10:00 AM - 12:00 PM
[PG47] 大学生の友人に対する心理的距離と友人関係における態度の関連
Keywords:心理的距離, 友人関係尺度
問題と目的
友人関係における心理的距離とは,友人との間に存在する二者間の親密さの程度であり,近づこうとする動きと遠ざかろうとする動きの両方がある。(美山,2003)そして,青年は友人関係において適度な距離を求めて絶えず意識的・無意識的に心理的距離の調整を図っているものと考えられる。(坂本・高橋,2009)また,現実の心理的距離と理想の心理的距離にズレが生じている状態は否定的な生活感情を引き起こすと推察される。(坂本・高橋,2009)
岡田(2005)によれば,現代の青年は実際の友人関係における態度として,相手に侵入しないよう気を使うことと,内面的な自己を開示する行動との両者を用いることが青年期における内省の形成に関与している可能性を示唆している。
そして,岡田(2005)は現代青年に特有な友人関係に関して,青年自身がどのような友人関係の取り方をするかについて着目し「自己閉鎖」「軽躁的関係」「侵入回避」「傷つけられ回避」の4つの下位尺度から成る友人関係尺度を作成している。
そこから,本研究では心理的距離と友人関係における態度の関連に着目し,現代の青年が抱く友人関係における心理的距離とそのズレが友人関係のあり方に対し,どのように影響しているか検討することを目的とする。
方 法
調査対象と調査時期 2017年1月に中部地方の大学に在籍する大学生91名(男性61名, 女性30名, 平均年齢は男性20.59歳, 女性20.36歳)を対象として調査を行った。
質問紙
①心理的距離:心理的距離を測るため,坂本・高橋(2009)による投映法的手法を用いた。質問紙上に線分を2本用意し,青年自身が友だちを位置づける場合の心理的距離(以下,《自分→相手》),また友だちの気持ちを推測することによって得られる心理的距離(以下,《相手→自分》)を添付したシールや鉛筆によって線分上に記入するよう求めるものである。
②友人関係尺度:友人関係に対する態度を測るため,岡田(2005)による42項目を用い,6件法で実施した。
手続き 研究に先立ち,研究趣旨及び個人情報の保護,研究への参加は任意であることを説明し,了承を得た上で調査を行った。
また,分析に関して測定された心理的距離における《自分→友だち》,《友だち→自分》の理想と現実の心理的距離の位置関係及び《自分→友だち》と《友だち→自分》の現実の心理的距離の位置関係から,対象者を3群に分類した。《自分→友だち》と《友だち→自分》の現実の心理的距離のズレにおいて,線分上の位置が一致しているものを「(1)自分=友だち群」,《自分→友だち》における線分上の位置が《友だち→自分》における位置よりも近いものを「(2)自分<友だち群」,遠いものを「(3)自分>友だち群」として分類した。
結果と考察
この結果,(1)が31名,(2)が45名,(3)が15名となった。これは坂本・高橋(2009)の結果においても(1)と(2)が同程度,(3)が最も少なくなっており,本研究の結果と一致した。
また,上記の3群における友人関係の下位尺度得点の違いを検討するために,それぞれ一要因の分散分析を行った (Table1)。
その結果,友人関係尺度の「自己閉鎖」において有意差が見られた。多重比較の結果,「自分>友だち群」「自分=友だち群」の間に有意な差が見られ,「自分=友だち群」の方が「自分>友だち群」よりも得点が低かった。したがって,青年自身の方が友人をより遠くに位置づけていると認知している群は,互いに同じくらいの距離に位置づけていると認知している群に比べ,友人関係において自分の内面を開示しない傾向を表すと考えられる。
友人関係における心理的距離とは,友人との間に存在する二者間の親密さの程度であり,近づこうとする動きと遠ざかろうとする動きの両方がある。(美山,2003)そして,青年は友人関係において適度な距離を求めて絶えず意識的・無意識的に心理的距離の調整を図っているものと考えられる。(坂本・高橋,2009)また,現実の心理的距離と理想の心理的距離にズレが生じている状態は否定的な生活感情を引き起こすと推察される。(坂本・高橋,2009)
岡田(2005)によれば,現代の青年は実際の友人関係における態度として,相手に侵入しないよう気を使うことと,内面的な自己を開示する行動との両者を用いることが青年期における内省の形成に関与している可能性を示唆している。
そして,岡田(2005)は現代青年に特有な友人関係に関して,青年自身がどのような友人関係の取り方をするかについて着目し「自己閉鎖」「軽躁的関係」「侵入回避」「傷つけられ回避」の4つの下位尺度から成る友人関係尺度を作成している。
そこから,本研究では心理的距離と友人関係における態度の関連に着目し,現代の青年が抱く友人関係における心理的距離とそのズレが友人関係のあり方に対し,どのように影響しているか検討することを目的とする。
方 法
調査対象と調査時期 2017年1月に中部地方の大学に在籍する大学生91名(男性61名, 女性30名, 平均年齢は男性20.59歳, 女性20.36歳)を対象として調査を行った。
質問紙
①心理的距離:心理的距離を測るため,坂本・高橋(2009)による投映法的手法を用いた。質問紙上に線分を2本用意し,青年自身が友だちを位置づける場合の心理的距離(以下,《自分→相手》),また友だちの気持ちを推測することによって得られる心理的距離(以下,《相手→自分》)を添付したシールや鉛筆によって線分上に記入するよう求めるものである。
②友人関係尺度:友人関係に対する態度を測るため,岡田(2005)による42項目を用い,6件法で実施した。
手続き 研究に先立ち,研究趣旨及び個人情報の保護,研究への参加は任意であることを説明し,了承を得た上で調査を行った。
また,分析に関して測定された心理的距離における《自分→友だち》,《友だち→自分》の理想と現実の心理的距離の位置関係及び《自分→友だち》と《友だち→自分》の現実の心理的距離の位置関係から,対象者を3群に分類した。《自分→友だち》と《友だち→自分》の現実の心理的距離のズレにおいて,線分上の位置が一致しているものを「(1)自分=友だち群」,《自分→友だち》における線分上の位置が《友だち→自分》における位置よりも近いものを「(2)自分<友だち群」,遠いものを「(3)自分>友だち群」として分類した。
結果と考察
この結果,(1)が31名,(2)が45名,(3)が15名となった。これは坂本・高橋(2009)の結果においても(1)と(2)が同程度,(3)が最も少なくなっており,本研究の結果と一致した。
また,上記の3群における友人関係の下位尺度得点の違いを検討するために,それぞれ一要因の分散分析を行った (Table1)。
その結果,友人関係尺度の「自己閉鎖」において有意差が見られた。多重比較の結果,「自分>友だち群」「自分=友だち群」の間に有意な差が見られ,「自分=友だち群」の方が「自分>友だち群」よりも得点が低かった。したがって,青年自身の方が友人をより遠くに位置づけていると認知している群は,互いに同じくらいの距離に位置づけていると認知している群に比べ,友人関係において自分の内面を開示しない傾向を表すと考えられる。