16:00 〜 18:00
[PF10] 関係性・自律性欲求へのサポート尺度の作成I
親・親友・恋人別の検討
キーワード:基本的心理欲求, 重要な他者, サポート
問題と目的
基本的心理欲求理論は,生得的な3つの基本的心理欲求(それぞれ,自律性,関係性,有能さへの欲求)が人の心理的成長に重要であると提案している(Deci & Ryan, 2000)。
これら3つの欲求の充足は生活の文脈に依存し,中でも特に,関係性と自律性の欲求の充足は他者との関係なしに成り立たないという側面があるとされている。本研究は,青年期において特に重要とされている友人・恋人関係を含めた親しい他者からの関係性・自律性欲求へのサポート尺度の作成及び信頼性・妥当性の検討を目的とする。
方 法
調査対象・調査時期 2017年4月に関東圏内の私立大学2校の大学生を対象として,無記名式の質問紙調査を行った。部分有効回答数は364名であった(男子175名,女子188名,不明1名。平均年齢19.17歳SD=1.26)。
質問紙の構成 1.フェイスシート:年齢,性別及び学年について尋ねた。2.関係性・自律性欲求へのサポート尺度:予備調査によって作成した関係性欲求へのサポートに関わる19項目及び自律性欲求へのサポート15項目をそれぞれ親,親友,恋人について7件法で評定してもらった。3.Basic Psychological Need Satisfaction & Frustration Scalesの日本語版(以下BPNSF尺度):Nishimura & Suzuki(2016)の24項目の中,「関係性欲求の充足」「自律性欲求の充足」及び「有能さ欲求の充足」の12項目を選び,5件法で評定してもらった。
結果と考察
因子分析 BPNSF尺度に対して3因子と指定し,確認的因子分析を行った。結果,3つの因子におけるCronbachのα係数は.77~.81に収まり,モデル適合度に関してはGFI=.92 AGFI=.88 CFI=.92 RMSEA=.09 AIC=237.17であった。
次に,対象別で関係性・自律性欲求へのサポート尺度に対して最尤法・プロマックス回転による探索的因子分析を行った。固有値の変化より2因子の構造が妥当であると判断し,すべての対象に対して因子数を2つと指定し,すべての項目が一定の基準に達するまで因子分析を繰り返した。
最後に,3つの対象において共通している16項目を選出し,再び因子分析を行った。対象によって異なる因子に属した項目3つを削除した最終的な因子分析の結果をTable 1に示す。
信頼性及び妥当性の検討 関係性・自律性欲求へのサポート尺度の内的一貫性を検討する為に,Cronbachのα係数を算出したところ,.83~.90といった良好な値が得られた。次に,内的妥当性を検証するために,まずは基本的心理欲求の充足との相関係数を算出し,次に各対象において,もう1つのサポートを統制した上で偏相関分析を行った。分析結果をTable 2に示す(偏相関分析の結果はイタリック体で示す)。
関係性欲求の充足において,3つの対象からの関係性サポートとの間に正の偏相関がみられた。自律性欲求の充足において,親からの自律性サポートとの間に弱い正の偏相関がみられた。
以上の結果により,関係性・自律性欲求へのサポート尺度の信頼性及び妥当性はある程度保証されたと言えよう。
基本的心理欲求理論は,生得的な3つの基本的心理欲求(それぞれ,自律性,関係性,有能さへの欲求)が人の心理的成長に重要であると提案している(Deci & Ryan, 2000)。
これら3つの欲求の充足は生活の文脈に依存し,中でも特に,関係性と自律性の欲求の充足は他者との関係なしに成り立たないという側面があるとされている。本研究は,青年期において特に重要とされている友人・恋人関係を含めた親しい他者からの関係性・自律性欲求へのサポート尺度の作成及び信頼性・妥当性の検討を目的とする。
方 法
調査対象・調査時期 2017年4月に関東圏内の私立大学2校の大学生を対象として,無記名式の質問紙調査を行った。部分有効回答数は364名であった(男子175名,女子188名,不明1名。平均年齢19.17歳SD=1.26)。
質問紙の構成 1.フェイスシート:年齢,性別及び学年について尋ねた。2.関係性・自律性欲求へのサポート尺度:予備調査によって作成した関係性欲求へのサポートに関わる19項目及び自律性欲求へのサポート15項目をそれぞれ親,親友,恋人について7件法で評定してもらった。3.Basic Psychological Need Satisfaction & Frustration Scalesの日本語版(以下BPNSF尺度):Nishimura & Suzuki(2016)の24項目の中,「関係性欲求の充足」「自律性欲求の充足」及び「有能さ欲求の充足」の12項目を選び,5件法で評定してもらった。
結果と考察
因子分析 BPNSF尺度に対して3因子と指定し,確認的因子分析を行った。結果,3つの因子におけるCronbachのα係数は.77~.81に収まり,モデル適合度に関してはGFI=.92 AGFI=.88 CFI=.92 RMSEA=.09 AIC=237.17であった。
次に,対象別で関係性・自律性欲求へのサポート尺度に対して最尤法・プロマックス回転による探索的因子分析を行った。固有値の変化より2因子の構造が妥当であると判断し,すべての対象に対して因子数を2つと指定し,すべての項目が一定の基準に達するまで因子分析を繰り返した。
最後に,3つの対象において共通している16項目を選出し,再び因子分析を行った。対象によって異なる因子に属した項目3つを削除した最終的な因子分析の結果をTable 1に示す。
信頼性及び妥当性の検討 関係性・自律性欲求へのサポート尺度の内的一貫性を検討する為に,Cronbachのα係数を算出したところ,.83~.90といった良好な値が得られた。次に,内的妥当性を検証するために,まずは基本的心理欲求の充足との相関係数を算出し,次に各対象において,もう1つのサポートを統制した上で偏相関分析を行った。分析結果をTable 2に示す(偏相関分析の結果はイタリック体で示す)。
関係性欲求の充足において,3つの対象からの関係性サポートとの間に正の偏相関がみられた。自律性欲求の充足において,親からの自律性サポートとの間に弱い正の偏相関がみられた。
以上の結果により,関係性・自律性欲求へのサポート尺度の信頼性及び妥当性はある程度保証されたと言えよう。