日本教育心理学会第59回総会

講演情報

ポスター発表 PF(01-81)

ポスター発表 PF(01-81)

2017年10月8日(日) 16:00 〜 18:00 白鳥ホールB (4号館1階)

16:00 〜 18:00

[PF24] 教職課程の学生による学習支援が 高校生の学習に対する姿勢に与える影響

東平彩亜1, 長谷川省一#2 (1.愛知工業大学, 2.愛知工業大学)

キーワード:学習支援, 高校生, 教職課程

目   的
 近年,学校教育の担う役割がますます多様化・拡大する中で,教職課程の学生を人材として活用しようと試みる活動が増えている。これらの活動は,通常ボランティア活動として有志を募り行われることが多いが,大学としても教師を志す学生に現場を経験させる機会が増えるという教育的効果が期待され,大学の地域貢献にもつながる。
 本発表では,このような活動を教職課程の授業に取り入れた事例とその効果について紹介する。具体的には,教職課程「理科教育法」と高等学校「化学」の授業を連携させ,「化学」の授業に,学習支援を教職課程の学生に体験させた。このような教職課程の学生による学習支援が高校生にどのような影響を与えたのかに着目し,報告する。
方   法
対象 「化学」の授業を受講していた高校生25名(H27年14名,H28年11名)
実施時期 「化学」の授業において大学との連携授業を各3回の合計6回実施した。調査は前期の初回の連携授業終了後に実施した。
質問紙の構成 授業について①面白かったか,②緊張したか,③嫌だと感じたか,④役立ったか,⑤質問することができたかについて全5項目4件法で構成された。項目②,③,④,⑤には自由記述欄も設定した。最後に授業を受けてみて「良かったこと」や「為になったこと」についての自由記述欄を設けた。
結   果
 質問項目の記述統計量をTable1に示した。
これらの数値から,授業は面白く,緊張はどちらともいえないが,嫌だと感じることはなく,役に立ったと感じており,どちらかというと質問をすることもできたと捉えられていたといえる。
 次に自由記述についてまとめたところ,②緊張した理由としては,記述のあった5名中5名が初対面の大学生に対する人見知りをあげていた。④役に立った理由としては「わからないところを丁寧に教えてくれた」が12名,「説明がわかりやすかった」が10名,その他が3名であった。また,それによって「問題が解けるようになった/理解できるようになった」と回答する生徒が7名,「授業がわかるようになった/面白くなった」と回答する生徒が3名,「大学生の作成した解説プリントを復習に活用した」と回答する生徒が4名,「好奇心が湧いた」と回答する生徒が1名いた。授業を受けてみて「良かったこと」や「為になったこと」については,大学生がわかりやすく教えようと作ってくれた図やプリントを利用しながら頑張ったことを挙げる生徒が8名おり,そのことがテストに向けて勉強する気になったと回答する生徒もいた。また,勉強方法について教えてもらったことや自習用の解説プリントをもらったことをあげる生徒は7名確認された。
考   察
 教職課程の学生による学習支援は,高校生にとっても役立つ機会と受け止められていた。更に,日常的に接している教師には恥ずかしくて尋ねることができなかったようなことを試しに尋ねみて解決できたことで授業がわかるようになったり,自分のために熱心に教えようとしてくれたことを嬉しく思い,テスト勉強を頑張ろうと思ったりする等,わからない内容を解決するという即時的な効果だけではなく,その後の学習姿勢にも影響を与える可能性が示された。