4:00 PM - 6:00 PM
[PF52] ジェンダーに対する違和感尺度作成の試み
自己・他者の観点から
Keywords:トランスジェンダー, ジェンダー・ステレオタイプ, 違和感
目 的
昨今,LGBTという言葉の認知が高まってきている。トランスジェンダーにおける中心概念が“ジェンダーに対する違和感”であると考え,それがどのような次元で構成されているのかを調べるため “ジェンダーに対する違和感尺度”の作成を試みる。
方 法
調査協力者
調査協力者は,私立大学の学生374名,うち分析対象者は362名で,性自認・身体的性別を女性と選択した者(以下“女性”と表記)144名(平均20.08歳;年齢幅18~23歳),性自認・身体的性別を男性と選択した者(以下“男性”と表記)218名(平均20.14歳;年齢幅18~23歳)であった。トランスジェンダーの人のデータは十分な数を回収できなかったため,分析に含めなかった。
調査の手続き
2017年1月,大学の講義時間中に質問紙を配布し,その場で回収した。調査は無記名で行われ,回答者には,学部・学年・年齢・性別のみを尋ねた。また,性別に関しては,佐々木・尾崎(2007)に基づいて,性自認を男性・女性・どちらでもないという欄と身体的性別を男性・女性・間性から選択する欄を設けた。
項目の収集
Bem(1974)の邦訳版,東(1990;1991)のBSRI日本版尺度・伊藤(1978)のM―H―F scale・伊藤(1997)の性差観スケールを参考にしたものとトランスジェンダーの人が出生時の性の役割を強制されることで不快に感じる事柄からジェンダーに対する違和感尺度を作成した。
調査の使用尺度
使用尺度は,自分自身の行動や態度に対して違和感を感じるかを尋ねた「自己」の項目(48項目)と他人について尋ねた「他者」の項目(46項目),全94項目で構成されている。評定は,「全く感じない」・「少し感じる」・「ある程度感じる」・「強く感じる」・「とても強く感じる」の5件法であった。
結果と考察
性別を独立変数にした多変量分散分析を行ったところ,有意な性差が見られたため(Pillai’s trace;V=.891,Wilks’ lambda;Λ=.109,Hotelling’s trace;U=8.201,Roy’s largest root;Θ=8.201,すべてp>.001),以後の分析においては,男性と女性別々に検討していく。
次に,探索的因子分析を行った。スクリープロットと平行分析の結果から,女性7因子・男性6因子を仮定して一般化最小二乗法,Promax回転による因子分析を行った。因子負荷量が.35を下回る項目については除外し,最終的に,女性は74項目7因子(Table1)・男性は62項目6因子(Table2)を抽出した。
女性においては,第4・5・6・7の4因子は「自己」,第1・2・3の3因子は「他者」に関するものとなり,男性においては,第3・4・5・6の4因子は「自己」,第1・2・3の3因子は「他者」に関するものとなり,「自己」項目と「他者」項目が混ざってしまった部分もあるが,ほぼ分離できた。
今後は,因子間の構造をさらに検討していきたい。
昨今,LGBTという言葉の認知が高まってきている。トランスジェンダーにおける中心概念が“ジェンダーに対する違和感”であると考え,それがどのような次元で構成されているのかを調べるため “ジェンダーに対する違和感尺度”の作成を試みる。
方 法
調査協力者
調査協力者は,私立大学の学生374名,うち分析対象者は362名で,性自認・身体的性別を女性と選択した者(以下“女性”と表記)144名(平均20.08歳;年齢幅18~23歳),性自認・身体的性別を男性と選択した者(以下“男性”と表記)218名(平均20.14歳;年齢幅18~23歳)であった。トランスジェンダーの人のデータは十分な数を回収できなかったため,分析に含めなかった。
調査の手続き
2017年1月,大学の講義時間中に質問紙を配布し,その場で回収した。調査は無記名で行われ,回答者には,学部・学年・年齢・性別のみを尋ねた。また,性別に関しては,佐々木・尾崎(2007)に基づいて,性自認を男性・女性・どちらでもないという欄と身体的性別を男性・女性・間性から選択する欄を設けた。
項目の収集
Bem(1974)の邦訳版,東(1990;1991)のBSRI日本版尺度・伊藤(1978)のM―H―F scale・伊藤(1997)の性差観スケールを参考にしたものとトランスジェンダーの人が出生時の性の役割を強制されることで不快に感じる事柄からジェンダーに対する違和感尺度を作成した。
調査の使用尺度
使用尺度は,自分自身の行動や態度に対して違和感を感じるかを尋ねた「自己」の項目(48項目)と他人について尋ねた「他者」の項目(46項目),全94項目で構成されている。評定は,「全く感じない」・「少し感じる」・「ある程度感じる」・「強く感じる」・「とても強く感じる」の5件法であった。
結果と考察
性別を独立変数にした多変量分散分析を行ったところ,有意な性差が見られたため(Pillai’s trace;V=.891,Wilks’ lambda;Λ=.109,Hotelling’s trace;U=8.201,Roy’s largest root;Θ=8.201,すべてp>.001),以後の分析においては,男性と女性別々に検討していく。
次に,探索的因子分析を行った。スクリープロットと平行分析の結果から,女性7因子・男性6因子を仮定して一般化最小二乗法,Promax回転による因子分析を行った。因子負荷量が.35を下回る項目については除外し,最終的に,女性は74項目7因子(Table1)・男性は62項目6因子(Table2)を抽出した。
女性においては,第4・5・6・7の4因子は「自己」,第1・2・3の3因子は「他者」に関するものとなり,男性においては,第3・4・5・6の4因子は「自己」,第1・2・3の3因子は「他者」に関するものとなり,「自己」項目と「他者」項目が混ざってしまった部分もあるが,ほぼ分離できた。
今後は,因子間の構造をさらに検討していきたい。