)
h. 外的要因(教師や環境)への原因帰属(3項目)
i. 学習方法と適性(教師による学習か,自分で学ぶか)(2項目)
各項目について,被調査者に,1から5までの5段階(5 = 最も高い)の点数で回答してもらった。
手続き
2016年4月の最初の英語の講義中にアンケート用紙を配布し,回収した。
結果と考察
入学時に実施される,文法・読解・聴解の各分野100点の選択式問題からなるプレイスメントテスト(G-TELP)の総合得点(300点満点)により,上位グループ44名と下位グループ44名に分け,比較を行った[2]。
上記a ~ i のそれぞれについて集計を行い,それぞれを5点満点に換算し,上位・下位各グループの平均を求めた。
その結果,まず,「一般的な英語学習意欲」については,上位が2.82,下位が2.21と,上位が0.61高くなっている。
また,リスニング,リーディング,ライティング,スピーキングの各技能別の意欲については,順に,上位・下位が2.99・2.67,3.89・3.61,4.47・3.99,4.40・4.33と,いずれの技能についても上位グループの方が0.07~0.48高くなっていた。4技能中,上位・下位ともにリスニングに対する意欲が2.99・2.67と,最も低い。一方,上位ではライティングが4.47,下位ではスピーキングに対する意欲が4.33と,それぞれ最も高くなっている。ライティングは下位では2番目に高くなっているものの,上位との差が0.48あり,これは4技能中最も大きい。スピーキングについては,上位グループも4.40と高く,下位のスピーキングに対する意欲4.33を0.07上回っている。従って,今回の被調査者全般として,スピーキング力とライティング力の向上に対する意欲が高いことが明らかとなった。
次に,「学習方法と適性」については,上位が3.59,下位が3.70と,下位が0.11高くなっている。これは,下位の方が,自分で学ぶよりも教師による学習の方を望む傾向が強いことを表している。一方,「学習法の工夫への原因帰属」の結果は,上位が3.40,下位が2.83と,上位の方が0.57高くなっており,これらの結果より,上位者が英語力向上に向けて学習法を自ら工夫しながら,自分自身で学んでいこうとしている姿勢が強いことが窺われる。
ま と め
工学部1年次生の英語学習意欲について調査を行った。今後は,今回の結果を踏まえ,工学部におけるカリキュラムの検討を行っていく予定である。
参考文献
[1] 伴,皆川:授業イメージの変化に関する一考察,日本教育心理学会第54回総会発表論文集,PE-048,529(2012)
[2] 国際英検G-TELP(ジーテルプ)| 通じる英語力を診断する英語テスト