16:00 〜 18:00
[PF16] 習い事が幼児の問題行動に与える影響②
習い事への動機づけと問題行動の関連
キーワード:習い事, 動機づけ, 問題行動
研究の背景・目的
近年,我が国において習い事がさかんになっているが,殊に幼児においてその影響はほとんど検討されていない。問題行動を抑制する能力として,自己制御機能と向社会性が明らかになっているが,油川(2016)は,習い事が問題行動を抑制するモデルを検討し,習い事の合計時間が,自己制御機能を媒介し問題行動を抑制する,あるいは習い事の合計時間が自己制御機能,向社会性を媒介し問題行動を抑制することを明らかにした。
本研究の目的は,習い事におけるどの要因が問題行動を抑制するかについて,具体的に検討することである。速水・潘(1992)は,習い事で技術の向上自体に喜びを感じている子どもほど習い事が長く続いたことを示したが,習い事への動機づけ(本研究では,態度)と自己制御機能,向社会性,問題行動との関連を明らかにする。また,習い事への動機づけを高めるために,習い事中仲間と関わる機会がどのように影響するのかについて検討する他,親が感じる習い事の影響(効果),家庭での練習(宿題)時間もモデルに含んで共分散構造分析を行う。
方 法
対象:9都道県の保育園,認定こども園の年中・年長児624人の保護者
調査内容:平成27年10月に無記名式質問紙調査を行った。調査内容は,幼児の自己制御機能尺度(大内・長尾・櫻井,2008),問題行動・向社会性を測定するStrengths and Difficulties Questionnaire(Goodman, 1997)の他,幼児が行っている習い事(数,内容,頻度等),習い事中仲間と関わる頻度,習い事への態度(感情,積極性),家庭で練習や宿題等で習い事に携わる時間,保護者から見た習い事による子どものポジティブ,ネガティブな変化の大きさ(習い事の影響)について尋ねた。また,習い事以外に各変数に影響を与えることが予想される,親の養育態度,家庭の経済状況,親の最終学歴,きょうだい数についても回答を求めた。
結果・考察
分析には,親の最終学歴,親の養育態度,きょうだい数,所属(年中・年長)を統制した標準化されていない残差得点を用いた。習い事中に仲間と関わる機会,習い事への態度,家庭で習い事に携わる時間,習い事の影響,自己制御機能,向社会性,問題行動を投入し,共分散構造分析を用いて検討した。最終的なモデルをFigure1に示す。
CMINは10.161でこのモデルは採択された。モデルの適合性は,CFI=.1.000,RMSEA=.000で,当てはまりのよい数値を示した。
仲間と関わる機会が多いほど,習い事への動機づけを高め,保護者が習い事による影響をポジティブに感じ,最終的に問題行動の抑制に繋がる,あるいは,習い事への動機づけが家庭での練習(宿題)時間に繋がり,保護者が習い事による影響をポジティブに感じ,最終的に問題行動の抑制に繋がることを示した。習い事は仲間と関わる等して楽しんで積極的に行うことが効果的であり,問題行動の抑制にも繋がることが明らかになった。
近年,我が国において習い事がさかんになっているが,殊に幼児においてその影響はほとんど検討されていない。問題行動を抑制する能力として,自己制御機能と向社会性が明らかになっているが,油川(2016)は,習い事が問題行動を抑制するモデルを検討し,習い事の合計時間が,自己制御機能を媒介し問題行動を抑制する,あるいは習い事の合計時間が自己制御機能,向社会性を媒介し問題行動を抑制することを明らかにした。
本研究の目的は,習い事におけるどの要因が問題行動を抑制するかについて,具体的に検討することである。速水・潘(1992)は,習い事で技術の向上自体に喜びを感じている子どもほど習い事が長く続いたことを示したが,習い事への動機づけ(本研究では,態度)と自己制御機能,向社会性,問題行動との関連を明らかにする。また,習い事への動機づけを高めるために,習い事中仲間と関わる機会がどのように影響するのかについて検討する他,親が感じる習い事の影響(効果),家庭での練習(宿題)時間もモデルに含んで共分散構造分析を行う。
方 法
対象:9都道県の保育園,認定こども園の年中・年長児624人の保護者
調査内容:平成27年10月に無記名式質問紙調査を行った。調査内容は,幼児の自己制御機能尺度(大内・長尾・櫻井,2008),問題行動・向社会性を測定するStrengths and Difficulties Questionnaire(Goodman, 1997)の他,幼児が行っている習い事(数,内容,頻度等),習い事中仲間と関わる頻度,習い事への態度(感情,積極性),家庭で練習や宿題等で習い事に携わる時間,保護者から見た習い事による子どものポジティブ,ネガティブな変化の大きさ(習い事の影響)について尋ねた。また,習い事以外に各変数に影響を与えることが予想される,親の養育態度,家庭の経済状況,親の最終学歴,きょうだい数についても回答を求めた。
結果・考察
分析には,親の最終学歴,親の養育態度,きょうだい数,所属(年中・年長)を統制した標準化されていない残差得点を用いた。習い事中に仲間と関わる機会,習い事への態度,家庭で習い事に携わる時間,習い事の影響,自己制御機能,向社会性,問題行動を投入し,共分散構造分析を用いて検討した。最終的なモデルをFigure1に示す。
CMINは10.161でこのモデルは採択された。モデルの適合性は,CFI=.1.000,RMSEA=.000で,当てはまりのよい数値を示した。
仲間と関わる機会が多いほど,習い事への動機づけを高め,保護者が習い事による影響をポジティブに感じ,最終的に問題行動の抑制に繋がる,あるいは,習い事への動機づけが家庭での練習(宿題)時間に繋がり,保護者が習い事による影響をポジティブに感じ,最終的に問題行動の抑制に繋がることを示した。習い事は仲間と関わる等して楽しんで積極的に行うことが効果的であり,問題行動の抑制にも繋がることが明らかになった。