16:00 〜 18:00
[PF62] 視覚障害に対する高校生の認識
障害理解学習経験が及ぼす影響
キーワード:高校生, 視覚障害, 認識
目 的
高等学校における障害理解学習を推進していく際に,小学校及び中学校段階における障害理解学習の経験が,高校生の障害に関する認識に及ぼす影響について明らかにする必要がある。そこで,本研究では小学校及び中学校段階における障害理解学習の経験が,高校生段階の障害の認識に与える影響について明らかにすることを目的とする。なお,本研究では,小学校段階から障害理解教育の題材として扱われることの多い視覚障害を対象とした。
方 法
対象 本調査は機縁法を用いて北海道内のA高等学校(916名)及びB高等学校(67名)に在籍する1年生から3年生の全生徒を対象とし,調査対象の総数は983名である。
方法と調査内容 201×年9月上旬から10月上旬にかけて調査を行い,各学校の教員を通じて質問紙を配布・回収を行った。なお,本調査は無記名方式により回答を求めた。調査は中島・石原(2012),高玉・徳田・佐藤(1997)を参考に文言の修正を行った。実際に使用した調査項目は,学年や性別,これまでの障害理解学習の経験の有無の基本属性3項目,視覚障害や視覚障害児・者に対する認識に関する13項目(用語に関する6項目,知識に関する7項目)の計16項目で構成した。なお,本研究の実施にあたり,各高等学校の学校長へ研究協力の依頼文章を発送し,窓口教員に対して研究の趣旨,分析手続き,結果の公開を含めたデータの扱いについて説明した後,各学校長の本研究に対した同意する意思の確認を行い,研究協力への了承を得た。分析は,これまでの障害理解学習の経験を独立変数とし,視覚障害や視覚障害児・者に対する認識を従属変数としてカイ2乗検定を行った。分析にはエクセル統計Bell Curveを用いた。
結 果
調査対象983名中,未記入の項目があった回答用紙を除いた結果,838名分のデータを分析対象とした。有効回答率は85.2%である。性別にみると経験あり群では,男子204名(24.3%),女子319名(38.1%)であり,経験なし群では,男子147名(17.5%),女子168名(20%)であった。
障害理解学習の経験が及ぼす影響の検討
障害理解学習の経験の有無により視覚障害に対する認識を「はい」「いいえ」の2つのどれかに回答する調査の結果を表1に示す。その結果,「視覚障害という言葉(問1)」「盲という言葉(問3)」「白杖という言葉(問4)」「弱視や盲は障害であるか(問5)」「盲導犬という言葉(問7)」「ハーネスという言葉(問8)」「一人で外出できる視覚障害者の存在(問9)」「盲導犬への接触(問10)」「視覚障害者同士の結婚について(問11)」「白杖の使用者について(問13)」の10項目についてp<.01の有意差が認められた。また,「点字を使わない視覚障害者の存在(問12)」の1項目においてもp<.05の有意差が認められた。
考 察
本研究の結果,小学校や中学校段階の障害理解学習の経験の有無が,視覚障害の認識に影響を与えることが認められた。その中でも特に「用語に関する項目」では,5項目において1%水準,「知識に関する項目」についても,5項目で1%,1項目で5%水準の有意差が認められた。以上のことから,小学校や中学校段階で障害理解学習を経験することで,障害に関する用語を聞いた経験や視覚障害に関する知識の習得につながっていることが示唆された。今後は,高校生が経験してきた障害理解の内容と障害に対する認識の関係について詳細な検討が必要である。
高等学校における障害理解学習を推進していく際に,小学校及び中学校段階における障害理解学習の経験が,高校生の障害に関する認識に及ぼす影響について明らかにする必要がある。そこで,本研究では小学校及び中学校段階における障害理解学習の経験が,高校生段階の障害の認識に与える影響について明らかにすることを目的とする。なお,本研究では,小学校段階から障害理解教育の題材として扱われることの多い視覚障害を対象とした。
方 法
対象 本調査は機縁法を用いて北海道内のA高等学校(916名)及びB高等学校(67名)に在籍する1年生から3年生の全生徒を対象とし,調査対象の総数は983名である。
方法と調査内容 201×年9月上旬から10月上旬にかけて調査を行い,各学校の教員を通じて質問紙を配布・回収を行った。なお,本調査は無記名方式により回答を求めた。調査は中島・石原(2012),高玉・徳田・佐藤(1997)を参考に文言の修正を行った。実際に使用した調査項目は,学年や性別,これまでの障害理解学習の経験の有無の基本属性3項目,視覚障害や視覚障害児・者に対する認識に関する13項目(用語に関する6項目,知識に関する7項目)の計16項目で構成した。なお,本研究の実施にあたり,各高等学校の学校長へ研究協力の依頼文章を発送し,窓口教員に対して研究の趣旨,分析手続き,結果の公開を含めたデータの扱いについて説明した後,各学校長の本研究に対した同意する意思の確認を行い,研究協力への了承を得た。分析は,これまでの障害理解学習の経験を独立変数とし,視覚障害や視覚障害児・者に対する認識を従属変数としてカイ2乗検定を行った。分析にはエクセル統計Bell Curveを用いた。
結 果
調査対象983名中,未記入の項目があった回答用紙を除いた結果,838名分のデータを分析対象とした。有効回答率は85.2%である。性別にみると経験あり群では,男子204名(24.3%),女子319名(38.1%)であり,経験なし群では,男子147名(17.5%),女子168名(20%)であった。
障害理解学習の経験が及ぼす影響の検討
障害理解学習の経験の有無により視覚障害に対する認識を「はい」「いいえ」の2つのどれかに回答する調査の結果を表1に示す。その結果,「視覚障害という言葉(問1)」「盲という言葉(問3)」「白杖という言葉(問4)」「弱視や盲は障害であるか(問5)」「盲導犬という言葉(問7)」「ハーネスという言葉(問8)」「一人で外出できる視覚障害者の存在(問9)」「盲導犬への接触(問10)」「視覚障害者同士の結婚について(問11)」「白杖の使用者について(問13)」の10項目についてp<.01の有意差が認められた。また,「点字を使わない視覚障害者の存在(問12)」の1項目においてもp<.05の有意差が認められた。
考 察
本研究の結果,小学校や中学校段階の障害理解学習の経験の有無が,視覚障害の認識に影響を与えることが認められた。その中でも特に「用語に関する項目」では,5項目において1%水準,「知識に関する項目」についても,5項目で1%,1項目で5%水準の有意差が認められた。以上のことから,小学校や中学校段階で障害理解学習を経験することで,障害に関する用語を聞いた経験や視覚障害に関する知識の習得につながっていることが示唆された。今後は,高校生が経験してきた障害理解の内容と障害に対する認識の関係について詳細な検討が必要である。